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2021年夏 - 奥秩父・荒川滝川豆焼沢[1/2]


2021年6月25日(金)・26日(土)
場所
埼玉県秩父市(旧秩父郡大滝村)
ルート
5月25日
飯能駅=(レンタカー)=彩甲斐街道出会いの丘…ワサビ沢下降…雁坂大橋下ホチの滝…トオの滝…50m大滝…標高1575m付近(泊)
5月26日
標高1575m付近…1630m二俣…登山道…雁坂小屋…黒岩尾根…彩甲斐街道出会いの丘=(レンタカー)=飯能駅(解散)
参加者
中山、道場、鈴木、石井
参考文献

はじめに

 6月も末になり、日は長いし暑いし、沢登りに適した気候になってきた。沢登りに行きたいと思い、大学の後輩に声をかけて企画した。混んでいる山は嫌なので1日休みをとって金曜土曜に行くことにした。

 焚き火したかったので泊まりがけを条件に適当に探した結果、奥秩父の荒川滝川豆焼沢にした。公共交通機関の便が悪くて行ったことがなく、人数がまとまればタクシーでもレンタカーでも1人あたりの費用が安価に抑えられると考えたからだ。実際、飯能に集合して、飯能からレンタカーで往復することにした。

 豆焼沢は荒川滝川の支流の1つ。源流を雁坂嶺に発し、黒岩尾根の末端で滝川に合流している。雁坂トンネルの開通により車でのアプローチは良好で、出会いの丘に車を置いて入渓することができる。「東京周辺沢登り120ルート」では2級上の中級と評価されている。

1日目

2021年6月25日(金) くもり時々雨

飯能駅=(レンタカー)=彩甲斐街道出会いの丘…ワサビ沢下降…雁坂大橋下ホチの滝…トオの滝…50m大滝…標高1575m付近(泊)

コースタイム
彩甲斐街道出会いの丘10:27
11:10
標高1000m5m滝11:44
11:53
ホチの滝12:07
12:22
標高1080m5m滝3m滝巻き12:28
12:43
標高1090m2条4m滝12:51
12:58
標高1145m付近13:23
13:42
標高1150m付近トオの滝13:57
14:12
標高1235m付近三俣14:24
標高1300m付近左岸岩壁14:32
標高1300m付近14:45
15:04
標高1350m付近8mスダレ状滝15:16
標高1360m付近二俣15:30
標高1430m付近大滝4段50m15:52
16:13
標高1550m付近4段20m16:50
17:07
標高1575m付近17:30
21:00就寝

 8:00に飯能駅に集合する。河辺から飯能行きの西武バスがあるのだが、1日1本しかないためしょうがなく拝島乗り換えで向かう。さっそく鈴木が寝坊した旨の連絡があり、出発を30分遅らせる。カローラツーリングという車にザック4つを乗せるとバックミラーが見えない。

 遅刻した鈴木に運転させ、秩父へ向かう。カーナビに案内させると二瀬ダム経由の旧来の国道140号ではなく、滝沢ダム・大峰トンネル経由の新しい国道140号を表示したのでそちらを通って行った。飯能から約2時間で彩甲斐街道出会いの丘についた。

 平日とあって車は少ない。出発準備をしていると休憩施設の管理人さんらしき人から登山届けを出したか、昨日2時ごろから1時間ほど雷雨だったから今日も同じころ降るだろうと助言を受ける。

 休憩施設の山側にある橋を渡って、ヘリポートからワサビ沢(モチゴヤ沢)沿いに下る。ワサビ沢は人工的に改変されて右岸が段々の法面になっている。踏み跡はないが、法面をどこでも下れる。下部の堰堤を右から巻くと豆焼沢に降り立つ。焚き火の跡があった。

 しばらくは滝もなく、のどかな川歩きを楽しむ。沢がS字に屈曲し、先に滝が、上に橋が見える。これがホチの滝か、と思ったら違った。「東京周辺沢登り120ルート」によれば6m滝だった。地形図にある滝マークはこの6m滝だろうか。左側の岩壁を登る。久しぶりの沢登りでテント泊とあって体が慣れず、不安だったが登れた。石井が同様に不安だったらしく、ザックだけザイルであげて空身で登らせる。

ワサビ沢(モチゴヤ沢)
6/25 ワサビ沢(モチゴヤ沢)右岸の法面を下る。
ホチの滝の下の6m滝
6/25 ホチの滝の下の6m滝は左壁を登る。

 6m滝から10分ほどでホチの滝。右からトウガク沢(25,000分の1地形図ではトーバク沢)が滝壺に合流し、見上げれば雁坂大橋の黄色いトラスが見える。資料に従い、左側を見るとあんまりよくなさそうな斜面になんとなく踏み跡が見える。踏み跡はところどころ不明瞭だが、上部は橋脚下の岩塊に張られたトラロープ伝いに登る。山梨側の橋台にはパイプが突き出していて、雁坂トンネルからの排水なのかもしれない。

ホチの滝
6/25 ホチの滝。滝壺に右からトウガク沢が合わさり、頭を上げれば雁坂大橋が見える。
ホチの滝
6/25 ホチの滝は左側から巻く。雁坂大橋橋脚近くにはトラロープがあった。

 標高1080m5m滝3m滝を連ねるゴルジュが現れ、奥がよく見えないことと資料には右から巻けると書いてあることから安易に巻くことにする。ただ見上げる左岸の岩はかなり高く、大高巻きを強いられそうだ。あまり判然としない巻き道にトラロープを見つけながら登る。先頭の私が崖で道を見失い、戻ろうとすると、2番目の石井が腐った倒木とともに滑落し、ヒヤヒヤする。石井は2mほど下の小段で止まり、倒木はさらに下に落ちていった。後続の道場、鈴木は石井の姿が見えていなかったため、沢床に向かって石井を呼んでいたが、本当に下まで落ちなくてよかった。

標高1080m5m滝3m滝
6/25 標高1080m付近の5m滝3m滝のゴルジュ。安易に右から巻く。
標高1080m5m滝3m滝巻き
6/25 石井が2mほど滑落したあとさらに高巻く。

 トラロープを見つけてさらに高く巻くと、巻きの最高点は雁坂大橋の路面と同じ高さでトラックが走っているのが見えた。下りにも2箇所のトラロープに導かれて沢床に降りる。この5m滝3m滝と続く2条4m滝が私たちにとっての豆焼沢の核心部だった。

 沢に戻って標高1090m2条4m滝。右側の滝に太い倒木がかかっている。各資料とも特別な記載がないが、どう登ればいいのかわからず困る。大粒の雨が降ってきて、登れないし、石井が滑落するしで敗退の2文字が頭をよぎる。その石井が太い倒木にまたがり、ズリズリと進み、あっという間に渡ってしまった。滑落したらビビりそうなものなのに果敢に攻める気合はどこから出てくるのだろうか。鈴木は倒木にまたがらず器用に歩いて渡り、道場と私は倒木にまたがって「こわい」を連発しながら進み、最後に石井にテープで引っ張ってもらって渡ることができた。正攻法が丸太渡りとは思えないが、どうやってこの滝を登るのが正解なのだろうか。

標高1090m2条4m滝
6/25 倒木が右側にかかった標高1090m2条4m滝。
標高1090m2条4m滝
6/25 倒木を歩いたりまたいだりして標高1090m2条4m滝を越える。

 続く4m滝は左から巻き。しばらくは苦労せず進む。雨もやみ、気持ちも楽になる。標高1145m付近で休む。

 左岸上空にワイヤーがぶら下がっているのを認めると、左岸の倒れた木に赤テープが巻いていあるのを見つける。正面に2段の滝があり、おそらくトオの滝だろう。地形図上にある滝マークがトオの滝だと思う。資料では作業道が横切っていることになっているが、道は見えなかった。右岸のルンゼにも赤テープが見えたが、道らしくはなかった。

 名前がついている割にトオの滝はさほど大きくなく、かといって難しいかといえばそうでもなかった。下段5mは左側から。ロープがほしいという道場を引っ張り上げてやる。支点はないので石井と2人で引っ張った。上段は左壁のバンドを落ち口にトラバース。滝の上で左から枝沢が入ってきている。

トオの滝
6/25 トオの滝。下段は左から登る。
トオの滝
6/25 トオの滝。上段は左壁のバンドを落ち口にトラバース。

 標高1235m付近三俣は右から入ってくる沢が地形図上で明瞭なので現在地確認に有効である。左からは樹木の影に隠れているが、滝をかけて落ちてきている。

 標高1300m付近左岸岩壁は一見どん詰まりに見える大岩だが、沢は直角に左に曲がっている。沢には2段8mほどの滝がかかっていて手持ちの資料ではどこかは判別できない。滝の下段は右から、上段は左から越える。

標高1300m付近左岸岩壁
6/25 標高1300m付近左岸に目立つ岩壁が現れる。沢は左に曲がる。
2段8mほどの滝
6/25 岩壁を見て左に曲がると2段8mほどの滝がある。

 3m滝を越えて標高1300m付近で休む。鈴木が寒いと言ってカッパを着る。そこから見える5mナメ滝は右から登る。日光が差し込んできて気分もいい。

 標高1350m付近8mスダレ状滝が現れ、そこそこ目立つことと上部が見えないことからこれが大滝なんじゃないかと気が早る。大滝なら左のガレ場から巻くらしいので、左のルンゼから登る。取り付きがザレているが上は岩場になっていて手がかりは豊富だ。

標高1350m付近8mスダレ状滝
6/25 標高1350m付近8mスダレ状滝。大滝と勘違いする。
標高1350m付近8mスダレ状滝
6/25 8mスダレ状滝を左のルンゼから巻く。

 地形図でも青い線が分かれる標高1360m付近二俣に到着し、先ほどの滝が大滝でないことに気づく。二俣上の苔むした台地に幕営適地があるかと思ったが、岩がゴロゴロしていて幕営跡は見つからなかった。

標高1360m付近二俣
6/25 標高1360m付近二俣。正面の台地に幕営適地を探すが見つからず。
標高1430m付近大滝4段50m
6/25 立派な大滝4段50m。

 沢が左に折れ曲がるところで標高1430m付近大滝4段50mが現れる。下からは3段しか見えない。左手のガレ場を探して巻く。「東京周辺沢登り120ルート」には「明瞭な踏跡がある」と書かれているが、岩場があってあまりはっきりせず右往左往しながら登る。Windowsの標準フォント、メイリオにちなみ、不メイリオな巻き道だなと話しながら登る。途中で尾根に出て倒木のあるルンゼ越しに沢が見えたのでそこを下る。ひょっとしたら尾根沿いにさらに巻けるのかもしれない。

標高1430m付近大滝4段50m高巻き
6/25 大滝4段50mを左から高巻く。
標高1430m付近大滝4段50m高巻き
6/25 大滝4段50mの高巻きを終えてルンゼから沢に戻る。

 沢に降り立つと滝が見える。「東京周辺沢登り120ルート」では2段8mと表現されている滝だろうか。1段しか見えない。右を巻くことになっているが、明らかな巻き道も見当たらない。滝の右壁を登るとツルツルして登りにくい。私の肩を足場にして石井を一段上げ、テープで引っ張り上げてもらう。その上のちょっといやらしい段は細い木にテープをぶら下げて登る。小さく巻けず、上に追いやられる。途中でロープがほしいと呼び止められ、長いシュリンゲを持って下る。最初の一段を登るのに、道場が思い切りテープを引っ張りたいらしいが、足場が不安定で怖いと石井が言う。しかし、私が追いつく前に支点を見つけたと言って解決していた。

2段8m滝?
6/25 2段8m滝?を右から巻く。
倒木のある5m滝
6/25 倒木のある5m滝は遠目に登れないと思い左から巻く。

 倒木のある5m滝は左から巻いた。途中、ビンやどんぶりが転がっていたので、作業小屋の跡でもあるかなと思い、少し登ってみた。すぐ尾根に出て、大きなお釜や注ぎ口のついた鍋のようなものが見つかったが、狭くて小屋の跡は見当たらなかった。沢には木の根っこを伝って降りた。鈴木だけは滝を左側から直登していた。

放置されたお釜
6/25 倒木のある5m滝を左から巻く途中、小尾根で放置されたお釜などを見つけた。
標高1550m付近4段20m
6/25 これまた立派な標高1550m付近4段20m。

 石井と鈴木を先行させ、だいぶ疲れてきた道場を連れて行くとすぐ標高1550m付近4段20m。けっこう立派な滝だ。右から巻く。高巻きになり、踏み跡はところどころ不明だが、岩場はなく、小尾根上で踏み跡が集合する。岩を乗っ越して沢に降りる。

標高1550m付近4段20m
6/25 標高1550m付近4段20mを左岸から巻く。
標高1575m付近に幕営
6/25 標高1575m付近に幕営する。

 もう17時になり、幕営地を決めなければならない。鈴木と私がザックを置いてナメ滝の上まで見にいくと焚き火の跡が2つあったが、テントを2つ張るには少々狭い。戻ってザックを置いた標高1575m付近を幕営地とする。1,2人用テント2張りをくの字に張った。職場から借りてきた鍋がひしゃげていて慌てる。手で挟みながら押して直しているうちに蓋がピッタリ合わなくなってしまった。

 鈴木が焚き火に挑戦するが、連日の雨で倒木が湿っており、燃料が燃えるばかりで木には火がつかない。諦めてビールで乾杯。ビールは冷やさなくてちょうどいいくらいに寒かった。ご飯はうどん。6玉のうどんと800gの肉、カット野菜2パックで4人分にはちょうどよかった。つまみも持ってきたソーセージやチャーシューが売れ、酒はビールの他に日本酒、梅酒を飲み、いい感じに酔っ払った。疲れていた道場は先に寝て、残りの3人は9時に寝た。


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