山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2009年山行一覧>上越・谷川岳一ノ倉沢衝立岩中央稜
Kさんに岩登りに、と誘われて一ノ倉沢へ行った。ちょうど松木沢のクライミングの前の週だったので、去年行った奥多摩のつづら岩みたいな岩場で練習かと思っていたら一ノ倉だったので少々驚いた。一ノ倉沢は小説や谷川岳小唄で聞くが、行ったこともないし、見たこともない。白毛門山の山頂から眺めたくらいだ。
谷川岳一ノ倉沢衝立岩中央稜は上越国境谷川岳にある岩場の一つ。谷川岳東面の湯檜曽川支流一ノ倉沢の奥にある衝立岩の中央稜である。谷川岳の岩登りとしては入門らしい(チャレンジ!アルパインクライミング)。
私の実力から言えばまったく入門というレベルではなく、上級であった。何度か落ちるかと思ったし、登れないかと思ったことも何度かあったが、何とか這い上がって登れた。登攀後のルートは一ノ倉岳まで登り、谷川岳、天神尾根を経由し、田尻尾根からロープウェイ土合口駅へ戻った。
0日目 |
2009年6月6日(土) くもり |
東所沢駅集合=谷川岳ロープウェイ土合口駅(泊)
22:00東所沢駅に集合。関越経由で0:00谷川岳ロープウェイ土合口駅着。一番上の階で銀マットひいて就寝。初めてここで寝たが、私たちの他5人ほどが寝ていた。
1日目 |
2009年6月7日(日) くもり |
一ノ倉沢出合…テールリッジ…衝立岩中央稜…衝立の頭…一ノ倉岳…谷川岳…天神尾根…田尻尾根…谷川岳ロープウェイ
ロープウェイ土合口駅 | 4:15起床 |
4:30 | |
マチガ沢出合 | 4:40 |
5:15 | |
一ノ倉沢出合 | 5:33 |
5:41 | |
テールリッジ末端 | 6:10 |
6:21 | |
衝立岩中央稜 取付点 | 7:00 |
7:10 | |
衝立岩中央稜 終了点 | 11:45 |
11:55 | |
衝立尾根懸垂岩 | 14:20 |
14:45 | |
一ノ倉岳 | 16:40 |
16:55 | |
谷川岳オキノ耳 | 17:34 |
谷川岳トマノ耳 | 17:43 |
田尻尾根分岐 | 18:37 |
18:47 | |
谷川岳 登山指導センター | 19:30 |
朝起きて車でマチガ沢出合へ移動。天気は曇り。車の中で支度している間、小雨がフロントガラスを濡らすので行くかどうか悩ましいが、小雨はすぐやんだので出発する。
マチガ沢から一ノ倉沢まで歩く。見える一ノ倉沢は上部が雲で隠れていて岩の要塞のようで、もはや沢の形をとどめていない。どこに取り付いても登れそうにない。衝立岩中央稜があれだとKさんに教えられても登れるかどうか不安であった。一ノ倉沢にはカメラを構えた人たちがたくさんおり、晴れ間の撮影を狙っているようだった。
6/7 一ノ倉沢出合から見た衝立岩中央稜。 |
6/7 テールリッジ末端に取り付く。 |
出合で水を汲み、ヘルメットを装備する。そうしている間にも次々と登山者が入山していく。あんな登れそうにない岩場なのに人気とは登山者の気持ちを察しかねる。
入渓して少し右岸を巻いた後、すぐ雪渓を登る。キックステップで滑らぬよう歩き、テールリッジ末端に着く。ここで足下を履き替え。私たちの目の前を歩いていた2人はテールリッジの岩が前日の雨で湿っているのを見てスパッと諦めて帰ってしまった。
テールリッジは衝立岩中央稜の下部に伸びる尾根であり、衝立岩中央稜へのアプローチである。しかし、テールリッジの岩場は一般ルートの岩場以上の難度があり、アプローチとバカにできない。こんなところでよたよた歩いて苦労していると先が思いやられる。道にはイワカガミが咲いていて写真を撮りたいと思ったが、そんな余裕は既になかった。
テールリッジ末端に到着。衝立岩中央稜はここから登る。烏帽子沢奥壁南稜はここからさらに烏帽子スラブをトラバース、南稜テラスへと向かわなければならない。私はすでに参っていたのでここまででよかった。登攀具を身につけ、衝立岩中央稜へ登る。
以下、特に断りがなければKさんリード。
6/7 衝立岩中央稜1ピッチ目。 |
6/7 取り付き点にて衝立岩中央稜を仰ぎ見る。 |
6/7 衝立岩中央稜3ピッチ目、衝立岩正面壁側にトラバースするKさん。 |
6/7 衝立岩中央稜6ピッチ目、衝立岩正面壁側のフェースを登る。 |
6/7 衝立岩中央稜9ピッチ目。ルンゼを登る。 |
6/7 衝立尾根4ピッチ目。左壁がせり出し気味の黒い岩の壁を登る。難しかった。 |
6/7 懸垂岩を懸垂下降。 |
6/7 国境稜線上、一ノ倉岳の脇に出たところ。 |
懸垂岩にて懸垂下降し、笹の生い茂るコルへ下る。稜線は左側から登る。そこからはしばらく足跡のある斜面なのでコンテで歩く。
一ノ倉尾根と合流する直前でところどころ草の生えた岩場。もう岩場はお腹いっぱいだが、登らないと帰れないので登る。そんなに難しくはなかった。
一ノ倉尾根と合流してからはそんなに難しいところはない。一カ所、ハング気味の岩があるが、上にガバがあるので簡単に登れた。そのあとは笹の斜面を登る。足下は見えないが、踏み跡があるのでそれをたどる。雨は降っていないが、ガスで笹が濡れて冷たい。やがて一ノ倉岳の谷川岳よりの道に出た。
越後側から風が吹くので、風の弱いところでクライミングシューズを履き替えた。一ノ倉岳へ行く余裕もなく、ただ疲れた。
6/7 天神尾根の下り。 |
6/7 振り返ると谷川岳はまだ雲の中だった。 |
ガスで視界のきかない稜線を歩く。すでに17時を過ぎ、稜線を歩く人はいない。すっかり疲れてしまって下りは順調に歩けるが、登りはゆっくりしか歩けない。それでもオキノ耳、トマの耳を過ぎ、肩の小屋へたどりつく。車がおいてあるマチガ沢出合には西黒尾根経由が最もはやいが、西黒尾根にはまだ雪が残っているので天神尾根経由で下山する。天神尾根には肩の小屋のすぐ下に雪が少しあっただけであとは雪はなかった。ロープウェイの最終は17時ですでにないため、天神平手前で田尻尾根を下る。田尻尾根は下ったことがなかったが、少々枯れ葉が積もっている程度でよく踏まれた道であった。
ロープウェイ土合口駅に着くころには19:30となりあたりは暗くなっていた。ロープウェイ土合口駅の少し上にある登山指導センターでザックを下ろし、Kさんがマチガ沢出合まで空身で歩き、車を回収した。すっかり夜で満月がキレイだった。
あとは急いで帰京し、何とか0:30に私も家にたどり着くことができた。
初めての一ノ倉沢だったが、怖かった。登山者が多かったが、あんなのを登る人の気が知れない。
(2009年6月8-12日記す)