山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2015年山行一覧>西丹沢・モロクボ沢
登攀的要素の多い西丹沢の沢で、モロクボ沢は畦ヶ丸とモロクボ沢ノ頭と梅円の原生林から湧き出す安定した水量が谷筋を磨き、美しい釜、滝とナメ、苔むすゴーロが自然造作された癒し系の沢だ。
宗像兵一編著「東京起点沢登りルート120」(山と渓谷社,2010)
鈴木に沢の選定をお願いしておいたらモロクボ沢になった。私は覚えがないが、地形図を開いてみると沢筋に線が引いてあったので、行こうとしたことがあるようだ。
大滝を登らなければ難しくはなさそうだが、久しぶりの沢だし、西丹沢は少々遠いし、時間がかかると帰りが遅くなるのを危惧していた。西丹沢で他に簡単な沢がないか探したがめぼしいものが見当たらないので、モロクボ沢を行けるところまで詰める作戦になった。
日帰り |
2015年5月24日(日) 晴れ |
西丹沢自然教室…白石沢キャンプ場跡…モロクボ沢…960m二俣…畦ヶ丸東肩…善六ノタワ…西丹沢自然教室
西丹沢自然教室 | 9:36 |
9:42 | |
白石沢キャンプ場跡 | 10:23 |
10:54 | |
水晶沢出合 | 11:42 |
12:00 | |
960m二俣 | 12:30 |
1030m水汲み | 12:37 |
12:45 | |
1140m畦ヶ丸東肩 | 13:04 |
13:23 | |
善六ノタワ | 13:35 |
西丹沢自然教室 | 14:29 |
14:40 |
新松田駅8:14集合。3人ともそれぞれ朝起きるときや乗り換えの際に寝過ごしそうになりながら、8:25西丹沢自然教室行きのバスに間に合った。途中、バス幅いっぱいの狭い道を走りながら1時間かけて西丹沢自然教室に到着した。
15年ぶりに西丹沢自然教室に来たが、全然覚えていない。夕方来て幕営して翌朝檜洞丸に登ったんだっけか。管理事務所の人が登山届の提出を呼びかけていたので書いて提出する。F1を登るのかと問われ、巻くと答えた。
上流の白石沢キャンプ場跡へ車道を歩く。河原にはオートキャンプ場があり、オートキャンプって何やるんだろうと話し合う。白石沢キャンプ場跡に入る橋が狭くて気付かず通り過ぎるが、すぐ引き返してキャンプ場に出る。建物はなく、段々になっている様子がキャンプ場だったんだなとわかる。モロクボ沢沿いにはいくつか堰堤があるが、コンクリート舗装が伸びているので、これに沿って進む。途中橋を1つ渡り、右岸を進む。シカの食害調査か柵に囲まれた植林がいくつかあった。右岸沿いに進んでいくとそのまま別の沢に入りそうになってしまうが、2人に呼び止められてそこで入渓準備を行う。
5/24 白石沢キャンプ場跡を抜けて入渓準備。 |
5/24 大滝まではなんでもない河原を歩く。 |
5/24 大滝にご対面。立派な滝である。 |
5/24 大滝の巻き。階段状のチムニーの岩を登る。段が大きい。 |
入渓は11時近くなってしまった。簡単な沢であってもちょっと不安な時刻だ。もたもたせずに歩くことにする。しばらく何の変哲もない河原を歩く。地形図をみると入渓してすぐゴルジュのはずなのだが、全然ゴルジュっぽくもない。入る沢間違えたかな、と思い始めるころ大滝に出た。なかなかに立派な滝だ。登るとしたら左から取り付き、途中シャワーをかぶって右側に出るのだろうが、そんな時間はないし、水は冷たいのですぐ巻くルートを探す。私が先行してルンゼを登っていたが、足元がグズグズでどうもあやしい。道場からもっと滝よりに踏み跡があると言われそちらへ戻る。階段状のチムニーの岩を登り、すぐ滝上に出た。小さく巻いていたつもりだが、全然見えていなかった。
5/24 大滝を巻き終えるとF2。どこでも登れて楽しい滝だが、水が冷たいので長く水流の中に手を入れられない。 |
5/24 釜でダイブする道場。 |
5/24 緩やかなナメ滝。 |
5/24 堰堤が見える。 |
沢に戻ると、傾斜の緩い滝が続く。釜を持っている滝もあるので、各自飛び込んだり泳いだり滑り台したりしながら歩く。しかし、5月なので水は冷たく、体が凍るようだ。楽しみながら登っていくと奥に堰堤の見えるF5。泳いで取り付き、水流沿いに登る。堰堤は右から巻く。いい区切りではあったが、先を進んでおきたいので水晶沢出合まで歩き、一休み。体が濡れて冷えているのでひなたぼっこする。休んでいる間に1人の釣り人に話しかけられた。曰く、この先に石を積んだ枝沢の入口があるが、これを登ると稜線に出るのかと。分からないが、そうかもしれないと答える。休んでいる間に鈴木が地図をなくし、探したものの見つからなかった。
5/24 釜を泳ぐ。 |
5/24 水晶沢出合で一休み。 |
キジ打ちを1人残して出発。先ほどの釣り人の言うケルンらしきものがあった。しかし地形図を見てもまだ善六ノタワに出られるルンゼには見られない。なんの目印だろうか。その先、善六ノタワに通じるルンゼの出合でキジ打ちを待ち、まだ時間があるし本流を進むことにする。明るいナメを進み、960m二俣で左俣に入ることにする。普通は右俣に入るのだが、どこも標高1200m付近まで詰めなきゃいけないし、早く下りたいしで畦が丸の東肩に出る左俣を進むことにする。
5/24 釣り師の言っていたケルンのある枝沢出合。 |
5/24 苔むした平滑を歩く。 |
5/24 960m二俣。水量の少ない左俣へ入る。 |
5/24 まだ水は流れている。 |
左俣に入っても明るい雰囲気が続き、倒木も少なく、大きな滝もなく歩きやすい。水もチョロチョロではあるが流れている。1030m付近で水涸れのため、水を汲む。石がガラガラと並ぶ沢を登るが、傾斜はさほどきつくなく、足場は安定している。やがて三俣になるので、左のルンゼを登る。ルンゼといっても枯葉が積もった下草も岩もない高さ50mほどのただの斜面だ。3人思い思いのルートを登り、尾根を1分たらず歩けばもう登山道でヤブ漕ぎはまったくなかった。地形図を読むと畦が丸東肩の標高1140m付近だろうか。
5/24 標高1030m付近で水涸れのため水汲み。 |
5/24 石がゴロゴロした沢を詰める。石は意外と安定していて歩きにくくはない。 |
5/24 谷から離れるあたり。 |
5/24 枯れ葉の積もるルンゼを詰める。 |
5/24 支尾根に出てトラバース。 |
5/24 1140m畦ヶ丸東肩で靴に履き替える。 |
あまりに順調に登りきってしまってやや拍子抜けしたが、沢タビを脱いで登山靴に履き替える。結局沢の中には2時間ほどしかいなかった。ちょっともったいない気もする。休んでいる間も人が通ることがなく静かな山である。ジャージを脱いで水を絞ったりした。
5/24 両側ザレた善六ノタワ。 |
5/24 河内川を吊橋で渡って西丹沢自然教室に出る。 |
あとは西丹沢自然教室へ下るだけ。尾根沿いのちょこちょこと登りのある道を下る。善六のタワは左右とも切り立っていて善六ノタワに詰めるならどこか支尾根に取り付かないと登れなさそうだ。善六ノタワのあとは急な尾根を下り、やがて西沢に出て河原沿いの道を延々と下った。ときどきヤマツツジが咲く明るい道だったが、誰も歩いていなかった。西丹沢自然教室に着くとちょうどバス出発10分前で荷物の整理をしてバスに乗った。睡眠不足と疲れていたのとでよく眠って新松田駅に着いた。帰りは鶴巻温泉で下車し汗を流して帰った。
丹沢らしくない明るく土臭くない沢であった。詰めも下草が一切なかったので藪漕ぎがなく快適であった。丹沢というとガラガラの不安定なルンゼか支尾根を30分ほど詰めて稜線というイメージなので良い意味で裏切られた。かなり高いところまで水が流れていたのもよかった。花崗岩のザラザラで水が浸透せずに表面流出しているのだろうか。
入渓時刻が遅く、帰りの交通も考えると時間が短かったので2時間と駆け足で登ってしまったが、下にテントでも置いてダラダラと楽しみながら登ってみたい沢だ。もし、もう一度行くとしたらちゃんと右俣を詰めてみたい。