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2004年秋 - 奥秩父・荒川入川真ノ沢[2/2]


2004年9月18日(土)、19日(日)
場所
埼玉県秩父郡大滝村、山梨県東山梨郡三富村/奥秩父
ルート
9月18日
西武池袋=西武秩父…お花畑=三峰口=秩父湖=川又…赤沢谷出合…柳小屋(泊)
9月19日
柳小屋…真ノ沢遡行…甲武信小屋…甲武信ヶ岳…甲武信小屋…木賊山…鶏冠尾根…鶏冠谷出合…西沢渓谷バス停=JR中央本線塩山駅
参加者
中山(M1, 単独行)

奥秩父甲武信ヶ岳の地図

2日目

2004年9月19日

柳小屋…真ノ沢遡行…甲武信小屋…甲武信ヶ岳…甲武信小屋…木賊山…鶏冠尾根…鶏冠谷出合…西沢渓谷バス停=JR中央本線塩山駅

2日目コースタイム
柳小屋4:00起床
5:10
第二ゴルジュ上
1340m
6:27
6:37
千丈ノ滝
1500m
7:25
7:44
木賊沢出合8:40
階段状滝上9:10
9:28
奥の二俣
荒川源流点の碑
10:55
11:20
甲武信小屋11:45
甲武信ヶ岳11:57
12:16
甲武信小屋12:22
12:33
木賊山12:50

 4時起床。わりと暖かく、よく眠れた。5:10、まだやや暗いが、沢に沿って歩き始める。歩き始めると左に平坦なところがあり、テントが2張り見えた。そしてすぐ真ノ沢・股ノ沢二俣。右に股ノ沢を分けると橋が真ノ沢にかかっている。柳小屋から股ノ沢沿いを登り十文字峠へ通じる道だろう。

 真ノ沢に入り、はじめは何の変哲もない河原を歩く。水は冷たくなく、遡行するにはちょうどいいくらい。しばらくして通らず。ゴルジュをちょっとだけのぞく。奥へ行くにはかなり濡れなければならなさそうだったのでほどほどにしておいた。奥は突き当たって右に滝がかかっているようだ。巻きは右から。巻き道ははじめはっきりしていなかったが登ると道になっていた。通らずはすんなり通過することができた。

 また大した困難もなく歩いていくと第二のゴルジュ。そのはじめにF2-8mがかかっている。右岸から巻くが、登り過ぎて迷った。少し戻り沢に近いあたりをトラバースした。滝の上は右に曲がっているので、小さく巻かねばならない。けっこう上まで登ったので沢に戻れるか不安になったが枯葉の斜面をうまく下ることができた。

F2-8m
9/19 「通らず」の次のゴルジュ、F2。右岸から巻くが、登り過ぎて迷った。滝の上は右に曲がっているので、小さく巻かねばならない。
千丈ノ滝
9/19 千丈ノ滝20m。武信白岩沢出合のすぐ先。右岸に水の入ったビニール袋がぶら下がっており、そこから登る。ひとしきり登り、真ノ沢林道を使って滝の上に出る。

 次は千丈ノ滝。武信白岩沢を右に分けて滝を一つ登るとある。ついつい見上げてしまう立派な滝だ。直登は不可能なので右岸の近くを通っているはずの真ノ沢林道を使って巻く。巻き道の入り口を探すと、右岸に水の入ったビニール袋がぶら下がっておりそこから登る。入るとずいぶん急な壁で少し怖かったが15mほど登ると踏み跡に出た。真ノ沢林道らしい。この道はさらに登っており、千丈ノ滝の落ち口に出る。

 巻き終えるとそこには男女4人のパーティーがいた。ここでテントを張ってこれからまた遡行を開始するらしい。釣り竿を出しながらゆっくり登っていた。彼らを抜いて少ししたあたりで一本。真ノ沢林道は橋もなく、もうどこかへ消えていた。

 休んでいたら釣りしながら歩く4人パーティーに抜かれた。これだけ見せつけられると釣りはやはり楽しいのだろうかと思ってしまった。でも普段から荷物をしぼることを考えない私は釣り竿まで持っていく余裕がないし、めんどくさそうと思ってしまう。

釣り人たち
9/19 釣り竿を移動しながら歩く釣り人たち。釣り竿を持ってきていないのは私くらいのものでした。
のどかな河原
9/19 千丈ノ滝の上からは苔むしたのどかな河原が左岸に広がる。左岸沿いに道があるので、それをたどった。

 再度釣り師を追い抜いて甲武信小屋を目指す。千丈ノ滝の上からは苔むしたのどかな河原が左岸に広がる。左岸沿いに踏み跡があるので、それをたどった。やがてゴルジュ。8m二段の滝の左の土壁を登る。そのあと沢はぐいっと左に曲がり、苔むした倒木のかかる3m滝。美しいのでザックの上にカメラを置いて記念撮影。この千丈ノ滝・木賊沢間のゴルジュは「奥秩父・両神の谷100ルート」には載っていない。

ゴルジュ
9/19 河原が終わると、ゴルジュ。左の土壁を登る。このあたりは「奥秩父・両神の谷100ルート」には載っていない。
タイマーで撮影
9/19 上の滝を越えると、この滝。タイマーで撮影。

 倒木が増えてくると木賊沢出合。倒木が増えてくると左に枝沢を分ける。木賊沢出合は気づかずに過ぎてしまったらしく、この枝沢の水量は少ない。(情報:バードさんー20070823掲示板書き込み)水量比は左の木賊沢が1、右の真ノ沢が2といったところだろうか。もっとも水量自体はどちらも少ない。ちょうど千丈ノ滝上から1時間だったので、一本とってもよかったが、できれば今日中に遡行を終えておきたかったので先を行くことにする。

木賊沢出合
9/19 木賊沢出合。左が木賊沢、右が本流の真ノ沢。平凡な川の分岐。倒木が増えてくると左に枝沢を分ける。木賊沢出合は気づかずに過ぎてしまったらしく、この枝沢の水量は少ない。(情報:バードさんー20070823掲示板書き込み
ナメ
9/19 木賊沢出合を過ぎるとなかなかのナメを味わうことができる。

 木賊沢出合を過ぎると、ナメが見られる。ナメ好きの私としてはこれで沢の評価はかなり上がる。ナメといっても水の流れていない部分は苔で覆われており、滑るには少し汚い。でもナメを期待していなかったのでよかった。ナメを終えて倒木が増えてくる。

 やがて10m階段滝F5-8m不動ノ滝(情報:バードさんー20070823掲示板書き込みが現れる。滝の落ちたところはまだ葉をつけた倒木が埋めており、はじめ右から巻けるかと思ったが、倒木の藪を越えることができなかった。しかたなく左から巻き。滝のすぐ近くを登る。踏み跡はなく登りにくかった。木と木の間を抜けようとしたらザックが引っかかり、くまのプーさんのような状況に陥ってしまった。戻ると落っこちそうなのでそのままむりやり突破。

 滝の落ち口はちょうど日差しが明るいところだったのでここで一本とった。ガイドブックのコピーを見るが、どこだかよく分からない。地形図を見てもどこかは分からなかった。真ノ沢林道もどこにあるのかわからなかった。

階段状滝
9/19 階段状滝。不動ノ滝(情報:バードさんー20070823掲示板書き込み)。下の方は倒木で埋まっている。左手水線沿いに登った。
三宝沢出合
9/19 三宝沢出合。左が真ノ沢、右奥の滝が三宝沢。この先、沢はまた暗くなる。

 このあと地図では左から枝沢が入ってくるはずだが、いくつかそれっぽい沢があり、特定はできなかった。よく覚えていないので平凡だったのだろう。やがて明るい三宝沢出合。ここも下部が倒木で埋まっているが、上のほうに休める程度の小広いところがあった。テントは張れない。滝の岩には水際まで苔がびっしりと生えていただけでなく、木まで生えていた。宮崎駿ワールドさながらである。

 三宝沢を分けて沢は暗くなる。そして倒木だらけになり、ジャングルジムのようである。倒木の縦糸を縫うように越えたりくぐったりして歩く。水量はだいぶ少ない。ときどき苔の生えたナメがあるが、倒木は続いた。ひたすら沢ばかりが長く、甲武信小屋から道の下ってきている荒川源流点の碑にはなかなか着かない。

倒木だらけ
9/19 三宝沢出合を過ぎると、倒木だらけ。ジャングルジムのよう。
ひとくせある滝
9/19 細くなった沢を歩いていくと、ひとくせある滝が出てくる。右から巻いた。

 そんな退屈を破るように滝が現れる。3mくらいにも関わらず、直登は難しそうだ。ガイドブックには三宝沢の先には難しい滝はないとあるのだが。しかたなく右から巻く。これも巻き道はなく、そこそこの高巻きになった。幸い、沢には無事下ることができた。巻いた先は小さな苔の庭園があった。このあたりにくると、沢の曲がり方で地図上の位置が分かってくる。その分、奥の二俣までは長く感じる。もう荒川源流点の碑まで休まないと決めていたので、倒木だらけの細くなった沢はつらかった。やっと荒川源流点の碑までたどり着いたときはうれしかった。

苔の庭園
9/19 巻いた先は小さな苔の庭園があった。このあたりにくると、沢の曲がり方で地図上の位置が分かってくる。その分、奥の二俣までは長く感じる。
奥の二俣
9/19 奥の二俣。「荒川源流点」の碑がある。ここでヘルメットと沢タビを脱ぎ、甲武信小屋へ行く道を行く。

 ここは奥の二俣になっており、右が甲武信小屋へ、左は木賊山に登っている。本流は左に見えたが、道が甲武信小屋からここまで通じており、ここで登山靴に履き替え、甲武信小屋を目指すことにする。水が手に入れられるのもここが最後なので左俣の水を汲んだ。右俣は甲武信小屋の水が流れているので。甲武信小屋は笛吹川東沢釜ノ沢の水をポンプでくみ上げ、奥秩父・荒川入川真ノ沢に流している。結局真ノ沢に入ってあったパーティーは千丈ノ滝上で会ったパーティーだけだった。

甲武信小屋への道
9/19 甲武信小屋への道。奥の二俣から右俣の方を行くが、水流はすぐなくなる。
甲武信小屋
9/19 歩いていくと、甲武信小屋のテント場の下に出る。甲武信小屋の水は反対側の笛吹川東沢釜ノ沢の水をポンプアップしている。

 道ははじめ山腹を右へからんでいくがすぐ折り返して右俣の上を登るようになる。もう水はなく整備された道をゆっくり登っていくと人の声が聞こえるようになり、甲武信小屋に着いた。着いたところですぐ「一人かい、大丈夫か?」と聞かれた。「ええ、まあなんとか」と濁しておいた。初めての沢単独行が終わった瞬間だった。なんとかなるもんだ。

 そのあと小屋の人に声をかけられた。男女混合のパーティーを見なかったかということだった。そもそも会ったパーティーは一つしかなかったので、すぐ返事することができた。釣り糸をたらしながらゆっくり移動していましたよ、と答えるとまだまだかかるなあと言っていた。どうやら私が会った4人パーティーは甲武信小屋で泊まり、明日この人と下るようだった。

 さて、せっかく来たからと甲武信ヶ岳を往復することにする。つい2ヶ月前も東沢釜ノ沢から通った道だ。登りついたところ甲武信ヶ岳山頂にはけっこう人がいた。天気も晴れ、ただし雲量は7か8といったところ。ときどき国師ヶ岳の方が見えたが、雲がどんどんと流れてきた。4度目の甲武信ヶ岳山頂とはいえ、晴れているのはこれが2回目なので記念に写真を撮ってもらった。

甲武信ヶ岳山頂
9/19 社交辞令的に甲武信ヶ岳山頂まで行ってきました。柳小屋から真ノ沢林道を通ってきた釣り人に、「千丈ノ滝上で見かけた」と言われました。真ノ沢林道は完全な廃道ではないようです。一応赤テープが続いているとか。

 向かいの黒金山のほうを見ながらボーっとしていると背後で真ノ沢林道の話をしている人がいた。つい「真ノ沢林道を登ってきたんですか?」と聞いたら、昨日柳小屋で「甲武信ヶ岳を往復する」と言っていた釣り師たちだった。驚いた。てっきり真ノ沢を遡行していると思い、どこで抜かれるかと、はじめひやひやしながら登っていたのだった。しかし、結局抜かれることもなく私より先に甲武信ヶ岳山頂に着いたとなれば、とった道は真ノ沢林道となる。聞くと「千丈ノ滝の少し上で見ましたよ」といわれた。そこで抜かれたらしい。真ノ沢林道について聞くとところどころテープもついているし、ある程度慣れた人なら問題なく登って来られるといっていた。でも千丈ノ滝の巻きのあと、私の目にはすぐ道はどこかに消えていたのでやっぱりルートファインディングが難しいのではないかと思う。

 先に山頂を辞して甲武信小屋に戻る。さっきの小屋の人がかなり心配したようすで下って迎えに行こうかと悩んでいた。この人は例のパーティーと明日真ノ沢林道を下るようだったので話を聞いていると、下から声が聞こえてきた。あのパーティーだった。よかったよかった。登ってくるパーティーからも「東京工大の人ですか?」と聞かれてしまった。私のヘルメットには文登研で張った班と名前と大学名を書いたガムテープがそのままなので私の気づかないうちに大学名がばれていることがある。でもはがせなくなると困るので最近はがした。

続きは2004年秋 - 奥秩父・鶏冠尾根下降へ。


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