山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2011年山行一覧>北アルプス・槍ヶ岳東鎌尾根[2/2]
北アルプス・槍ヶ岳東鎌尾根[1/2]←|→千葉県・松戸市松戸〜埼玉県・草加市谷塚
2日目 |
2011年11月4日(金) 快晴 |
大天井岳…西岳…東鎌尾根…槍ヶ岳(泊)
大天荘冬季小屋 | 4:13起床 |
6:22 | |
大天井ヒュッテ | 6:55 |
7:07 | |
2549m付近 | 7:37 |
7:52 | |
赤岩岳 | 8:42 |
9:07 | |
西岳ヒュッテ | 9:46 |
10:17 | |
水俣乗越 | 11:05 |
11:28 | |
東鎌尾根2700m付近 | 12:24 |
12:53 | |
ヒュッテ大槍 | 13:30 |
13:52 | |
槍岳山荘 | 14:44 |
15:24 | |
槍ヶ岳 | 15:44 |
16:30 | |
槍岳山荘 | 16:46 |
21:40就寝 |
4:13に起床。デポを冬季小屋に置き、6:22に出発。大天荘から大天井ヒュッテへ下る。昨日のガスはすっかりとれて快晴。風も弱い。大天井岳から西岳の稜線の向こうに槍ヶ岳が見える。槍ヶ岳から穂高にかけての稜線には雪が積もっていた。
11/4 大天荘から見た表銀座縦走路。遠く槍と穂高に雪が積もっている。 |
11/4 大天井ヒュッテ。裏側に冬季小屋があった。 |
下りついて大天井ヒュッテ。営業は終了しており、冬季小屋のようすを偵察する。大天荘に比べて半分くらいの大きさで、中にトイレがある。
去年の偵察では、ここから牛首展望台まで雪がひざまで積もっており引き返したが、今年は雪がない。東側をトラバースする夏道をたどる。東側から朝日を受けながら歩く。注意していたつもりだったが、貧乏沢下降点には気づかず通りすぎる。登り返した2549m付近のザレ場で一休み。西側に北鎌尾根、硫黄尾根、その奥に野口五郎岳から双六岳の裏銀座縦走路が見えた。
11/4 表銀座縦走路から槍ヶ岳を遠望する。 |
11/4 表銀座縦走路の稜線を歩く。背後は大天井岳。 |
しばらく稜線歩き。右手に北鎌尾根を見ながらのぜいたくな眺めだ。ところどころ稜線の西側、東側を巻く。赤岩岳の登りは少々急。手前のピークで一休み。振り返ると大天井岳が遠い。昨日大天荘で幕営したという単独行さんが抜いていった。他に歩いている人はおらず、静かな表銀座縦走路だ。
11/4 赤岩岳は東側を巻く。 |
11/4 西岳の稜線は岩が出ている。 |
赤岩岳は夏道は東側を巻く。赤岩岳は急で岩が出ているところもあるので冬は時間がかかりそうだ。さらに西岳への稜線も尾根がやせていて風が吹けば通過が難しそうだ。夏道は西岳も東側をトラバースし、やがてヒュッテ西岳に到着する。
11/4 西岳を巻いてヒュッテ西岳に到着。奥には穂高連峰。 |
11/4 ヒュッテ西岳。今年の営業は終えている。 |
ヒュッテ西岳はすでに営業を終了していた。ヒュッテ西岳からは正面に東鎌尾根と槍ヶ岳が控えており、見える距離も遠い。眺めはいいのでしばらく休む。
11/4 ヒュッテ西岳から見た東鎌尾根。 |
11/4 西岳の下り。ハシゴあり、鎖あり。ルンゼ沿いなので冬は通れないだろう。 |
水俣乗越へ夏道を下る。はじめはトラバースし、小尾根を巻いたところでルンゼを急降下する。ハシゴがかかっている。さらにザレたバンドをトラバースし、稜線に出る。下ってから振り返ると、稜線が急な上に支尾根が多く、積雪期は見通しが悪いと下れないだろう。下りついて水俣乗越かと思ったら山をひとつ越えて水俣乗越に着いた。槍沢から天上沢へ通じる道が付いていた。
11/4 西岳を振り返る。主稜線が分かりにくい。 |
11/4 2595m標高点(左側のピーク)手前から見た槍ヶ岳。 |
水俣乗越から東鎌尾根の登り。概ね稜線伝い、急なところは天上沢側を巻いて登るところがある。2595m標高点の登りは木のハシゴがたくさんあった。しかし、アイゼンの跡が見えない。この夏に設置されたのだろうか。2595m標高点からはハシゴで下る。冬季にはハシゴが隠れてしまうのか、捨て縄がいくつか見られた。下りついたあたりは尾根がやせている。さらにもう一つ山を登った2700m付近で一休みする。
11/4 2595m標高点の下りのハシゴ。 |
11/4 2700m付近で一休み。 |
Hさんが遅れ気味で着く。水は各自テルモスにある分だけになった。天気は午後になっても崩れることはなく、快晴が続く。ときおり岐阜側からちぎれ雲が大槍の上を過ぎていく。歩いている人はいない。
2700m付近から北側斜面に雪が出てくる。足跡が一つあり、どうやら赤岩岳で追い越された単独行さんのもののようだ。先頭を歩いているとハイマツの中でガサガサ音がする。驚いてようすを見るとまだ若そうなライチョウがハイマツから出てきて登山道を歩いて槍沢側のハイマツに隠れてしまった。羽はまだ茶色っぽく、お腹だけが白かった。
11/4 東鎌尾根の北側斜面には雪が積もっていた。 |
11/4 ヒュッテ大槍。営業していなかった。 |
そこからまた北側の雪のついた斜面をひとしきり登ると、2884m標高点のあるヒュッテ大槍に着いた。35分ほどしか歩いていないが、槍岳山荘まであと1時間なので一休みする。ここも営業は終了しており、冬季小屋があるかどうか調べに行くが見当たらなかった。また、エアリアマップに水場マークがあったので、水場を探すがこれも見つからなかった。日差しが暑いのでそこらへんにある雪をテルモスに入れ、冷たくして飲む。槍沢を見下ろすと殺生ヒュッテのあたりで登山者が2人、槍岳山荘を目指していた。
11/4 ヒュッテ大槍から肩の小屋へ向かう。 |
11/4 ヒュッテ大槍からは西岳や常念岳を背景に歩く。 |
槍岳山荘へ登る。岩峰を巻きながら歩く。だんだんと大槍が近づいてきて仰ぎ見るようになる。やがて雪のトラバースに入り、槍岳山荘についた。
11/4 槍岳山荘まであと少し。 |
11/4 槍岳山荘に到着。ここも営業していなかった。 |
槍岳山荘も営業を終了しており、冬季小屋を利用くださいと看板があった。小屋は小屋じまい中のようで、布団を運んでいる人がいたり、小屋前に雪だるまがあったりした。冬季小屋に移動し、ザックを下ろす。冬季小屋は営業小屋の一部のようで、かなり広い。大天荘の2倍くらいある。荷物を整えてから槍ヶ岳の穂先を目指す。
11/4 槍ヶ岳の冬季小屋に入る。 |
11/4 槍ヶ岳を往復する。 |
穂先に登っている人はおらず、登りルート下りルート好きな方を使える。穂先はほとんど雪がついておらず、あっても鎖やハシゴが整備されていて難しくない。やがて槍ヶ岳山頂に立った。
11/4 槍ヶ岳の登り。雪は少ない。 |
11/4 槍ヶ岳の影が大天井岳に写る。 |
7回目くらいの槍ヶ岳だが、今回は5年前の偵察と同じくらい天気がよい。最初に目を引いたのは槍ヶ岳の影であった。槍ヶ岳の槍の形の影がまっすぐ大天井岳を指している。投影面は山のひだで凸凹のはずなのにくっきりと槍の穂先の形が写っていた。
11/4 槍ヶ岳山頂にて私。 |
11/4 槍ヶ岳から見た穂高連峰。 |
周囲は最高の展望で立山、鹿島槍ヶ岳、薬師岳、常念岳、蝶ヶ岳、笠ヶ岳、穂高岳、焼岳、乗鞍岳、木曽御嶽山が見えた。また、はるか遠くに富士山、甲斐駒ヶ岳、北岳、八ヶ岳が見えた。
長時間山頂で過ごした。夏には渋滞も出る槍ヶ岳だが、1人しか登って来なかった。肩の小屋へ戻る。小屋につく頃に夕陽が笠ヶ岳に沈んだ。笠ヶ岳の向こうには白山のシルエットが見えた。
水を作るため、雪をかきとってから冬季小屋の中に入り、晩ご飯にする。晩ご飯はカレーライスでIさんのつくったペミカンが具だくさんで好評だった。冬季小屋には私たちのほかに単独行2人が泊まっていた。外は雲もなく、金星と大槍がよく見えた。
3日目 |
2011年11月5日(土) くもり |
槍ヶ岳…中崎尾根…奥丸山…槍平小屋…新穂高温泉=松本
槍岳山荘 | 4:09起床 |
6:31 | |
千丈沢乗越 | 7:10 |
7:20 | |
中崎尾根2400m付近 | 7:57 |
8:16 | |
奥丸山分岐 | 8:45 |
奥丸山 | 9:00 |
9:17 | |
奥丸山分岐 | 9:26 |
槍平小屋 | 10:07 |
10:17 | |
滝谷避難小屋 | 10:55 |
11:05 | |
白出沢 | 11:50 |
12:11 | |
穂高平 | 12:42 |
12:55 | |
新穂高温泉 | 13:36 |
14:55 |
この日は下降路の偵察として中崎尾根を下る。朝は雲も少なく、日の出を見ることができた。しかし、西鎌尾根を少し下り始めると雲が出てきてだんだん厚くなる。山頂付近にあった雪は下るとすぐになくなった。小屋を出たときは西風が吹いていたはずだが、下ると風もなく暑い。すぐピッケルも不要になる。
11/5 西鎌尾根へ下る。 |
11/5 西鎌尾根の下りから見た中崎尾根。 |
千丈沢乗越に着き、体温調整。北を見ると千丈沢の谷が広い。ここから中崎尾根を下る。はじめは尾根の東側のハイマツの斜面を下る。これが急で下り難い。飛騨沢への道を分けると道はさらに悪くなり、崩れているところもある。慎重に下り、やっと稜線に出ると笹に刈り払いがあった。近年、中崎尾根は登山道として整備されたそうなので、そこからは歩きやすかった。とはいえ、中崎尾根の上部は西側がやせていて道が細かったり、急だったりするところがある。標高2400m付近で一休みする。
11/5 中崎尾根は下りにくいところがあった。 |
11/5 奥丸山から見た中崎尾根と槍ヶ岳。 |
そこからは樹林帯と笹の登り下り。花は咲いていないが、ゴゼンタチバナやイワカガミが生えていた。奥丸山の分岐にザックを置き、奥丸山を往復する。結構な急登のあと登りついた奥丸山は好展望台であった。槍ヶ岳から穂高岳、乗鞍岳の稜線、双六岳から笠ヶ岳の稜線がよく見える。中崎山から登ってきたという単独行さんがいた。
奥丸山から槍平小屋へ急な道を下る。日本雪山登山ルート集によると、冬も槍平小屋から中崎尾根に取り付くようだが、こんな急な斜面を雪崩にも会わずに登れるのだろうか。槍平小屋も営業しておらず、冬季小屋のようすをのぞく。2階にある広い冬季小屋である。
あとは滝谷避難小屋、白出沢出合、穂高平で休み、新穂高温泉へ下った。登山者は長靴で滝谷避難小屋から槍平小屋へ向かう人1人だけだった。林道歩きが長く、足の裏が靴擦れになってしまった。
新穂高温泉で風呂に入り、外へ出ると雨が降り始めた。山の中では降られずに済んでよかった。14:55のバスで平湯温泉バスターミナルへ向かう。平湯温泉まで870円。平湯温泉に着く頃にはザーザー降りになっていた。高山発新宿行きのバスがあったが、満席で、次の便も満席だったので、松本に出ることにした。松本まで2300円。
松本市内は渋滞しており、予定より20分ほど遅れて松本駅に到着した。高速バスは中央道の渋滞で遅いそうなので特急スーパーあずさで帰った。八王子、立川でそれぞれ解散。東京はパラパラと雨が降っていた。
昨年の偵察では、雪の多さに途中で敗退していたが、今年は時期が早いこともあり、雪はほとんどなく、アイゼンの出番はなかった。また、ザイルや登攀具も使用しなかった。
表銀座縦走路や槍ヶ岳はほとんど人がおらず、それも単独行ばかりであった。他の山岳会のパーティーはこのあたりを歩かないのだろうか。
営業小屋について、今回の縦走路のうち、燕山荘だけが営業していた。大天荘、大天井ヒュッテ、ヒュッテ西岳、ヒュッテ大槍、槍岳山荘、槍平小屋は営業していなかった。大天荘、大天井ヒュッテ、槍岳山荘の各冬季小屋は開いていた。
水場は合戦尾根第一ベンチ、槍平小屋だけであった。燕山荘では1リットル200円で水を売っていた。槍岳山荘付近は雪が積もっており、解かして水にした。
燕岳〜大天井岳間のうち、為右衛門吊岩付近は夏道がロープで封鎖され、稜線を通るようになっていた。また、大天井岳も夏道に石積みがあり、稜線を通るようになっていた。
今回は重い思いをしてデポを担いだので、今年こそ年末山行を成功させたい。