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2015年夏 - 北八ヶ岳・蓼科山


2015年7月4日(土)〜7月5日(日)
場所
長野県茅野市、北佐久郡立科町、佐久市、(旧北佐久郡望月町含む)、南佐久郡佐久穂町(旧佐久町)
ルート
7月4日
立川駅=竜源橋…蓼科山登山口…蓼科山…大河原峠…双子池キャンプ場(泊)
7月5日
双子池キャンプ場…亀甲池…天祥寺原…竜源橋=立川駅
参加者
中山、K、H
参考文献
「山と高原地図32 八ヶ岳・蓼科」(昭文社,2000)

はじめに

 蓼科山は俗に北八ツと称せられる連嶺の一番北の端に、一きわ抜きん出ている峰で、その余威はさらに北へ向って、次第に高さを落しながら広大な裾野となる。

深田久弥「日本百名山」(新潮文庫,1986)P.270

 当初、奥秩父の滝川豆焼沢に沢登りに行こうとしていたのだが、金曜日に雨降りの予報が出ていたので縦走に変更した。雨が降るという前提で山を探してもあんまりいいところがない。避難小屋に入れれば雨でも快適であるが、いい小屋もルートも思い浮かばない。行ったことのない百名山を考えて至仏山か蓼科山を提案し、多摩から近い蓼科山になった。私にとって4年ぶりの百名山で、たぶん百名山51座目。

 車の回収とテント場を考慮し、蓼科山登山口から登り、双子池に幕営し、竜源橋に下るルートを設定した。

1日目

2015年7月4日(土) くもりときどき霧

立川駅=竜源橋…蓼科山登山口…蓼科山…大河原峠…双子池キャンプ場(泊)

コースタイム
竜源橋10:02
10:37
蓼科山登山口(女神茶屋)10:56
11:03
2113.3m三角点11:57
12:16
2345m付近12:57
13:09
蓼科山13:35
13:42
蓼科山荘14:09
14:15
大河原峠15:06
15:21
双子池キャンプ場16:02
21:30就寝

 6:30立川集合。朝少し寒く、1枚羽織って家を出る。立川は降っていなかったが、Hさんによると越谷は降っていたとのこと。中央道を西へ進むと小仏トンネルの先で5台の追突事故があって渋滞していた。諏訪ICで下りて途中イオンタウンで酒の買い物、ビーナスラインを登って竜源橋に到達した。右岸の駐車スペースに停める。他に車はなく、水たまりがあったが、雨は降っていなかった。出発は10時過ぎと登山にしてはずいぶん遅くなってしまった。

 ビーナスラインを白樺湖方面へ歩く。途中、駐車場になっている女の神展望台があり眺めてみるが、手前の蓼科山の裾野は見えるもののその向こう側は見えない。看板によると南アルプスや中央アルプスが見えるらしい。

 峠の手前で女神茶屋に着く。道の西側に女神茶屋が建っているが、営業していないし、水もない。2000年のエアリアマップにはここに水場マークがあるので汲もうと思っていたKさん、Hさんはあてが外れてしまった。私は福生の自宅から2リットル水を背負ってきたので、共同で飲むことにする。峠よりの道の東側が駐車場になっており、10台以上の車が停まっていた。

女神茶屋
7/4 女神茶屋は営業していなかった。水は手に入らず。
蓼科山登山口
7/4 蓼科山登山口から笹原を登る。

 蓼科山登山口のバス停から歩き始める。はじめはなだらかな笹原だが、シラビソの林に入ると急な登りである。沢みたいに大きな石が出っ張っている道を歩き、2113.3m三角点のなだらかなところで一休み。周りはガスで風はなく涼しい。2113.3m三角点から少し平坦なところを歩くが、後は急登。上から日帰りの客が次々と下ってくる。朝のうちに蓼科山登山口を出発し、往復するのだろう。テント泊の荷物の人はいない。途中2345m付近で休むとウメバチソウが咲いていた。

ウメバチソウ
7/4 ウメバチソウらしき花。
縞枯れ
7/4 縞枯れを通り過ぎる。
蓼科山
7/4 がれ場みたいな登り。
2113.3m三角点
7/4 ひとしきり登った2113.3m三角点付近は平らかで休みやすい。

 縞枯れが顕著なところがあり、これが北八ツの縞枯れかと感心するが、なぜ縞々になっているのか思い出せなかった。確か「山の自然学」に載っていたと思うのだが、家に帰っても本が見当たらないので分からない。ただWikipediaには以下のように書いてあった。

 八ヶ岳の北横岳・縞枯山では、同一地域のシラビソとオオシラビソが一斉に枯死 → 稚樹が一斉に成長 → 同じくらいの寿命で再び一斉に枯死というサイクルを繰り返し、白い枯れ木と緑の樹木が帯状に連なっているため、「縞枯現象」と呼ばれる。この「縞」は、木の生長のサイクルに従って、数十年単位で山頂方向にゆっくりと移動している。

シラビソ - Wikipedia

 2450m付近でシラビソ林を抜けて大岩がごろごろする道になる。木が生えていないので晴れていれば一気に眺めが広がるのだろうが、ガスしか見えない。遮るものがなくなり、西風が寒いのでカッパを着る。道は蓼科山の東側を巻き、蓼科山頂小屋に出る。そこから山頂まで往復。ガスの中から人の声が聞こえてきてそこが蓼科山山頂であった。急登の割にのっぺりした山頂はガスに巻かれていると本当に最高点なのか不安になる。30人くらいの団体が去ったと思ったら次々と人が来る。寒いのでHさんの到着を待って出発する。

蓼科山
7/4 山頂付近のガレ場。ガスに巻かれると道がわかりにくい。
蓼科山
7/4 団体さんで混雑する蓼科山山頂。

 蓼科山山頂小屋までくると風は弱い。そのまま将軍平へ下る。ここも急な上に大岩ばかりで下りにくい道だ。1箇所鎖が備え付けられていた。大人数のパーティーがいて渋滞していたので先を通らせてもらう。抜かせてもらってすぐ将軍平に建つ蓼科山荘に出た。小屋の前にはウソを呼んでいる人がいて、慣らされているのかずいぶん近くまでウソが来ていた。小屋の前にはグッズを売っているテントも張っていてほとんどの登山客は女神湖の方から将軍平を経由して蓼科山に登っているようだ。

蓼科山頂ヒュッテ
7/4 山頂の一角に建つ蓼科山頂ヒュッテ。
蓼科山
7/4 蓼科山から将軍平への下り。岩の下りで混雑する。
蓼科山荘
7/4 将軍平に建つ蓼科山荘も人が多かった。
ウソ
7/4 蓼科山荘でウソを呼んでいる人がいた。

 大河原峠への道へ入ると先ほどまでの喧騒はうそのようで人に会わない。前掛山への道を分けると道が水たまりになっていて、置いてある丸太で渡る箇所があった。その先にはなんの変哲もない平坦な林の中に「佐久市最高地点」の標が立っていた。しばらくはなだらかな道を行くが、標高2300mくらいから下りにくい岩の出た急坂になる。疲れてきたころ、大河原峠に出る。将軍平から大河原峠までの間で会ったのは中高年の夫婦1組だけであった。

前掛山
7/4 前掛山への道を分けると水たまりの道を通る。
「佐久市最高地点」の標
7/4 展望も何もないところにポツンと立つ「佐久市最高地点」の標。

 大河原峠には車道が通じていて車が数台停まっていた。歩いていた人数からすると、蓼科山に行くのではなく双子池に幕営しているのではないだろうか。大河原峠には大河原ヒュッテが建っていたが営業しておらず、見た目もここ数年営業しているようには見えなかった。替わりに喫茶店が1軒営業していた。立派なコンクリート造りのトイレもあり、飲めませんと書かれた水があった。沢水らしい。遅れ気味のHさんを待って双子山経由で双子池へ出発。

大河原ヒュッテ
7/4 営業していない大河原ヒュッテ。
双子山
7/4 ガスの双子山山頂。

 緩やかな笹原の道を登り、登り着くとガスで何も見えない双子山。そのあとシラビソ林を下ると双子池ヒュッテに着いた。ヒュッテの横に車が停まっていて少し興ざめする。幕営の登録をすると1人800円と少々お高めであった。水場はなんと小屋の前の雄池。湧き水だから、ということであったが、池の水を直接飲む場所は登山始めて20年近くになるが他に知らない。水場の入り口には「飲料水 水筒カメラ以外は持ち込み禁止 食事洗面は雌池で 営林署 双子池ヒュッテ」と書かれた看板があった。水を汲み終わってザックにしまうころ、雨が降り始めた。ちょうどHさんも下りてきたので先にテント場に行くと伝える。

双子池ヒュッテ
7/4 双子池ヒュッテに到着。水場が小屋の先にある雄池。
双子池キャンプ指定地
7/4 双子池キャンプ指定地に幕営。

 テント場は雌池の北岸。ヒュッテから半周ほどぐるりと巻く。岸辺ではなく、少し上を巻きながら歩くが、木の根が出て歩きにくい。キャンプ場に着いてみると林間の斜面にアリの巣のように道が伸びていてところどころにテントが張ってある。16時過ぎと到着が遅かったため、適当なテント場が見つけられない。道から下りたところに1つ張れるところがあったのでそこに張る。池側が笹ヤブだが、崖になっていてちょっと危ない。2,3人用で狭いので朝飯など極力荷物は外へ出してザックカバーで包んでおいた。トイレは2箇所大便器だけの小屋が建っていたが、汲み取り式であんまりキレイじゃなかった。

 テントを張ると雨が降ったりやんだりの不安定な天気。ただ強く降ることはない。茅野のイオンタウンで買った肉を焼いたり酒を飲んだりしながら今年の夏どこへ登ろうかと話をした。Kさんは眠いみたいで早めに寝ていた。

2日目

2015年7月5日(日) くもりときどき雨

双子池キャンプ場…亀甲池…天祥寺原…竜源橋

コースタイム
双子池キャンプ場5:00起床
6:43
亀甲池7:11
7:17
天祥寺原7:33
竜源橋8:33
8:50

 テントが傾いていたせいか寝心地が悪く、何度か寝返りするために起きた。明るくなった5時頃起床。シュラフを持たずカバーのみだったがカッパを着込んでいたので寒くはなかった。周りのテントはすでに撤収され家族連れが1パーティー、湖岸で遊んでいた。みんな朝早くから横岳にでも縦走したのだろうか。水は汲みに行くのが面倒なのでとりあえず雌池の水をポリタン半分ほど汲んでおく。でも下りで雨もぱらついていたので口をつけなかった。

亀甲池
7/5 ガスに包まれて幻想的な亀甲池。
亀甲池
7/5 亀甲池から天祥寺平へ平らな道を下る。

 雌池から倒木の道を登り、峠を乗っ越すと急な下りで亀甲池に出た。女池はガスがなかったが、亀甲池はガスが濃く対岸が見えない。西の天祥寺平へ下る。笹原のなだらかな歩きやすい道だ。誰も歩いていなかったが、ぬかるんだところに鹿の足跡を認めた。夜、鹿の鳴き声は聞こえなかったがいるようだ。ごく小さい沢を飛び石で渡ると天祥寺平。竜の湯川右岸に着いた道を下る。天祥寺平は広く、ガスっていると迷いそうだ。夏は道がはっきりしているが、雪が積もったらコンパスで歩くしかない。

天祥寺平
7/5 細い竜ノ湯川を渡って天祥寺平に出る。
天祥寺平
7/5 天祥寺平はぬかるみが多い。

 右へ将軍平への道を分け、割に急な道を下る。1箇所、1900m付近は谷間ながらも平らで水は流れていなかった。右手に鋼製透過型堰堤が見えてきたらすぐ竜源橋に出た。

竜ノ湯川
7/5 竜ノ湯川沿いの道。ときどき下りにくい場所がある。
竜源橋
7/5 鋼製落石防止壁の横を通ると間もなく竜源橋。

 帰りは温泉を探し、朝8時から営業している小斉の湯に入った。700円と普通の値段だが、すいていて、内湯のほかに露天風呂が2箇所、斜面の廊下を登ってたどり着くという迷路みたいな温泉であった。温泉も加水のみでいいところであった。

おわりに

 金曜日に思いつきで決めた山にしては面白かった。雨の予報であったが、関東南部から伊豆諸島にかけて雨が降り、蓼科山はさほど降らなかった。欲を言えば山頂から眺めがあればよかったが、雨前提だったのでしかたない。

 初めての北八ヶ岳であったが、南八ツと異なりなだらかな地形が広がっており、双子池や亀甲池のあたりは高原のようであった。冬にスノーシューで歩くのがはやっているというのもうなづける。双子池の水が飲めるというのも驚きであった。

 蓼科山は女神湖からの往復客が多いようだが、ほかのコースは蓼科山登山口からが少し、それ以外は空いていた。百名山を最短コースで攻めるのが流行っているのだろうか。混雑は嫌だが、ほかが静かならいいかとも思ってしまう。

(2015年7月5日記す)


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