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2016年秋 - 丹沢・水無川源次郎沢


2016年10月2日(日)
場所
神奈川県秦野市/丹沢
ルート
渋沢=大倉バス停…戸沢出合…源次郎沢遡行…花立山荘…大倉尾根…大倉バス停=渋沢駅
参加者
L.中山、S、T、W、K
参考文献

はじめに

 谷川岳登山講習会の下りでSさんと今年はあんまり沢登りしていないね、という話をした。私は清津川本谷と北又谷だけで北又谷は魚止滝で敗退している。Sさんはここ数年沢登りに行っていないらしい。最近入部した人たちにも沢登りを体験してもらいたいと思いながら9月になってしまった。初めての人を連れて行くので足慣らし程度でいいと思い、丹沢水無川源次郎沢を選んだ。

 大倉尾根の花立の南斜面から発生する沢で、明るく、数多い滝も容易に登れるため、沢登り入門コースとして人気が高い。

敷島悦郎、北村武彦「アルペンガイド11 丹沢」(山と渓谷社,2000)P.85

 私も一度登ったことがあるが、時間が足りず左俣の変な斜面を登って、大倉尾根と天神尾根の分かれ目あたりに出た。きちんと詰めたことがないので今回初心者向けともあって登ることにした。

日帰り

2016年10月2日(日) くもり

渋沢=大倉バス停…戸沢出合…源次郎沢遡行…花立山荘…大倉尾根…大倉バス停=渋沢駅

コースタイム
大倉バス停7:01
7:07
戸沢出合トイレ8:22
8:35
源次郎沢入渓点8:58
9:25
F510:06
10:31
F610:37
11:15
F6上11:15
11:22
F1011:56
12:50
花立山荘13:25
13:50
大倉バス停15:06
15:10

 福生の朝一番の列車に乗っていく。登戸で小田急線に乗り換えるとKさんから寝坊したので不参加のメールが届いた。渋沢に先に着いたSさんとTさんは臨時バスに乗ってしまったそうで大倉バス停に先へ行ってしまった。W君と私で予定のバスに乗り追いかける。

 大倉バス停で2人に追いつく。水を汲んだり靴を履いたりして出発する。水無川にかかる吊橋を渡るのは久しぶりだ。調べてみたら2008年に水無川本谷を登って以来なので8年ぶりだ。戸川林道を黙々と歩く。新茅荘にはヒル除けの塩が置いてあってご自由にお取りくださいと書いてあった。丹沢にはヒルが多いと聞くが、以前はこんなのなかったと思う。もうしばらく歩いて戸沢出合のトイレで休む。

 洗い越しの戸沢を渡り、本谷の橋を渡ってしばらく本谷ぞいに登る。天神尾根の入口に出たところで源次郎沢を渡り、階段を登る。階段には滝のように水が流れており、今日は水量が多いようだ。道がわからず、本谷ぞいに登って堰に出たり、書策新道を登りすぎてしまったりしながらなんとか入渓点に着く。沢たびに履き替えるが、よく見るとヒルがそこここにいる。ヒルに食いつかれないように裸足を上げながら履き替えた。靴についたヒルが3匹ほどいたが河原の石で飛ばしてからザックにしまった。

源次郎沢
10/2 源次郎沢の堰堤を越える。階段に水が流れていた。
源次郎沢入渓点
10/2 源次郎沢入渓点。沢たびに履き替えていたらヒルがいた。

 源次郎沢を登る。出発時に地図とコンパスの使い方をTさんとW君に教える。口で説明するのは難しいのだが、実演してわかってくれたようだ。

 F1は傾斜の緩い4mの滝。以下、現地にあった看板のFナンバーで記述する。私は写真を撮りたいので後ろを歩きたいのでどうぞ好きなところを登ってと3人に促す。しかし、W君が思ったより左側を登るのでこっちの方がいいよと水流沿いを登ってしまい、あまり写真は撮れない。水は冷たくなく気温も高いので10月とはいえ沢日和だ。

源次郎沢F1
10/2 源次郎沢F1。水流の左手を登る。
源次郎沢F2
10/2 源次郎沢F2を登る。

 F2は2段8mの滝。下段は左から簡単に登れる。上段は2条になっており、右側を登る。

源次郎沢F2
10/2 源次郎沢F2上段は水流の横を登る。
源次郎沢F4
10/2 源次郎沢F4樋状。下段は水流沿いに登る。

 F3は覚えていない。F4は4m樋状。水流沿いに登る。上段がシャワークライミングか両足を突っ張って登るかで体の前面が濡れる。ラストのSさんが2回落ちていたがけがはないようだった。

源次郎沢F4
10/2 源次郎沢F4上段は水流の中を登る。
源次郎沢F5
10/2 源次郎沢F5は水流左のリッジを登る。

 F5は10m、左上から右下への斜瀑になっている。水流左のリッジが登れ、ザイルを出す。2箇所しかボルトがない。慣れていればザイルはいらないのだろう。私がトップで登ってラストのSさんを確保していると2人組が登ってきた。F5の上は河原になり二俣になっていた。右俣よりを歩いているとF6が見える。

源次郎沢F5
10/2 源次郎沢F5を登るW君。
二俣
10/2 二俣。右奥にF6が見える。

 F6は水流沿いを登るのかルートに迷うが、残置ハーケンを見ると左壁を登るようだ。F6の看板の上に登る。壁が立っていたので1箇所シュリンゲをかけてA0で登る。私自身トップで登るのに迷ったし、ほか3人も確保して登ったので時間がかかる。後続の2人組はしばらく待っていたが左岸のルンゼから巻いていた。

源次郎沢F6
10/2 源次郎沢F6。看板の上を登る。
源次郎沢F6
10/2 源次郎沢F6を登るTさん。

 F6の上で少し休む。沢の流水を汲んでみるが土粒子が浮いていてあまりたくさん飲みたくない。口をすすぐ程度に飲む。しばらく登ると「遅いじゃん」と声をかけられる。なんとKさんが1人で追いかけてきていた。大倉バス停を9時頃出てきたというので2時間ほどの差を詰めてきたことになる。速い。「追いつく頃には大倉尾根出てると思っていた」って言われてもザイル2回出しているし、読図を教えているしなあ。以降、Kさんと同行する。

 F6から10分ほど登ると水が涸れてくるので水を汲むがやっぱり土粒子が浮いている。仕方ない。F7以降は涸れ棚。F7はただの岩の積み重ね、F8は両側に岩があるがほとんど河原になっている。F9はチムニーの中を登るが、スタンスも多いので難しくない。チョックストーンの下で右に出る。

源次郎沢F9
10/2 源次郎沢F9。奥まったチムニーを登る。
源次郎沢F9
10/2 チムニーの中は意外にホールド・スタンスがある。

 F10が源次郎沢の核心部。「東京起点沢登りルート120」ではF9と表現され8mだが、もっと大きく感じる。左壁は難しいらしいので右壁を登る。Kさんがトップで行きたいというのでお願いする。Kさんはハーネスを持ってきていないのでザイル末端を8の字に結んで腰に巻き、ハーネス代わりにしていた。中段までは難しくない。中段から1段登って右へ抜けるところが難しい。ハーケンも多い。右へ抜けるところはシュリンゲをつかんでA0で登る。そこから落ち口へのトラバースは右側の岩がせり出していて1段下に足を下ろすのが難しい。セカンドのW君は右へ抜けるところと落ち口へのトラバースで苦戦していた。Tさん、Sさん、中山と続く。途中地図読みしていて遅れていた後続の2人組は私たちの様子を見て左側の巻き道を登っているようだった。単独行もやってきたが、彼も巻き道を登っていきその後会うことはなかった。

源次郎沢F10
10/2 源次郎沢F10をリードするKさん。
源次郎沢F10
10/2 源次郎沢F10全景。けっこう立った壁である。

 F10を越えると難しいところはなく後はツメだ。沢の中に草が生えてきてから左手の斜面に取り付く。笹を掴みながら登る。ヤブは薄いが傾斜が強い。日差しも出てきて明るくなる。植林帯に入り、あまり登らないようにトラバースしようとしたが、深い雨裂があって渡れない。仕方なく登る。途中から植林帯を抜けて草付きを登ると花立山荘であった。

源次郎沢詰め
10/2 草付きを詰める。
花立山荘
10/2 花立山荘に出ると雲海の上であった。

 花立山荘は人が多く、沢とはだいぶ様相が違う。天気は晴れで南を見ると相模湾は見えず雲海が広がっている。下界はくもりのようだ。沢たびを脱いでみると各自足にヒルがついていたり、血が出ていてげんなりする。特にSさんは深く食われたようでシャツのへそのあたりに血がにじんでしかも止まらないと言っていた。

 靴に履き替え大倉尾根を下る。久しぶりに下るが、木の階段が多く、でこぼこの石畳は滑りやすく、実に歩きにくい。意外とこの時間にも登ってくる人がいるが、小屋泊りなのだろうか。大倉尾根は人が多く、変わった人も多い。KさんとSさんはさっさと下ってしまい、私たちは1時間15分で大倉バス停に下りついた。待っていたバスに乗り込み渋沢へ向かう。小田急線に乗って後は各自で解散した。

おわりに

 10月の沢登りは寒くてろくに登れないことがあるが、今回は気温が高く、花立山荘では雲海の上で沢日和であった。久しぶりの丹沢はよかったが、あんなにヒルがいると登る気が起きない。

 私たちはすべて直登できたので初級の沢とはいえ充実した山行になった。F5、F6、F10でザイルを出したが、それぞれ巻こうと思えば巻けると思う。

(2016年10月2日記す)


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