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2003年秋 - 日光・根名草山[2/2]


2003年11月22日(土)、23日(日)
場所
栃木県日光市、塩谷郡栗山村/奥鬼怒
ルート
11月22日
日光湯元温泉バス停…金精山…金精峠…念仏平避難小屋(泊)
11月23日
念仏平避難小屋…根名草山…加仁湯…女夫淵温泉=鬼怒川温泉
参加者
中山(B4, 単独行)

日光・根名草山の位置

2日目

2003年11月23日

念仏平避難小屋…根名草山…加仁湯…女夫淵温泉=鬼怒川温泉

2日目コースタイム
念仏平避難小屋5:30起床
6:25
根名草山7:21
7:42
1972m峰8:22
8:35
車道に出る9:10
加仁湯9:27
女夫淵温泉10:20
12:45

 23日。午前2時過ぎまでは何とか眠っていられたが、3時前からはもう眠れなかった。寒い。下の2パーティーはテントを張っている。装備もちゃんと持ってきていそうだ。私はしょせん夏山装備。持っているものを全部着ていても寒い。夜明け前、下の中年夫婦が出ていった。私は5時半に起き、メシを作り始めた。が、さっそくアクシデント。ポリタンのふたが開かない。水が凍って開かないらしい。火でふたを温める。ふたを回すと開いたが、熱い。やけどしてしまった。軟らかくなったふたには握ったあとがついてしまった。しかし、苦心して開けたポリタンは中の水も凍っており、けっきょく水を取り出せなかった。もう一つの湯元温泉で汲んだ方はふたしか凍り付いていなかったので、ふたについた水を溶かして水を出すことができた。

 夏山しか経験のない私にはほかにもたくさんはじめての経験があった。固くて食べられないオニギリ、コッヘルのふたについたロウのような氷、ポリタンの中身がシャラシャラ音がする。とにかくインスタントラーメンを食べて準備して出発した。登山靴のひもに雪が凍り付いていて締めかたが緩くなってしまった。

やまぎわすこしあかりて
日が昇ってきた。
朝日を待つ木々
前日の風はウソのようにやみ、山はただ静かである。

 外はすでに明るい。日の出が近そうだ。空は抜けるような青。風はない。昨日と同じなのは気温が低いことだけ。念仏平避難小屋を出て根名草山へ歩き出す。小屋の先でまた別の沢を渡り、背丈ほどのかん木帯の中を歩く。振りかえると山のひだに雪をたたえた日光白根山が透明な空気の向こうに見えた。朝の凛として、澄み切った空気が気持ちよかった。山がくっきり見える。やがて日が昇ってきて雪で白くなった木々が黄金色に輝き出す。美しい。シャッターを押す手がかじかむ。樹林帯に入ると小川が流れていた。流れているといっても表面は凍っている。雪の消音効果と一人でいるということが静けさをいっそう強いものにしていた。冬が山を支配し始めていた。

日が昇りはじめる
日が昇りはじめる。雪で化粧した木々は黄金色に輝きだす。
樹林帯に入る
樹林帯に入る。日はささず、ここは静かなままである。時を止めてしまったかのように沢は凍っていた。

 緩やかに登っていき、2326m峰北面にまわる。もし、予定通り湯沢峠、燕巣山に行くのなら、この山から西に向かう。今回は見送りだ。北の根名草山へ向かう。明瞭な稜線に移ると、那須や東側の山々が見え始めた。雪はさほど積もっているように見えない。どうやら2000m以上の山で雪が積もったようだ。けっこう急な登りを立ち止まりながら歩いていくと根名草山のピークに着いた。

日光白根山
日光白根山が朝日に輝く。
根名草山の登り
根名草山の登り。木は雪をまとい、黒い背景に映える。

 根名草山のピークはコブがいくつかある平らなようなでこぼこなような山頂だ。便意が訪れたので大をする。事を済ませて、脱いでおいた軍手をはめようとすると、指先が固まってちゃんとはめられなかった。

根名草山
根名草山山頂。
那須?
那須っぽい山が見えた。雪は標高2000m以上でしか積もっていないらしい。

 山頂から下り始めてすぐ、次の大嵐山が見えた。その名の通りなのか、手前の鞍部には西から東に強い風が吹いていた。この斜面は開けていて展望がいい。尾瀬の燧ケ岳らしき山が見えた。行ったことないから断定はできないが、このあたりで双耳峰は燧ケ岳しか知らないので、そういうことにした。大嵐山との鞍部から道は西側斜面に沿ってトラバースする。はじめどんどん下っていくので不安になったがそのうちトラバースになる。2ヵ所、ガレていて景色があった。燕巣山と隣の四郎岳が見えた。ちょうどタヌキかキツネの足跡もあった。

根名草山北側斜面
根名草山からの下りを振り返る。
燧ガ岳?
根名草山からの下り、燧ガ岳っぽい双耳峰が見えた。

 やがて道は稜線に戻り、漫然と歩いていくと1972m峰付近に着く。気温が上がってきて暑くなって来たのでカッパを脱ぐ。軍手も解けてきてもとどおり柔らかくなった。気温がプラスに転じたようだ。気も緩む。その一本のあと、日光沢温泉へ下る道と加仁湯(かにゆ)へ下る道との分岐点に出た。加仁湯経由の方が女夫淵温泉に近いので、加仁湯経由の道を行く。しばらく緩い傾斜の尾根を歩いていくと雪も少なくなり、急な斜面を下りるとなぜか手白沢温泉の近くに出た。おかしい。加仁湯の近くに出ようと思っていたのに。出てしまったものは仕方ないので、車道を伝って加仁湯へ向かった。

 徒歩約20分。こんな山奥の宿なんて誰も泊まっていないだろうと思ったら、加仁湯の建物からおばさんの団体がわさわさ出てくる。そして私の後方からバスが。このバスは加仁湯に泊まる人しか乗せてくれないので、日光沢沿いに女夫淵温泉へ下る。そしたらなんと人の多いこと。3連休の真ん中の日とはいえ、2,3分に一回の割合で人に会う。しかも温泉の宿泊客か観光客。ザック背負っている人はいない。鬱陶しいと思いつつ、百人くらいに会った後、女夫淵温泉(めおとぶちおんせん)に着いた。ここも人だらけ車だらけ。もう驚きである。こんな山奥まで来てこれだけの人間を見るとは思わなかった。だいたい、私は加仁湯も女夫淵温泉もこの山で初めて知った温泉なのに。有名なのだろうか。有名だからか知らんが、この女夫淵温泉は日帰り入浴で千円もとるというので、風呂には入らなかった。汗もほとんどかいていなかったので、なんとも思わなかった。困ったのはバスで約3時間待たされた。寒い中、本を読んだり、犬がいたので犬触って温まったりしていた。

 バスは鬼怒川温泉まで。長い。2時間くらい。お値段もそれなり、2100円。鬼怒川温泉駅で浅草行きの快速に乗り、帰った。家に着いても二つあったポリタンのうち一つはまだシャラシャラと氷の音がしていた。私にはとにかく寒い山だった。

 今度こそ目標だった、念仏平避難小屋〜湯沢峠〜燕巣山〜鬼怒沼山の縦走をやりたいものだ。


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