山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2012年山行一覧>信越・清津川釜川右俣
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清津川釜川は苗場山の北側、霧ノ塔に端を発する川。関東周辺の沢では右俣を紹介しており、今回登ったのは清津川釜川右俣千倉沢横沢右俣の右俣というべきであろうか。日本百名谷に数えられているらしい。
三宅島に来てから水の流れる沢にはご無沙汰していたのだが、3連休に合わせて上京し、沢登りしてきた。
1日目 |
2012年9月15日(土) 晴れ |
新座=(関越道)=塩沢石打IC=国有林専用林道ゲート…取水口…819m二俣下(泊)
国有林専用林道ゲート | 11:20 |
12:10 | |
819m二俣下 | 13:25 |
13:40 | |
819m二俣下 | 14:11 |
20:20就寝 |
立川と新座に分かれて集合。関越道は混んでいたため、国有林専用林道ゲートにつく頃には11時を回っていた。各自出発準備をして、沢へ下る。下り道は古い取水堰の作業道だったようだが、かなり草が生えて歩きにくかった。
下りたところは取水堰であったが、水はすべて取水口に流れており、本流は涸れていた。取水堰は勾配の緩いコンクリートの自然石貼りで歩いて登れた。
9/15 取水口。地形図によるとグリーンピア津南の大谷内ダムまで水をひいているようだ。 |
9/15 大岩を越えていく。 |
しばらく岩のゴロゴロする河原を歩くとトロ20mに出る。幅は5mほどあり、つきあたりで左に曲がっている。泳いでみるものの、とりつく場所がなく、関東周辺の沢の通り左岸から巻いた。ロープがあり、これに従っていった。
9/15 トロ20mは泳いでも滝に足場がなさそうだった。 |
9/15 左岸から巻くとロープがあった。 |
819m標高点の200mほど下流で一休みする。ちょうど河原になっていて広い。休みの後、819m標高点の二俣に出る。時間的にはそろそろ幕を張りたいが、Hさん曰くここから三ッ釜までは幕営適地がないそうだ。819m標高点二俣から左俣に入ったりしながら適地を探すが見当たらない。しかたないので先ほど休んだ819m標高点の200mほど下流に幕を張ることにした。
9/15 819m二俣。テン場を探しに左俣に行くが見当たらず。右俣はゴルジュでテン場は無さそう。 |
9/15 819m二俣の200mほど下の河原で幕営した。 |
いざ幕営と決めてみると水面から1mほどの高さがあり、河原も広く、過ごしやすい。薪も見つかり、よい幕場となった。焚火を囲みながら酒を飲んでいたが、21時頃大粒の雨が降り、みんなテントに避難していた。
2日目 |
2012年9月16日(日) 晴れ |
819m二俣下…三ツ釜…千倉沢…国有林専用林道下(泊)
819m二俣下 | 5:45起床 |
7:13 | |
819m二俣 | 7:19 |
三ツ釜下 | 9:53 |
10:25 | |
1050m付近 | 12:52 |
13:05 | |
清水沢出合下 | 13:17 |
清水沢出合上 | 14:04 |
1180m付近 | 15:12 |
20:50就寝 |
起床して前日の残りのカレーライスを食べ、三つ釜へ向かう。819m標高点二俣を右に入るとゴルジュになる。4mCS滝が現れ、その手前は少々深い淵になっている。朝から足のつかない淵を一瞬泳ぎ、右から水流沿いに登る。一枚岩に水流が当たっており、足が置けなさそうであったが、左足を信じて立ちこむと右手の水流の中にガバホールドがあり、つかまって登った。後続にはロープを出してゴボウで登ってもらった。
9/16 4mCS滝。右の水流沿いに登った。Mouseoverでルート表示。 |
9/16 4mCS滝を上から。一応ザイル出した。 |
しばらくゴルジュを行くとまた淵の先にチョックストーン滝がある。これが関東周辺の沢の5mCS滝
であろうか。滝はよく見えなかったが、左岸に巻き道があったので巻いた。しかし、下り口が見つからず、10mほど懸垂下降した。エイト環を忘れたのでゴボウで下った。
9/16 小滝。 |
9/16 淵。右から巻く。 |
9/16 ヤブの踏み跡をたどる。 |
9/16 巻きの最後は懸垂下降。 |
沢はいったん開けるが、またゴルジュになる。右に曲がるところで5mほどの滝。関東周辺の沢の③釜を持った8m滝
であろうか。でも8mもあるようには見えない。これは左壁の凹角を登る。パッと見ると難しそうだが、Kさんがささっとリードで登ってしまった。とりついてみるとスタンスはあるし、岩はしっかりしている。
9/16 ゴルジュに入る。 |
9/16 釜を持った8m滝らしきものをKさんがリードする。 |
ゴルジュを抜けると沢はまっすぐの淵になり、奥にチョックストーン滝が見える。関東周辺の沢の②20m瀞は泳いで突破。落ち口の2m滝は左岸を登る
だろうか。ここは手前の淵をIさんが右から泳いで突破。滝の上で沢は左に曲がり、ゴルジュに入る。微妙なへつりでザイルを出したりしながら抜ける。
9/16 まっすぐの淵。ここはIさんが泳ぐ(白矢印)。 |
9/16 ザックピストンで引き上げる。 |
9/16 ゴルジュの中のちょっとしたところ。空身で右から水線沿いに行き、右に曲がるところで両岸に手足突っ張って通過。 |
9/16 みんな手足は突っ張らずカンテを上に逃げてしまった。 |
また沢が左に曲がるとそこが三ッ釜の滝であった。左岸は泥岩のようなもろそうな一枚岩のスラブが広がり、奥に三つ釜の滝がそれをなめるように下り、下に滝壺があった。日差しもあって暖かいのでここで一休みする。
9/16 三ツ釜の下で休む。 |
9/16 三ツ釜下段は右手のリッジをフリクションで登る。 |
休んでいると後続の3人パーティーに追いつかれたので先を行く。三つ釜下段の滝は滝の右側のリッジをフリクションで登る。上部でブッシュに入り、下ると下段の滝の落ち口に出る。そこには左から千倉沢、右からヤド沢が滝をかけて2つ目の大きな釜を形成していた。しばし自然の造形を眺めた後、左岸に戻ってさらにブッシュを高巻く。ヤド沢に出るとその下が3つ目の釜であった。ヤド沢を渡ってスラブを下る。微妙に傾斜がついており、下の釜に滑り落ちそうで怖い。思わずザイルを出したが、ザイルを使ったのは私だけだった。
9/16 三ツ釜下段は登るにつれて傾斜がきつくなる。自然と両手両足で登る。 |
9/16 三ツ釜の2段目の釜から見下ろす。 |
9/16 三ツ釜2段目の釜からは右俣のヤド沢経由で登る。 |
9/16 ヤド沢を渡ってからスラブを下る。私だけ怖くてザイルを出した。 |
9/16 三ツ釜から左俣の千倉沢に入ると明るいナメが続く。 |
9/16 ナメ滝を登る。 |
三つ釜から左俣の千倉沢に入っても美しい。沢が明るく、ナメと淵が100mほど続く。やがて谷がせまくなり、沢が左に曲がるところに6mほどの滝があった。淵は深そうだし、樋状になっていて泳いでも取り付けない。滝の左側に凹角があり、ザイル出してKさんがリードして登った。上がったところでダイモンジソウとトリカブトが美しかったので写真を撮っていたが、3人パーティーに追いつかれた。
9/16 6mほどの滝。釜は深く、泳いでも滝には取り付けなさそう。左から登る。 |
9/16 ダイモンジソウが咲いていた。 |
9/16 トリカブトも多かった。 |
9/16 6mほどの滝。水流の左を登る。Yさんが落ちた。 |
すぐまた6mほどの滝があり、Hさんがフリーでとりついていた。ちょっと難しそうだったのでHさんのあとに3人パーティーに先に行ってもらった。3人パーティーはザイルを出さずにすいすいと登っていた。セカンドに私が登り、ザイルを出して確保していたらラストのYさんが落ちた。といっても確保している私にはYさんの姿は見えず、急にザイルをひかれたようすもなく、Hさんの「落ちた」という言葉で知った。Yさんは落ちても動じず、淵を泳いで元に戻り、今度はザックを先行して揚げて空身で登ってきた。ケガはなかったというのが幸いである。
ザイルをたたんでしばらく行くと15mほどの滝。パッと見、大きくて登れなさそうだが、とりついてみると傾斜が緩く、意外と簡単に左壁を登れた。一応ザイルで確保する。上がったところで一休み。関東周辺の沢には三ツ釜から清水沢出合まで10m前後の滝と釜の連続となるが、特に困難はない
と書かれているが、それぞれでザイルを出すとけっこう時間がかかる。また、掲載されている滝と実際の滝の対応がわからなかった。
9/16 15mほどの滝。水流の左を登る。 |
9/16 15mほどの滝を上から。見かけよりやさしい。 |
やがて清水沢出合の下に出る。沢は細長い淵の向こう側で右に曲がっていて様子がわからない。Iさんがザイルをつけて泳ぎ、様子を見に行く。先に大きな滝があり、先行する3人パーティーが右壁を登っているが厳しそうだ、ということで淵の手前で右から巻くことにする。
9/16 清水沢出合下の淵。Iさんに偵察してもらうが、先行パーティーが右壁を苦労して巻いていると聞く。 |
9/16 清水沢出合下。右手の斜面を巻く。もっと下流から巻いたほうがよかったようだ。 |
Kさんたちは右手からうまく尾根上に上がるルートを見つけ、私とHさんは灌木をゴボウで登って行った。上部で合流し、巻いて下ると清水沢出合の上であった。Hさんはこの巻きの最中に蜂に刺されたらしく、だいぶ痛がっていた。
9/16 左岸を巻いて清水沢出合上に出たところ。4mCS滝 |
9/16 4mCS滝。右から巻ける。 |
清水沢を分けると流れは少し小さくなる。4mCS滝は関東周辺の沢の通り、右から巻ける。2条3m滝は右側の細い流れを登ることができる。ゴルジュの10mトロは私だけ泳いだが、みんな右側をへつって歩いていた。関東周辺の沢には清水沢を分けると幕場がいくらでもあると書いてあったが、それらしき跡地は見当たらない。このあたりでカメラの電池が切れ、これ以降私が撮った写真はない。関東周辺の沢には清水沢出合から上流はどこでもビバーク地が得られる
と書かれているが、それらしき幕営適地は見当たらない。
9/16 2条3m滝は右の細い水流沿いに登る。 |
9/16 10mトロ。私は巻いたが、みんな苦労して左岸を巻いていた。 |
最後に2条12m滝があり、左から巻く。ザイルを出したが踏み跡もあり難しくはない。最後に枝に頼って落ち口に降りるのが少々怖い。私が最後にザイルを回収して歩き始めると沢が開けて右に曲がるところにみんながいた。ちょうど標高1180m付近の右岸に適地を発見したので、この日はここで泊まった。右岸に細い支流が流れており、飲み水にも困らない。3人パーティーはさらに先に進んでいるようであった。夜はシチューを食べた。
3日目 |
2012年9月17日(月・祝) くもり |
国有林専用林道下…横沢右俣…1600m標高点…小松原小屋…下ノ代…国有林専用林道…ゲート=ゆくら妻有=塩沢石打IC=(関越道)=新座
1180m付近 | 5:30起床 |
7:05 | |
国有林専用林道 | 7:05 |
横沢二俣下3段10m滝 | 7:32 |
8:00 | |
横沢右俣二俣1430m付近 | 8:30 |
8:46 | |
1600m登山道 | 9:36 |
10:15 | |
小松原小屋 | 10:25 |
下ノ代登山口 | 11:26 |
国有林専用林道 | 12:38 |
12:50 |
この晩は雨が降らなかった。そのかわり朝は強い風がときどき吹いた。上空を見ると雲が高速で流れている。台風16号の影響だろうか。朝はラーメンを食べた。
しばらく歩くと国有林専用林道をくぐる。林道の下には焚火の跡があった。沢タビの足跡もあるところを見ると3人パーティーはここに泊まったのだろう。
大して難しいところのない細くなった沢を登る。横沢二俣が近づいてくるとゴルジュになる。3段10m滝は見たところ20mくらいありそうだ。下段は釜を歩いて渡れるが、上段が岩がもろくて登れず、あえなく戻る。右からロープのある巻き道を登ると横沢二俣に出た。本流は左俣なのだが、今回は時間も遅いので早く戻れる右俣を選択する。
右俣も大して難しいところはない。1430m付近の二俣で後続を待ち、そのまま休憩になった。前にHさんとKさんが来たときはHさんが右俣、KさんとNさんが左俣を登ったそうだ。早く帰れる右俣を選択するが、大きな滝があった、とHさんが言うので安心はできない。
源流も近いのでそんな大きな滝があるかどうかは半信半疑であったのだが、1430m付近の二俣から少しでその滝に出会った。50mくらいの階段状の滝で大きく感じる。関東周辺の沢にはこの滝について何も記載がない。下の段は右から登り、上部2/3はKさんがリードして左壁を登った。出だしが難しかった。
あとは5mくらいの階段状滝があるくらいで難しい滝も支流もなく、ただ少々ヤブっぽい沢を歩いていると1600m付近で登山道に出た。ここで装備を解除するため、大休止する。水の流れはほとんどなく、飲み水はみんなしばらく下ったところで汲んでいた。私は朝のテン場で1リットル汲んでおいたのでここでは汲まなかった。
あとはリンドウのつぼみがあちこちにある登山道を少し登って下ると小松原小屋。少々古そうだが三角屋根のきれいな小屋である。水場も下ったところにあるようだ。小松原湿原にはウメバチソウが咲き、イワショウブが実をつけていた。乾燥して苔が繁殖しているところもあったが、上ノ代の広い湿原は美しく、カメラの電池切れが残念であった。中ノ代で中津川に下る道を分け、ブナ林の急な木の階段を下る。だらだら下ると下ノ代を経て国有林専用林道に出た。あとは暑い日差しの中林道を下る。9月に入っても夏のような暑い日で、秋らしいのは紅葉し始めたハゼくらいなものであった。1時間10分の林道歩きで車を置いたゲートに戻った。ゲートには私たちのほかに3人パーティーのものらしき名古屋ナンバーの車が停まっていた。
林道では多摩ナンバーの車が走っていた。エアリアマップには「ゲートを越えて林道に入るには営林署の許可が必要」と書いてあり、許可を申請したのかもしれない。もし簡単にゲートを開けてもらえるなら下ノ代の登山口に車を置いておきたいと思った。
帰りはゆくら妻有という施設で風呂に入って帰った。入浴料は500円と安価であった。
今年最初の沢で、おそらく今年最後の沢であったが、そこそこ距離もあり、2泊3日を過ごせてよかった。滝も恐怖を感じるほど難しいものもなく、かといって簡単すぎもせず、泳ぎもありで楽しかった。日本百名谷に数えられるだけのことはあると感じた。