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2015年秋 - 上信・中津川魚野川[2/3]


2015年9月19日(土)〜9月21日(月・祝)
場所
群馬県吾妻郡中之条町(旧六合村)、長野県下水内郡栄村、下高井郡山ノ内町/上信国境
ルート
9月19日
高崎=長野原草津口駅=野反湖バス停…地蔵峠…渋沢ダム(泊)
9月20日
渋沢ダム…千沢出合…黒沢出合…小ゼン沢出合…燕ゼン上1360m付近(泊)
9月21日
燕ゼン上1360m付近…北ノ沢・南ノ沢二俣…寺子屋峰・赤石山1960m鞍部…寺子屋峰…高天ヶ原サマーリフト上=高天ヶ原バス停=湯田中駅=長野駅
参加者
中山、H
参考文献

2日目

2015年9月20日(日) くもりのち晴れ

渋沢ダム…千沢出合…黒沢出合…小ゼン沢出合…燕ゼン上1360m付近(泊)

コースタイム
渋沢ダム5:20起床
6:51
千沢出合7:11
桂ノ沢出合7:16
井戸沢出合8:05
十六沢出合8:33
8:52
高沢出合9:03
大ゼン9:30
ナマリ岩10:10
黒沢出合10:16
11:21
カギゼン沢出合12:32
カギトリゼン下12:35
12:40
奥ゼン沢出合13:33
小ゼン沢出合13:52
燕ゼン上1360m付近14:04
20:00就寝

 シュラフを持たずシュラフカバーで寝たのだが、夜は寒かった。底冷えはないが、気温が低く空気に触れている面が冷えるので何度も寝返りを打つ。保温下着を着るかどうか迷うが結局ゴロゴロして朝まで過ごした。避難小屋の中で暗かったからか4:30に起きるつもりが5:20に起床する。ラーメンを食べて渋沢ダムを出発する。ごく弱い小雨が降っていて入渓する気分にならない。

 吊り橋で渋沢を渡り、昨日見つけた営林小屋跡の先の赤布から踏み跡をたどる。急な崖にトラロープがぶら下がっており、つかまりながら河床にたどり着くとテントとタープが張ってあった。道具類がぶら下がっていたのでまだ寝ているのだろう。広く水量の多い河原を歩く。久しぶりの大きな川に来られた喜びとこの冷たい水に浸かりたくないという思いが交錯する。上流へ向かって歩いていくと単独の釣り師が歩いていた。この先2パーティーがテントを張っていることを教えてくれる。釣り雑誌か何かに魚野川が紹介されて入渓者が多いそうだ。焚き火の煙が見えてくると千沢出合で2張のテントがあり、下流側は6人もの大人数であった。ダウンジャケットを着ていて暖かそうであった。河原が広いからか千沢と魚野川の水量は同じくらいに見えた。

魚野川下降点
9/20 昨日の営林小屋からトラロープを伝って魚野川へ下降する。下りたところにテントが1張あった。
千沢出合
9/20 千沢出合には大所帯の釣り師が幕営していた。

 千沢を分けて魚野川に入る。ものの3分ほどで廊下状の河原を抜ける。桂カマチだろうか。川原石で埋まっていて股下くらいの深さなのでザブザブと歩く。抜けると右手に桂ノ沢が滝をかけて落ちている。滝には大きな流木がかかっていて桂ノ沢から流されてきたのだろうか。

桂カマチ
9/20 廊下状の桂カマチ。水深は股下くらい。
桂カマチ
9/20 桂カマチを過ぎると右手に桂ノ沢が滝をかけて下っている。

 河原は少なく、水面のあたりをザブザブ歩くとS字状の箱淵。右岸を水線沿いにへつり、沢が小段になっている上をジャンプで左岸に渡る。膝下まで浸かってのジャンプであったが、流されずに何とか飛び付けた。Hさんはザックを先にシュリンゲで渡して、本人もシュリンゲをつかみながらジャンプした。体前面が濡れてしまい寒そうであった。

箱淵
9/20 箱淵入口。夏なら泳ぐけど寒いので左をへつる。
箱淵
9/20 箱淵の途中で右岸から左岸にジャンプする。mouseoverでルート表示。

 廊下いっぱいに広がる沢水は冷たく、箱淵を越えた後も腰まで濡れながら渡渉する。「ヤマケイアドバンストガイド 沢登り 入門とガイド」にはいよいよ桂カマチ、箱淵、不動コイデ、中石、金山淵とイタドリ川原まで悪場が続く第一の核心部だと書かれているが、不動コイデ以降は分からなかった。桂ノ沢出合から30分ほどで左岸にケルンを見つけた。振り返ると左岸にピンクテープが2つあった。増水時はこの左岸巻き道を登るのだろう。入り口は桂ノ沢出合らしいが見つからなかった。巻かずに水線沿いに来られたことに満足する。

箱淵
9/20 箱淵を過ぎてもへつりが続く。
イワナ20cm以下放流の看板
9/20 志賀高原漁協のイワナ20cm以下放流の看板がぶら下がっていた(白矢印)。

 巻き道終わりからしばらくで廊下を抜け、川原歩きになる。井戸沢の手前で志賀高原漁協のイワナ20cm以下放流の看板を見つける。釣り人が多いから小さいのは放流しないとみんな釣り上げられてしまうのだろうか。井戸沢はガレの押し出したような感じで目立たない。高沢出合まで川原をてれてれ歩く。ときどき淵があって渡渉する時に股下まで濡れる。十六沢出合で一休み。

イタドリ川原
9/20 イタドリ川原を歩く。
高沢出合
9/20 高沢出合。

 イタドリ川原を歩いていくと高沢出合に出る。高沢出合は廊下状になっていて、左岸をへつる。ちょっと頼りないホールドをつかんでへつる。Hさんはザックに振られるみたいでザックを先にもらってザイルで確保して通した。高沢出合を過ぎると魚野川最初のナメが出てきて大ゼンに至る。大ゼンは左岸のガレを使って巻くが、割に最近ガレが崩れたようで、不安定な岩に乗り上がってトラバースする。ここでもHさんのザックだけ引き上げる。

高沢出合のへつり
9/20 高沢出合のへつりでザイルを出す。
高沢出合
9/20 高沢出合を過ぎると最初のナメ。
大ゼン
9/20 大ゼンにて私。右の崩壊したルンゼからトラバースする。
釣り師
9/20 途中で釣り師のおじさん2人を追い抜く。

 高沢出合からは特徴のうすい川原歩きが続き、2人組の釣り師に追いついた。ぶら下げている網には数匹の魚が見えてそこそこ釣果があるようだ。Hさんが聞いたところ、小ゼン沢を上がるとか。釣れている人を見てHさんも「私達も釣れるかしら」と色めきだつ。私は釣りをしたことがないので、私を頼らないでと答える。

 右岸に材木岩みたいな節理の横をザブザブ浸かって歩き、5分ほどで川の真ん中にでんとナマリ岩が据えてあるのを認める。水が出てもこの岩は流されないのだろうか。ナマリ岩の直線から突き当たって左に曲がるところが黒沢出合

 黒沢出合で大休止する。日差しも出てきて快適である。食パンを食べ終わって川虫を捕り、Hさんが竿を出す。出合に深い淵が見えるのでそっちに竿を伸ばすが何も起こらない。Hさんに竿を渡すと黒沢に竿を置いてきていた。重りがなくて沈まないとダメなんじゃないと聞くと重りは持ってきているというので私がつけることになる。穴は開いておらず切っ欠きがあるので、クローブヒッチで結べばいいかと思い、糸を引っ張り上げてみるとまさかのイワナが引っかかっていた。びっくりしてHさんを呼び、針を外したりワタを取ったり処理する。

ナマリ岩
9/20 遠くから見ても分かるナマリ岩(白矢印)。
黒沢出合
9/20 黒沢出合で竿を出す。

 これに味をしめて私が竿を持って歩くことになる。私の方が歩くのが早いから、という理由だが、河原の石や岸から出た枝に引っかかってそれを取るのにひどく労力を要する。引っかかるたびに餌の川虫がいなくなってしまい、つけなおしたりしていたらだいぶ置いて行かれた。竿をしまって追いかける。釣り人は竿を出しながら歩いているが、私には無理だ。

 Hさんに追いつくと魚影を見た、という淵で待っていた。竿を渡して様子を見るが釣れる気配はない。人の姿や声で隠れてしまうそうで、ひっそりと声を沈める。どうせ初心者のやることだから小手先の技術ではなく、ビギナーズラックに賭けた方がいいだろうと思うが、せっかくがんばっているので口には出さない。そこで竿をしまった。

淵
9/20 淵にトラロープがぶら下がっているところ。私はロープを使わず水線沿いに進んで手足突っ張って登った。
カギトリゼン
9/20 沢幅いっぱいに流れるカギトリゼン。

 その後も魚いるんだろうな、と思う深い淵を見ながら歩く。1225m付近の淵には右岸にトラロープが張ってあった。私はあえて水線沿いに行き、岩の間を突っ張って登った。Hさんはトラロープのぶら下がったところからスタンスを見つけて登ってきた。右岸に湿っぽい岩屋を見たあと、左岸にカギゼン沢が合流する。行く手にはカギトリゼンが見える。

 川幅いっぱいのカギトリゼンが美しい。カギトリゼンの淵でHさんが竿を出し、私は道を探す。左手のナメから登る。空身で少しだけ取り付きルートを確認したあと、ザックを背負って登った。一手、ぬめっていてちょっと嫌だが、それを越えれば難しくない。一応ザイルを出す。右岸にトラロープがぶら下がっていたのでこれを支点にした。

カギトリゼン
9/20 カギトリゼンの左側を登る。一応ロープを出す。
イワスゴゼン
9/20 イワスゴゼンは右から登る。

 カギトリゼンから10分ほどでイワスゴゼン。これも川幅いっぱい。左岸から登る。イワスゴゼンの上はナメになっていてその奥にスリバチゼンが見える。天気も晴れて明るく気持ちの良いところだ。スリバチゼンは3mほどの小さなナメ滝。右岸からへつり上がると右岸に枝沢がナメ滝かけて合流していた。その先は深く青い淵があり、右に曲がったあとは平滑が続き、高さ2mのヘリトリゼン。ナメが続き、人影が見えた。近づいてみるとタバコを吸う親子連れであった。あんまり釣果がないとかでこの辺きれいなので写真撮ったりしてぶらぶらしているとか。お父さんは何度か魚野川に来ているそうで、庄九郎滝の先の左岸によいテン場があると教えてくれた。また、稜線まで抜けると伝えると庄九郎滝の巻き道はロープの場所を行くと危ないので、踏み跡に忠実に従っていくよう助言を受ける。

スリバチゼン
9/20 スリバチゼン手前の平ナメ。奥にスリバチゼンが見える。
ヘリトリゼン
9/20 ナメは続きヘリトリゼンを登る。

 親子連れと別れてすぐ奥ゼン沢出合。私は気づかず通り過ぎ、Hさんに指摘してもらって確認しに行った。その先、岩は少し大きめになり、段々の渓流になると小ゼン沢出合に出る。右には本流に燕ゼンをかけている。燕ゼンは斜瀑となっており、豪快である。右手から登る。燕ゼンを抜けると廊下になっており、その先に河原があった。探すまでもなく親子連れにアドバイスをもらったテン場を見つけた。テン場を探すのも面倒だし、釣りとか焚き火とかするなら14時はちょうどいい時間なのでここで幕営する。

小ゼン沢出合
9/20 小ゼン沢出合で魚野川は燕ゼンをかける。右から登る。
幕営
9/20 燕ゼンを過ぎて廊下を越えたところで幕営。

 今日はHさんが釣り、私が焚き火。釣りは何も釣れず、私も焚き火がつけられず、成果が得られなかった。焚き火をHさんに代わってもらったらちゃんと火が付いた。もう少し条件が悪くても焚き火をつけられたはずなのに、下手くそになっていてちょっとショックを受ける。釣ったイワナ1匹を洗って棒に刺し塩を塗り込んで焚き火であぶる。いい色に焼けてから2人で交互に食べた。Hさんは明日のうちに帰りたいらしいが、私は予備日としてあけてあるしどっちでもいいよと答える。焼酎を飲んで昨日と同じ20時に寝る。


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