山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2012年山行一覧>八ヶ岳・柳川南沢小滝
当初は阿弥陀岳北西稜を予定していたが、取付点を見つけるのに手間どり、雪も多かったため、土曜日のうちに稜線までトレースをつけることができなかった。
日曜日に改めて中山尾根を目指したが、取付点で先行パーティーのようすと時計をにらんで引き返すことにした。帰りに南沢小滝でアイスクライミングの真似事をして帰った。
私は南沢小滝を知らなかったのだが、南沢左岸にある氷瀑でアイスクライミングをする人が多く訪れているようだ。日曜日には小滝へやってきたパーティーが私たち以外に2組いた。
Kさんから研いだというバイルを借りて挑戦してみたが、バイルは刺さらず、スタンスは崩れ、腕は疲れて苦労した。トップロープで3回くらい挑戦し、左側の短めのラインで3回くらいテンションをかけてもらいながら何とか登れたが、登りきったら握力がなくなり、環付カラビナが回せないくらいだった。
なお、阿弥陀岳北西稜も中山尾根も4年後の2016年に登った。
1日目 |
2012年1月28日(土) くもり |
立川=美濃戸口…行者小屋(泊)
美濃戸口 | 8:50 |
9:21 | |
美濃戸山荘 | 10:13 |
10:33 | |
南沢2020m付近 | 11:18 |
11:25 | |
行者小屋 | 13:09 |
13:54 | |
北西稜取付点探し | 14:00 |
17:00 | |
行者小屋 | 17:05 |
20:20就寝 |
立川駅6:30集合。Kさんの車で出発。諏訪南インターチェンジを下りるときには一般道にうっすら雪が積もっており、チェーンを付ける車が縦列していた。
そんな天気にもかかわらず美濃戸口の駐車場は車が多かった。準備をして出発しても美濃戸山荘へ向かう車が後を絶たず、何度か車道脇へ避けた。道の入口には「チェーン巻いても厳しい状態」と書いてあったのにチェーンを巻かない四輪駆動でもない車もいて、立ち往生していた。
美濃戸山荘で一休み。車も多いが、人も多い。15人くらいのパーティーが2組、赤岳鉱泉を目指していった。夏でも団体を統率するのは大変なのに、冬は命に関わる分、責任も重いだろう。ツアーか何か知らないが、登山人気は衰えないようだ。
しかし、美濃戸山荘から南沢に入ると人は少なくなる。まばらにしか人には会わない。工事の影響か、本設より立派な仮設の橋がかかっていた。秋にも施工していた堰の工事は冬も継続しているようで、仮設ステージの上で職人さんがトンテンカンテン何かを叩いていた。その先の完成済みの堰のあたりでは急斜面で滑落停止の練習をする3人組がいた。一休みするが、寒い。
しばらく歩いて南沢小滝の分岐。グリーンのロープが張られている。それをくぐって5分ほど登ると南沢小滝がある。先週、KさんとHさんが登ったとか。
引き返して登山道に戻り、行者小屋へ向かう。白河原から見える横岳は雲におおわれており、ときどき雲が切れて稜線が見えた。上空は風が強そうだ。
1/28 白河原から見た横岳。 |
1/28 阿弥陀北西稜の分岐から古い踏み跡をたどる。 |
行者小屋についてテントを張り、明日行く阿弥陀岳北西稜のトレースを付けに行く。行者小屋から南沢沿いの登山道を下り、河原から樹林帯に入ったところでテープがたくさん付いているところに出る。古いトレースも見える。ここだろうと踏んで歩き始める。「チャレンジ アルパインクライミング」ではしばらくトラバースした後、沢に出て、沢を少し登ってから尾根の末端に取り付くという。しかし古いトレースは稜線へとどんどん登っていく。やがて樹林が切れるところへ出て西隣に稜線があるのに気づく。どうやら阿弥陀岳北稜を登っているようだ。道を引き返す。
1/28 トレースはどんどん高度を稼ぐ。気づいたら北稜を登っていた。 |
1/28 登山道を下り、トレースのある沢を見つけた。 |
それではどこかの沢にそって登ればよいだろうか、としばらく南沢沿いに下ってからトレースのある沢を登る。すると上から人が下ってきた。その人曰く、この沢は摩利支天に登る沢という。北西稜よりさらに西寄りの沢のようだ。
1/28 登山道を下り、沢を登る。 |
1/28 先ほど北稜に取り付いた分岐から等高線にそって西へ移動する。 |
また登山道を行者小屋方向へ登り、先ほど北稜へ登ってしまった分岐に来た。このトレースに入り、トラバースを心がけながら進む。10分ほどで沢に出る。2分ほど登ると、2本の木に黄色いテープが2本ずつ貼られているところがある。ここが北西稜の取り付きだろうか。それにしては木が密で登りにくそうだ。雪もヒザくらいまで埋まる。時刻も16:30なので、ここで引き返す。明日ここからラッセルしながら登るには時間が足りないと考え、北西稜へ行くのはあきらめた。
1/28 沢にでて少し登る。 |
1/28 2本の木に黄色いテープが2本ずつ貼られていた。取付点だろうか。 |
1/28 行者小屋に引き返すころには横岳に夕日が当たっていた。 |
1/29 行者小屋から見た大同心(左)と小同心(右)。朝焼けがうっすら当たる。 |
行者小屋に戻り、晩飯とする。7時間行動で、寒く、ルートも不明でひどく疲れた。作った鍋もあまり食べられず、半分くらい残してしまった。足もつり、狭いテントで悶え苦しんだ。夜は寒く、寝ながらヒザとヒザをすりあわせていた。
2日目 |
2012年1月29日(日) くもり |
行者小屋…中山尾根取付点…行者小屋…南沢小滝…美濃戸口=立川(解散)
行者小屋 | 3:40起床 |
6:43 | |
中山乗越 | 6:52 |
中山尾根取付点 | 7:34 |
8:50 | |
中山乗越 | 9:15 |
9:23 | |
行者小屋 | 9:30 |
10:10 | |
南沢小滝 | 10:57 |
12:12 | |
美濃戸山荘 | 12:47 |
13:00 | |
美濃戸口 | 13:33 |
13:50 |
3:40に起床。予定は4時だったが、寒くて起きる。テントの中は冷凍庫のように霜が下りていた。昨日の天気予報では長野で最低気温-7℃だったので、山では-10℃を下回っているのだろう。昨日の残りのご飯を食べたが、量が多く、何度か戻しそうになった。
1/29 中山尾根の取付点へ登る。 |
1/29 中山尾根の1ピッチ目を登る先行パーティー。 |
今日は阿弥陀岳北西稜をやめ、中山尾根へ向かうことにする。中山乗越に着くと中山尾根へ登っているトレースがある。1時間足らずで中山尾根取付点に着く。岩場にはすでに3人パーティーが取り付いていた。少し手前で風を避けて休む。隣の石尊稜で登攀者のコールが聞こえた。その奥には大同心と小同心が大きく控えていた。天気はいい。振り返れば諏訪湖が見える。ただ北風が寒い。
しばらく先行パーティーの動きを見ていたが、ミッテルがなかなか登れない。すぐ下の木をビレイ点としてザイルを出して待つが、寒い。結局、ラストの人が先に登り、ランニングビレイを回収してアプザイレンで下るようだった。それを待つと帰りがかなり遅くなるので下ることにした。
1/29 中山尾根をあきらめ引き返す。 |
1/29 行者小屋からみた阿弥陀岳。左側が阿弥陀岳北稜、右側が阿弥陀岳北西稜。 |
中山乗越に下りついてどこへ行くか相談する。赤岳文三郎道でもよかったが、これも時間がかかる。私が、昨日見た南沢小滝を登ってみたいと提案し、そうすることにした。行者小屋でテントをたたむともう10時。
南沢小滝の分岐にはザックが2つ置いてあった。すでに誰かが登っているようだ。Kさんと私が分岐から小滝へ向かうと、それらしき2人組が小滝から大滝へ向かっていた。小滝は誰も取り付いていないので、トップロープで私が挑戦することにする。Kさんから研いだというバイルを借りる。アイゼンは今シーズン買ったものなので古くはないだろう。
1/29 南沢小滝。青い。 |
1/29 南沢小滝を登る私。疲れた。 |
バイルとアイゼンをむちゃくちゃに振り回せば登れるのだろうと思いきや、全然登れない。バイルは刺さらず、スタンスは崩れ、腕は疲れて苦労した。トップロープで3回くらい挑戦し、左側の短めのラインで3回くらいテンションをかけてもらいながら何とか登れたが、登りきったら握力がなくなり、環付カラビナが回せないくらいだった。ザイルは外して下で回収してもらい、慎重に巻き道をバックステップで下った。
すっかり疲れきって腕も上がらないが、ザックを背負って下る。腕の体力は残っていないが、足は動く。自分のペースで下り、美濃戸山荘に着く。天気はよく、雪が眩しい。暑いので2枚くらい服を脱ぐ。だらだら下って美濃戸口にたどりついた。
帰りはもみの湯による。天気はよかったが、中央道はさほど混んでおらず、スイスイ進んで5時前に立川に着いた。
阿弥陀岳北西稜、中山尾根と迷ったあげく、南沢小滝でアイスクライミングの真似事をした。アイスクライミングは初めてだったが、難しかった。登り方とか道具とかにも左右されるのだろうが、80度くらいの傾斜をつま先で登るのは並大抵の体力ではないと思った。