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2004年秋 - 上州武尊山[1/2]


2004年11月6日(土)、7日(日)
場所
群馬県利根郡川場村、片品村、水上町/上州
ルート
11月6日
JR上野駅=JR上越線沼田駅=川場温泉バス停…木賊集落…旭小屋(泊)
11月7日
旭小屋…不動岩…前武尊…沖武尊…剣ガ峰…武尊神社=JR上越線水上駅
参加者
中山(M1, 単独行)

上州武尊山の地図

はじめに

 11月になり沢に行くには寒くなったころ、自分の登った百名山の数が39と中途半端であることを気にしていた私は久々に百名山ハンターとしてどこか登ってきりのいい40山にしたいと考えていた。そこで考えた。関東周辺の百名山はあらかた登ってしまっている。近いところはというと赤城山か伊豆か浅間山か。どれもいつでも簡単に登れそうだし、いまいち印象に欠けるところがあった。そんな中で上州武尊山は他と違う輝きを放っていた。稜線の鎖場、急峻な尾根。アルペンガイドの旧版に載っていた写真は魅力と同時に恐怖を呼び起こすようなものであった。木がたくさん生えているものの、ほとんど垂直の壁、なめるようについている鎖とそれにつかまるキスリングの人。このアルペンガイドをはじめてみたのは高校のとき図書館でだろうか。とにかく難しい山なのだろうと考えるようになっていた。さて私も大学生になり一般ルートといわれるところは問題なく行ける自信がついていた。百名山行きたいし、この山なら相手にとって不足はないと上州武尊山を選んだ。

 この山が割と後まで残っていたのは場所の悪さによる。アプローチには入るにも下るにもバスが必要、バスの本数も少ない、テント場はない、と実際計画してみるとそれを阻む要因が多かった。でもバスがないわけではないし、旭小屋という避難小屋もある。百名山なら交通の便が悪くてもマイカーで来る人も多いだろうと行くことにした。計画段階で私の母も行きたいと行っていたのだが、出発当日の朝、風邪気味で断念し、私一人で行くことになった。

1日目

2004年11月6日

JR上野駅=JR上越線沼田駅=川場温泉バス停…木賊集落…旭小屋(泊)

1日目コースタイム
川場温泉バス停12:03
12:06
木賊集落先13:11
13:21
旭小屋14:09
17:40就寝

 寝ぼけ眼で家を出て上野から上越線、高崎で乗り換える。そのころには寝過ごしてはいけないという意識で起き続けていた。小旅行と思われるおばちゃんたちの話し声で起きていたというのもある。

 沼田駅で下車。尾瀬の玄関口といわれるがこの駅で下りるのは初めてである。尾瀬に行ったことがないからだ。尾瀬は人が多いというイメージがあってどうも行く気が起きない。沼田駅前は閑散としておりロータリーの整備をしているようだった。鳩待峠行きバス連絡所行きのバスが来てザックを背負った人たちが数人乗っていった。しばらく待つとバスが来たので乗り込む。運転手さんに川場温泉に行くか尋ねると確かに行くらしい。バスに乗ってしばらくすると坂を登って沼田の市街地に着く。このようす見たことがある、しかし沼田に来たことはないはずだ、と記憶をめぐらす。すると前年魚野川にカヌーに行ったとき、三国峠を越えたころ昼飯を求めて沼田市街地まで来たのを思い出した。そのときは松原さんの運転する車だったから駅で下車した記憶がないのだった。

 バスがずっと走っていくと川場温泉口バス停に着く。降りようとしたら、川場温泉バス停は次のバス停ですよ、と運転手さんに言われたのでもうひとバス停乗ることにする。しかし失敗だった。バスは小道に入り「川場循環」というバスの名前にたがわず、もといた沼田の方に向かいだした。とりあえず川場温泉バス停で下車し、ため息をつきながら出発準備をする。沼田から770円だった。バス停一つ分歩いて戻り、川場温泉口バス停から歩き始めた。天気はいいが武尊山は見えない。

 残念ながら手元に地図がないので適当に見当をつけて歩き始める。歩く道は片品村に続いているらしく比較的車が通る。道はずっと薄根川に右岸に沿って伸びている。ちょうど紅葉の時期で歩いていて木々が美しい。武尊温泉があったが温泉が数軒あった。日帰り入浴はできるのだろうか。今回川場から登るか、逆コースの久保から登るかで迷ったが、バスの都合で前者にして温泉を諦めたのだった。そのあたりから景勝地と思しき渓谷への道が伸びていた。川場温泉から1時間ほどで木賊集落。東に伝承のある峠があるという看板があり、山道が伸びていた。木賊を過ぎてから林業を営んでいるところがあるらしく、道の右手に丸太が整然と積み重なっていた。左手から沢の入ってくるところで一本とる。水を汲んでいなかったのでポリタン一つ分汲んでおいた。

前武尊が見えた
11/6 川場温泉バス停から1時間半。前武尊が見えた。ちなみに川場温泉バス停より川場温泉口バス停の方が近い。失敗した。車通りは多い。
拡大
11/6 上の写真をもう少しズームする。左から不動岩、川場剣ガ峰、前武尊。まだ遠い。

 川場谷を渡る。川場谷沿いの道はすぐ砂利道になっているようだった。後になって知ったが川場谷は遡行の対象になっている沢らしい。地図で見ると6kmほどの長い南北の谷が見えるが1泊2日なのだろう。薄根川は気がつくと荒山沢と名前を変えており、この荒山沢を渡るあたりは樹木が少なく沢がナメておりここで遊びたくなる。荒山沢を渡って道の傾斜は増し、いったん戻るようにして道は登っていく。折り返すと空が広く、だいぶ高いところまで来たのが分かる。やがて進行方向に武尊山らしき山が見えてきた。前武尊とその左手に不動岩が見える。依然として車通りは多く、誰か乗っけてくれないかなと思いながら歩いていたが、結局旭小屋まで着いてしまった。旭小屋の少し手前に橋があり旭小屋への道と疑うが、どうやら別物のようだった。旭小屋を建てるときに資材をここから搬入したのだと思う。

 旭小屋は荒山沢をはさんで車道の反対側にあり、車道からよく見えた。車から丸見えである。小屋は2部屋に分かれており、片方6人くらい入れそうだった。外見も中身もきれいで誰もいなかった。車で来ても駐車するところはなさそうで、駐車するとしたら路上駐車になるだろう。まだ気象通報にも晩飯にも早かったので昼寝することにした。ふとんがあり寒くても大丈夫そうだ。シュラフに入って横になると一人で静かなのだが、車の音が興ざめであった。

旭小屋
11/6 今日の宿、旭小屋。きれい、トイレ付き、水場すぐそこ、と申し分ないのだが、車道から丸見えなのがたまにキズ。この写真も車道から撮ったもの。
中もキレイ
11/6 旭小屋の中もキレイ。2部屋に分かれていて、それぞれ6人くらいまで入る。南側にはふとんも置いてあった。この日は私1人で貸し切り。

 気象通報の16時になって気象図をとり、晩飯をつくった。水はすぐ下の荒山沢の水を使い、トイレは小屋から一段下がったところに立派なものがあった。登山届の箱もあり他の人の予定を見ると大体の人は車で来て往復のようだった。どこから登っても交通の便が悪いから縦走する人は少なそうだ。たった一点、車の音が聞こえる点を除いて完璧な小屋であった。一人だったので誰かと話すこともなく、17:40静かに就寝。


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