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2016年秋 - 南アルプス・北岳


2016年9月17日(土)〜18日(日)
場所
山梨県南アルプス市(旧・中巨摩郡芦安村)
ルート
7月16日
高尾=甲府(泊)
7月17日
甲府=広河原…白根御池小屋…Dガリー大滝の下…白根御池小屋(泊)
7月18日
白根御池小屋…肩の小屋…北岳…肩の小屋…白根御池小屋…広河原=芦安=甲府
参加者
リーダー K、中山、H
参考文献

はじめに

 北岳バットレスは北岳の東面にある岩壁である。当初は第五尾根支稜からの第四尾根を目指したが、天候不順のため肩の小屋経由で北岳山頂を往復した。北岳に登るのは7年ぶり4回目である。

0日目

2016年9月16日(金)

高尾=甲府(泊)

 3連休は中央道が混雑するので列車で移動する。高尾駅22:26発小淵沢行きの列車は6両全てロングシートであった。ビールを飲んで甲府に向かう。改札前のみどりの窓口まで仮眠する。

1日目

2016年9月17日(土) くもり

甲府=広河原…白根御池小屋…Dガリー大滝の下…白根御池小屋(泊)

コースタイム
広河原バス停6:30
7:04
二俣・白根御池分岐7:30
1860m7:58
8:11
2050m8:40
8:53
白根御池小屋9:39
10:15
大樺沢二俣10:33
10:50
C沢出合11:22
11:30
Dガリー大滝の下12:03
12:30
Dガリー大滝の下14:05
14:20
大樺沢二俣15:07
15:14
白根御池小屋15:33
19:00就寝

 甲府駅を4:35に出発するバスに乗車する。3連休にもかかわらずバスは3台と少なかった。乗車、着席して車内で切符を買う。途中、高速バスと接続するバス停、芦安バス停で停車する。芦安で乗客が隣に乗ってきたため、ザックを膝の上に乗せ寝る。

 広河原に着く頃には明るくなっていた。3連休はくもり時々雨の予報だったので、降っていないのは幸いであった。以前はなかった広河原インフォメーションセンターというきれいな建物が建っていた。バスの切符売り場、トイレ、水汲み場、ロッカー、休憩所を兼ねた施設であった。男子トイレに20人くらい並んでいたが、奈良田よりの仮設トイレが空いていたのでそこで用をたす。着替えをロッカーに預ける。KさんとHさんから甲府で買ったビールを預かる。

広河原インフォメーションセンター
9/17 新設されていた広河原インフォメーションセンター。
下部岩壁bガリー
9/17 野呂川から見上げる北岳。朝のうちは晴れていた。

 野呂川を渡るつり橋の手前で北岳が見えた。標高の高い山にしては近く見える。つり橋を渡って広河原山荘の横から登り始める。荷物は重く、足取りはゆっくりである。途中、各自の持っているハイキングマップを広げたときに、私の持っている地図は高校1年生のときに買ったから20年近く経つことに気づく。

白根御池小屋への道
9/17 白根御池小屋へ急登を行く。
白根御池小屋
9/17 白根御池小屋に到着する。

 2時間半ほどで白根御池小屋に到着する。テントを張って相談する。今日より明日、明後日の方が降水確率が高い。Hさんから今日バットレス第四尾根に取り付かないかと提案を受ける。すでに10時を回っているので途中でビバークする可能性もあるが、少しでも登る可能性を追求するなら早いうちがよい。急いで登攀道具を揃えて出発する。明日肩の小屋から北岳を往復する予定のOさんは今日に前倒しした。

白根御池小屋
9/17 白根御池小屋にテントを張る。
C沢出合
9/17 C沢出合で水を汲む。

 大樺沢二俣経由でバットレスに向かう。歩いていても眠い。二俣でHさんが肩の小屋方面へ登ってしまうトラブルもあったが、3人揃って大樺沢左俣を登る。下部岩壁を第五尾根支稜から登る予定だが、取り付きに登る道がわからない。D沢あたりを登り、尾根をトラバースして踏み跡に出た。踏み跡を登り詰めるとDガリー大滝の下に出た。登攀準備を行う。

D沢
9/17 誤ってD沢を登ってしまい、C沢・D沢中間尾根に上がる。
ピラミッドフェース
9/17 C沢・D沢中間尾根を登りピラミッドフェースの下に出る。
第五尾根支稜
9/17 第五尾根支稜を登る。mouseoverでルート表示。
第五尾根支稜
9/17 第五尾根支稜1ピッチ目を登るKさん。

 1ピッチ目、Kさんリード。Dガリー大滝の下を左にトラバースする。ハーケンがあまり見当たらない。

 2ピッチ目、中山リード。ハングの下をトラバースし、第五尾根支稜に出る。さらにフェースを20m登り、ピッチを切る。ハーケンは多い。

 3ピッチ目、Kさんリード。リッジを登る。ハイマツが生えていて易しい。Dガリー大滝の上に出る。

第五尾根支稜
9/17 第五尾根支稜2ピッチ目を登るHさん。
第五尾根支稜
9/17 第五尾根支稜3ピッチ目を登るKさん。

 このとき、近くには2パーティーいた。1パーティーは時間切れでDガリー大滝を懸垂下降で下る2人組、もう1パーティーは第五尾根支稜を末端から登る4人くらいのパーティー。折しもガスが下りてきて雨が近づいていることを知らせるようであった。相談して今日の登攀をやめて引き返すことにする。下る前に目の前のルンゼを少し登ってみる。1箇所ハーケンを見つけ、途中から右のフェースを登ることがわかった。残置シュリンゲを使って懸垂下降で下る。50mザイル2本でギリギリの長さであった。1箇所ハングしている箇所があり、最初に下った私は態勢を崩してしまった。

第五尾根支稜
9/17 第五尾根支稜4ピッチ目を仰観する。
Dガリー
9/17 Dガリーと下降点の残置シュリンゲ。
Dガリー
9/17 Dガリー大滝を懸垂下降する。
白根御池小屋
9/17 白根御池小屋のテント場へ戻ってきた。

 Dガリー大滝の下で装備を解除し、白根御池小屋のテントに戻る。池の周りには他にもテントが増えていた。私が天気図を取ろうと外でラジオの同調を行っているとOさんも北岳山頂から戻ってきた。意外と早い。Kさんはテントで寝ていた。

 夜はKさんの持ってきたステーキ肉をいただき、ビールを飲んだ。テントに入ってからひどく足がつり、外に出て悶えてからストレッチをした。寝不足と高山病で頭がぼんやりするのとでマーボー豆腐を食べたら寝た。KさんとHさんは元気なようすであった。明日の天気は雨とラジオが告げており、明日登るのは困難そうであった。一応2時に起きることにして就寝する。

2日目

2016年9月18日(日) 雨

白根御池小屋…肩の小屋…北岳…肩の小屋…白根御池小屋…広河原=芦安=甲府

コースタイム
白根御池小屋4:00起床
5:40
大樺沢二俣分岐下
植生保護柵2720m
6:37
6:52
小太郎山分岐7:06
肩の小屋7:31
7:40
北岳8:07
8:12
肩の小屋8:31
8:38
大樺沢二俣分岐9:00
9:07
白根御池小屋9:42
10:14
1910mベンチ11:00
11:12
広河原バス停11:45
12:25

 日付が変わる頃から雨が降り始める。2時に起きるが、雨なのでアタックはやめて4時に起きることにする。ラーメンを食べながら今日の行程を考える。Hさんがせっかくここまで来たから北岳に登りたいと主張する。私は稜線の雨風が強いだろうな発言すると、Kさんから中山嫌ならテントに残っていてもいいよと言われる。でもこれで帰ったら白根御池小屋に泊まりに来ただけになってしまうので私も登ることにする。Oさんは広河原に下山する。

植生保護柵
9/18 大樺沢二俣分岐下2720mにある植生保護柵前で休む。
鳳凰三山
9/18 一時は雲が上がり鳳凰三山が見えた。

 雨の中白根御池小屋を出発する。ザックカバーを持ってくればよかったと後悔する。Kさん、Hさんは傘をさしながら歩く。道沿いにはチョロチョロと雨水が流れている。1時間登って植生保護柵があるところで休む。雲が上がってきて鳳凰三山が見えた。ひょっとしてくもりくらいで天気は持つのだろうかと期待する。私の左靴のつま先が剥がれてきたのでKさんのテーピングで補修する。

肩の小屋
9/18 肩の小屋の軒下で休む。
小太郎尾根
9/18 雨の小太郎尾根を登る。

 少し登ると大樺沢二俣からの道を合わせる。さらに尾根に出て小太郎山の道を分ける。尾根の道はときどき西風が強く吹き、雨も強い。寒いので途中で1枚防寒着を着た。肩の小屋の軒下で休む。肩の小屋からも西風と雨が強くなったり弱くなったりであまり面白くない。人はまばらに歩いている。北岳山頂は東側に寄ると風は弱かった。集合写真を撮って肩の小屋経由で白根御池小屋へ戻る。

北岳
9/18 北岳山頂に到着する。標高は3193mになっていた。
小太郎尾根
9/18 肩の小屋へ戻る。眼鏡に水滴がついて見えない。

 登ってくる人もそこそこいて団体さんも登ってきた。年配の人もいたが悪天候でよく登るものだ。私は眼鏡に水滴がついてろくに前が見えないので眼鏡を外して歩いた。小太郎山分岐で尾根から東側に下ると風は止んだ。雨は止まず、登るときに見えた鳳凰三山も見えなかった。黙々と下り白根御池小屋に着く。

 雨は本降りなのでテント内でパッキングを行い、最後にテントを畳む。行きにOさんに背負ってもらったテントは私が背負うことにした。びしょ濡れのテントをザックに入れると重い。

 広河原に下る道は水が流れていて歩きにくい。木の根に足をかけると滑る。10年前に買ったカッパはところどころ穴が空いていて中に着ているTシャツがだんだん濡れてくる。歩いている分には寒くないが、休むと寒い。カッパは3年おきくらいに買い換える必要があるなと感じた。

白根御池小屋
9/18 テントを回収する。
広河原へ下る道
9/18 広河原へ下る道は雨水が流れていた。

 白根御池小屋から2時間で広河原に下り、乗合タクシーで芦安に向かう。芦安で風呂に入り、少し酒を飲んでバスに乗車する。甲府からはホリデー快速ビューやまなし号に乗って帰京した。

おわりに

 3連休は雨の予報で岩登りは困難であったが、登山道から北岳を登れたのはよかった。

(2016年9月19日記す)


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