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2016年冬 - 北アルプス・前穂高岳北尾根3峰[4/4]


2016年12月27日(火)〜2017年1月1日(日)
場所
長野県松本市(旧・南安曇郡安曇村)/北アルプス
ルート
12月26日
中央道日野バス停=松本駅(泊)
12月27日
松本バスターミナル=中の湯…上高地…新村橋…慶応尾根1780mコル(泊)
12月28日
慶応尾根1780mコル…パノラマコース横断点…慶応尾根2460m峰…前穂北尾根8峰2631m…6峰登り出し(泊)
12月29日
6峰登り出し…6峰…5・6コル…5峰…4峰…3・4コル(泊)
12月30日
3・4コル…3峰直下…3・4コル(泊)
12月31日
3・4コル…4峰…5峰…5・6コル…6峰…8峰…慶応尾根2460m峰…パノラマコース横断点…慶応尾根1780mコル…新村橋…小梨平(泊)
1月1日
小梨平…中の湯=松本=帰京
参加者
L.中山、K
参考文献

5日目

2016年12月31日(土) ガスのち晴れ

3・4コル…4峰…5峰…5・6コル…6峰…8峰…慶応尾根2460m峰…パノラマコース横断点…慶応尾根1780mコル…新村橋…小梨平(泊)

コースタイム
前穂北尾根3・4コル3:15起床
6:47
前穂北尾根6峰下り切り11:10
11:30
前穂北尾根8峰12:31
12:55
パノラマコース横断点13:45
14:08
慶應尾根1780mコル15:43
奥又白沢第3号谷止15:56
16:05
徳沢園16:33
16:50
明神館17:30
17:40
小梨平18:16
22:15就寝

 朝起きると湿ったシュラフとシュラフカバーをタオルで拭くのが習慣になってきた。でもこれをしないとシュラフの顔周りが濡れてとても寝られない。今日もテント内が霜でバリバリに凍り、カッパを着ないと背中が濡れてしまう。

前穂高岳北尾根3峰
12/31 4峰から3峰を振り返る。
前穂高岳北尾根4峰
12/31 4峰から5峰、6峰を見下ろす。その奥は常念山脈。

 今日は北尾根を引き返す。4峰に登ったところで振り返って前穂高岳の写真を撮る。今日は風が強く、つらそうだ。4峰から2ピッチで奥又白谷側の雪壁上に出る。3ピッチ目、雪壁をクライムダウン、4ピッチ目トラバース、さらに2ピッチスタカットで稜線を下る。最後に4・5コルに下るときに懸垂下降した。4・5コルにはテントが1張あったが、明るいのに行動する様子が見られなかった。

前穂高岳北尾根4峰
12/31 4峰の雪壁を下る。
前穂高岳北尾根4峰
12/31 4峰のリッジを下る。
前穂高岳北尾根4・5コル
12/31 4・5コルへは懸垂下降で下る。後続パーティーのテントがあった。
前穂高岳北尾根5峰
12/31 5峰の雪壁を下る。

 5峰は雪壁を2ピッチかけてクライムダウン、あとは2ピッチ稜線をスタカット。6峰は4ピッチクライムダウン。3ピッチ目は木が生えているものの、難しかった。かといってザイル1本で下るには変なところでピッチを切る必要があったろうし、判断が難しいと思う。トップで降りたKさんは器用だと思った。

 6峰から下りきったところで2泊目のテント場についた。やっと風を避けられる場所に着いたのでここで休む。4時間強の長い1本であった。

前穂高岳北尾根6峰
12/31 6峰の灌木帯を下る。
前穂高岳北尾根8峰
12/31 8峰へ下り着いた。

 7峰、8峰までもところどころ狭いリッジがあり、ロープを出しながら歩く。8峰の窪地で風を避けて休む。さすがに暑くなって着て1枚脱ぎ、バイルをザックにしまった。

 8峰から慶應尾根を下り始めると涸沢から登ってくる風の陰になり、天気は穏やかになる。前穂高岳を眺めながら下る。2460m峰からは急になり、歩きづらい。途中、トレースが見当たらない箇所があり、うろうろしながら下る。パノラマコース横断点までは間違わずに下れた。

慶應尾根2460m峰
12/31 慶應尾根2460m峰へ下る。
慶應尾根2460m峰
12/31 慶應尾根2460m峰からの下りは急である。

 パノラマコース横断点でトイレがてらハーネスを外す。慶應尾根標高2050m付近で足跡が見つけられなくなる。見つかるのはウサギの足跡だけだ。ザックの天蓋からコンパスを取り出していたら天蓋のファスナーが外れて閉められなくなってしまった。壊れたのが最後でよかった。コンパスをきって大体の方角に下る。さらに標高1900m付近から右手の尾根に下らなければならないのだが、顕著な尾根が見当たらない。下るにも躊躇する急な斜面だ。雪も減って足跡も見当たらない。下りやすそうな左手の尾根を下っていったら1780mコルよりも低いところに出てしまった。トラバースして1780mコルに復帰する。

慶應尾根1780mコル
12/31 慶應尾根1780mコルへは北隣の尾根に下ってしまい、トラバースを強いられた。
奥又白沢第3号谷止
12/31 奥又白沢第3号谷止に戻ってきた。

 さらにパノラマコースの合流点である奥又白沢第3号谷止に下って一休みする。ここまでくればもう歩くだけだ。Kさんが今日中に東京に帰れるかな、と漏らす。時刻は16時、中の湯まで5時間くらいかかるだろうから難しいだろう。

 徳沢で携帯電話の電波が入ったので、Kさんはタクシー会社へ、私はバス会社へ電話する。タクシーは出払っており、明日の朝一番の中の湯のバスは9時ちょうどと聞いた。徳沢にはテントが15張りほどあってここで泊まってもよかったが、明日歩く時間を考えて小梨平まで行くことにした。

 明神に着く頃にはすっかり暗くなった。ヘッドランプを探すが、天蓋の中身をザック本体に入れたので見つけにくい。Kさんからヘッドランプを借りて見つけた。今日は朝から10時間以上歩いて足も痛い。

 小梨平についてビジターセンターの脇にテントを張った。トイレが近くて重宝した。水は清水川の水を汲んだ。小梨平にもテントがいくつか張ってあった。年末にこんなところに来てテント張って過ごす人がいるんだね、と話す。ラジオで紅白歌合戦を聞く。ラジオだと状況がよくわからないからか、歌があんまりうまく聞こえない。歌のうまさって視覚から入るものもあるのだろうかと話す。

 22時過ぎに寝たが、Kさんはすぐに寝入ってしまった。疲れた。

6日目

2017年1月1日(日) 雪

小梨平…中の湯=松本=帰京

コースタイム
小梨平4:22起床
6:40
上高地トンネル坑口7:27
7:35
中の湯7:57
9:00

 4時過ぎに起床し、翌日の予備日用のペミカンを温めて食べた。シュラフはさほど濡れておらず快適であった。テントも凍っていない。

 登りで河童橋まで2時間以上かかったので9時のバスに間に合うよう6:40に出たが、下りは早くて1時間20分で中の湯についた。途中、釜トンネルから登ってくる人もいて上高地は人気なんだなあと感じる。大正池の写真を撮ったことがなかったので何枚か撮ったが、バス通りからは木が茂っていてあまりいい写真は撮れなかった。

 中の湯に着いて9時のバスを待つ。1時間以上の待ちで寒い。釜トンネル坑口の災害復旧のPR看板を読んだりメールで下山報告したりして過ごす。中の湯に泊まって車で送迎されてくる登山者もいた。日帰り装備の人が多く、河童橋まで往復して帰るのだろう。

 松本行きのバスに乗車し、松本でお土産を買って特急あずさに乗車。あずさに乗ると暖房が効いていてやっと暖かいと感じることができた。しかし風呂には入れなかったので、福生に帰ってから荷をほどき、落ち着いてから河辺の梅の湯まで入りにいった。風呂に入ると両手指先と両足つま先がしびれていて軽い凍傷になっていたのに気づいた。

おわりに

 目的である前穂高岳を踏むことはできなかった。比較的晴れが多かったが、弱い冬型の気圧配置が続き、常に涸沢側から風が吹いていた。天候の条件としてはよい方だったろうが、それでも体力的にはつらかった。荷物を軽くし、登攀コースを熟知し、スピードアップしないと登頂は難しいだろう。

 反省点として食料を減らすことが挙げられる。行動中に行動食はほとんど食べられないので2人で400g程度に減らしてよい、酒も500ml足らずで足りるし、つまみもそれ相応でよい。今回、試験的に冬季にガソリンストーブではなくガスストーブを使用したが、5泊で500g1缶+230g2缶を使いきり、230g1缶がほぼ空、230g1缶がある程度入っていた。2人1泊あたり230g1缶と少しを消費した計算になる。5泊くらいまでならよいが、それ以上となると空缶も持ち帰る必要があるのでガソリンの方がよさそうだ。ただ、着火にプレヒートを要さないのは扱いが楽でよかった。

 アルパインクライミングはつらい修行のようだと感じる山行であった。それでも無事帰ってこられたからよかった。


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