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2011年春 - 奥多摩・多摩川海沢谷下半


2011年5月22日(日)
場所
東京都西多摩郡奥多摩町
ルート
白丸駅…天地沢出合…海沢谷大滝…白丸駅
参加者
K、N、S、中山
参考文献

はじめに

 海沢谷は大岳山北面を流れる多摩川の支流である。奥多摩駅と白丸駅の間、神庭集落で多摩川に合流する。流程は5kmほどと長くはない。

 三ツ釜の滝の下まで林道が伸びており、そこから大岳山へは海沢探勝路が伸びている。2004年に母と海沢探勝路を登り、大岳山から馬頭刈尾根を下ったが、ほとんど記憶にない。

 私の手持ちの沢登りのガイド(奥多摩大菩薩高尾の谷123ルート)には海沢谷の天地沢と井戸沢の紹介はあったが、海沢谷本流の紹介文はなかった。昔の東京周辺の沢には載っていたようだ。また、最近の本では「東京起点 沢登りルート120」に載っているようだ。

 天地沢出合から井戸沢出合までは水量が多く、泳ぎを要する。海沢探勝路入口からは三ツ釜の滝、ネジレノ滝、大滝、不動滝と4つの滝をかけている。三ツ釜の滝はザイル不要で容易に登れるが、ネジレノ滝は残置シュリンゲを使ってもかなり難しそうだ。さらに大滝、不動滝は巻くしかない。上部は見ていないので分からないが、下半を夏に泳ぐか、普通に海沢探勝路から滝を見ながら歩くほうがいい気がする。

日帰り

2011年5月22日(日) 晴れのち雨

白丸駅…天地沢出合…海沢谷大滝…白丸駅

コースタイム
白丸駅8:48
9:00
天地沢出合9:58
10:16
井戸沢出合11:22
海沢探勝路入口11:43
12:00
大滝上12:50
13:05
白丸駅14:30
14:45

 立川で集合し、JR青梅線の白丸駅で下車。天気は晴れで気温も高い。5月と沢登りには早いが今日はいい日よりである。駅から青梅街道に沿って奥多摩駅方面へ進み、神庭集落から海沢林道に入る。水産試験場の上が工事中で、城山を抜くトンネルを掘削中のようだ。アメリカンキャンプ村の横を通り、静かな林道を歩く。小さなトンネルを一つ抜け、天地沢出合に着く。ガードレールの切れ目に「水利へ」という奥多摩消防署の看板のあるところで沢に降りる。釣り人が使っているようで歩かれているが、最後に沢にかかる橋が崩れそうなので無理やり橋のたもとから沢に下りた。河原で沢たびやハーネスを装着する。

橋
5/22 壊れそうな橋は渡らずたもとから沢に降りた。
淵
5/22 いきなり深い淵。

 上流へ向かって河原を100mほど歩くと沢は左に曲がる。その手前に泳がないとたどりつけない淵があった。水は冷たく、泳ぐ気はおきない。右側の一枚岩のスラブに残置ロープがあり、泳がない場合これを伝ってトラバースするように見えるが、足場がなく難しそうだ。まず私が取り付くがスラブに上がれず。次にKさんがスラブに上がり、ロープをつかんでトラバースするが、ロープの端部でようすを見て引き返してきた。結局、この淵をたどることはあきらめ、車道から巻くことにした。

淵
5/22 淵を右から巻こうとするKさん。残置ロープがあるが、途中で引き返してきた。
車道
5/22 あきらめて車道から巻く。

 車道をしばらく歩き、次のガードレールが切れるところから沢に入る。下り立ったあたりは河原だがすぐゴルジュになる。両岸から黒い岩がせまり、苔むした薄暗いようすは落ち着いていた雰囲気がよい。

苔むした沢
5/22 苔むした沢。雰囲気がよい。
淵
5/22 左側に大岩のある淵。

 左側に大岩のある淵は腰ほどまでつかり、流れの真ん中の岩の左右好きな方から各自登った。その次 の淵は左側がかぶっている岩がある。右側の岩からへつり、Kさんが何とか小滝の上に出る。シュリンゲを伸ばしてひっぱってもらった。次のチョックストーン滝は左から手足をつっぱって登る。

淵
5/22 左側にかぶっている岩がある淵。
淵
5/22 右側からへつり、Kさんにシュリンゲで引っ張ってもらった。

 次に泳いだ淵。流れのほとんどないおだやかな淵で、ここはザイルを出して私がトップ。左側から泳いでいたら落ち口へ行かなくても途中で上がれるところを見つけ、そこから這い上がる。足場がなく、バタ足で勢いをつけて這い上がった。後続をザイルで引っ張り上げる。

Nさん
5/22 アクロバットな動きで登るNさん。
泳ぐ中山
5/22 淵を泳いで突破する私。

 丸太のひっかかった淵は丸太に乗っかって越える。苔むしたゴルジュは続く。林道沿いだからかときどき古タイヤが落っこちていて何だか感じが悪い。私は気づかなかったが、林道からオバチャンたちが奇異の目でこちらを見ていたそうだ。

丸太
5/22 丸太のかかる淵は丸太に乗っかって越える。
へつり
5/22 苔むした岩をへつる。
古タイヤ
5/22 沢はきれいなのだが、ときどき古タイヤが落ちている。
井戸沢出合
5/22 井戸沢出合下の滝。
井戸沢出合
5/22 井戸を断ち割ったような井戸沢出合の滝。アルペンガイドによると天狗滝というらしい。
井戸沢出合
5/22 井戸沢出合上の堰。

 2mほどの落差の滝を越えると井戸沢出合。上がったところに井戸を断ち割ったようなきれいな直瀑がかかっている。そのすぐ上に石積みの堰があり、右から越える。動かない赤いカエルを見かける。左岸に断層のような平面的な岩を眺め、しばらくで林道の折り返し地点

カエル
5/22 赤いカエルが岩の上にいた。
断層
5/22 断層のような一枚岩。

 いったん林道に上がる。そこには屋根のある休憩舎とトイレ、林業用のモノレールの出発点がある。沢には堰があり、それを越えたところで一休み。さっきまで天気はよかったのに空はくもり冷たい風が吹くようになった。

林道の折り返し地点
5/22 林道の折り返し地点で林道に上がる。
三ツ釜の滝
5/22 三ツ釜の滝は左から登る。

 大岳山に登る海沢探勝路がここから伸び、三ツ釜の滝、ネジレノ滝、大滝、不動滝と4つの名のついた滝が続く。カメラを持った人や森林浴を目的としているような人が歩いている。すでに12時であり、午後から雨ということもあり、大岳山に登りそうな人は見かけなかった。

 しばらく河原を歩くと三ツ釜の滝。左側から登る。一番下は水線沿いのトラバースができず、バンドに沿って左上に斜上した。Kさんは器用に水線に沿って登ってきた。その上は左側を登れば大して難しくない。三ツ釜の滝に連なる一番上の釜のある滝はすべすべの滑り台になっており、夏なら滑り台が楽しめそうだ。

 その先、沢が左に曲がるところでネジレノ滝。2段の滝になっており、下段は左側のバンドをトラバース、上段は右壁を登るようだが、上段は暗くてよく見えない。下段もカブリ気味の岩をトラバース擦る必要があり、難しいと判断した。ここで遡行を切り上げ、最後に海沢探勝路から大滝を見て帰ることにする。

ネジレノ滝
5/22 ネジレノ滝。登れず海沢探勝路から高巻く。
大滝
5/22 大滝にて私。

 海沢探勝路はネジレノ滝を左岸からかなり高いところを巻く。小尾根の広場みたいなところに出るとそこから大滝下への枝道が分かれていた。下って大滝を仰ぐ。落差30mくらいあろうか。大きくてほとんど直瀑であり、登れない。ここで折り返す。

 大滝の枝道が分かれるところで沢装備を解除。Kさんが持ってきたグレープフルーツとNさんが持ってきたみかんを食べる。下り始めると雨が降ってきた。林の中なのであまり雨は当たらないが、雨が葉っぱに当たる音からすると大粒の雨のようだ。

 林道の折り返し地点に着き、休憩舎でタクシーを呼ぼうと試みるが、auは圏外、タクシー会社の電話番号も分からず、歩いて白丸駅へ下ることにする。

 車道を歩き始めるとすぐ本降りの雨になった。靴もジャージも濡れてしまう。途中で水たまりがあり、また沢たびに履き替え、カッパズボンを履いたが、時すでに遅し、濡れた後であった。

 休憩舎から1時間半で白丸駅。待合室は満員。無人改札の屋根の下で着替えた。15分ほどで立川行きが到着し、家路に着いた。着替えのズボンや防寒着を忘れており、濡れたジャージとTシャツ1枚で寒がりながら帰った。

おわりに

 今年最初の沢登りであった。寒くて入れなかった淵、登れないネジレノ滝、本降りの雨と消化不良の感はあるが、夏の暑い日に下半部をていねいに追えば楽しめそうだ。また林道がすぐそばで簡単にエスケープできるので初心者を連れて行くにもいいと思う。


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