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2010年秋 - 上越・吾妻川四万川本谷


2010年10月23日(土)〜10月24日(日)
場所
群馬県吾妻郡中之条町、利根郡みなかみ町(旧新治村)、新潟県南魚沼郡湯沢町
ルート
10月22日
東所沢=四万川ダムあずまや(泊)
10月23日
四万川ダムあずまや=四万川本谷…右俣…国境稜線1563m西…湯之沢1280m付近(泊)
10月24日
湯之沢1280m付近…三坂峠…稲包山…赤沢峠…四万川ダムあずまや=四万温泉こしきの湯=新座
参加者
K、H、W、中山、A
参考文献

はじめに

 上信越・野反湖〜稲包山浅間山周辺・鳥居峠〜車坂峠と2週連続で県境縦走をこなし、他のところへ行きたいと思っていたところ、沢登りに誘われた。場所は吾妻川四万川本谷、先々週行った稲包山の近くである。

 本谷は下流部に釜とゴルジュ、上流部にナメ滝を連続させる変化に富んだ長い沢である。関東周辺の沢)とあるとおり、長い沢である。しかし、全体的に河原が多く、釜とゴルジュもあるもののさほど難しいものではなく、全体的に簡単な沢であった。人はおらず、紅葉はまだであったが、落ち着いた秋らしい沢登りであった。

0日目

2010年10月22日(金)

東所沢=四万川ダムあずまや(泊)

 22:30、武蔵野線東所沢駅に集合。関越道渋川伊香保ICで下り、1:30ごろ四万川ダムに到着。四万川とブノウ沢の間の岬みたいなところにあるあずまやに到着、幕営、就寝。

1日目

2010年10月23日(土) 晴れ

四万川ダムあずまや=四万川本谷…右俣…国境稜線1563m西…湯之沢1280m付近(泊)

コースタイム
四万川ダムあずまや5:50起床
6:30
四万川本谷780m6:47
6:58
前大魔ヶ沢出合7:24
大魔ヶ沢出合7:41
四万川本谷840m7:49
8:03
四万川本谷880m9:00
9:14
大門沢出合9:33
板橋ノ沢(三坂ノ沢)出合9:37
イモリ沢出合9:54
三坂ノ沢出合10:00
ツガオネの沢10:10
10:23
障子沢出合10:36
コシキ沢出合11:02
四万川本谷二俣11:10
11:30
右俣1本目の沢出合11:38
右俣1170m水汲み11:48
11:54
右俣1310m12:20
12:28
右俣1本目の沢1370m13:25
13:30
国境稜線1550m14:28
14:35
湯之沢1365m15:08
15:21
丸木橋16:00
16:07
1275m登山道16:15
20:40就寝

 5:50起床。思いのほか寒い。テントをたたんでカッパの上を着て出発する。

四万川本谷
10/23 四万川本谷にかかる橋から見た四万川本谷。
万沢(四万)林道
10/23 万沢(四万)林道をしばらく歩くがすぐ終点。

 四万川本谷にかかる橋を渡り、四万川右岸沿いの万沢(四万)林道を歩く。すぐ四万川がS字に折れ曲がるところで湯の泉橋という橋を渡り、左岸へ。川をのぞき込むとだいぶ高いところにこの林道があるようだ。しかし、700mほど行ったところで林道終点。中途半端な長さの林道だ。その先しばらく登山道が続き、マスミ沢を渡る。その先、標高780m付近で沢に下る。特に難しくはない。

沢に下る
10/23 林道終点から山道を歩き、マスミ沢を越えて沢に下る。
四万川本谷
10/23 四万川本谷を遡る。

 入渓準備をするが、今回「関東周辺の沢」には「特に登攀用具の必要なし」とあって、ハーネスははかない。10月も下旬とあって水は冷たい。その割に紅葉はまだである。沢沿いの少し登るとツガノ頭沢が右岸に下っている。

レール
10/23 河原に錆びたレールがあった。
渡渉
10/23 腰まで浸かるところもあった。

 河原歩きがほとんどだが、ときどきナメがあったりして美しい。同じ吾妻川上流の長笹川ガラン谷のようである。ナメのところは枯れ葉がたくさん落ちていて滑りやすい。河原にはところどころ錆びたレールが姿を見せており、どうやら森林軌道があったようだ。

ナメ
10/23 落ち葉が散りばめられたナメ。
滝
10/23 小さな滝。股下まで浸かる。

 大魔ヶ沢は沢が左に曲がるところ、左岸に滝をかけて下っている。大魔が沢先の標高840m付近で休憩する。そこには右岸に立派な土留壁、左岸に謎のコンクリート構造物の残骸があった。森林軌道の跡なのかもしれない。

コンクリート構造物
10/23 標高880m付近にあったコンクリート構造物の残骸。
ゴルジュ
10/23 青い水をたたえたゴルジュ。

 大魔ヶ沢の先のゴルジュに入る。ゴルジュには奥四万湖のような深い青の淵が控えており、落っこちたら全身ずぶ濡れは必至だ。慎重に左岸の水際をへつる。残置シュリンゲがぶら下がっているところがあり、それに助けられる。そのすぐ先にトンネル状の大岩。本流は深いのでトンネルを通り抜ける。段差が大きいのでザックを別に引き上げる。その先の2mほどの滝も少し水をかぶるのでザックを別にする。

ゴルジュ
10/23 ゴルジュを上流側から見たようす。残置シュリンゲがかかっている。
トンネル状の岩
10/23 トンネル状の岩を抜ける。

 次の2条1m滝も淵が深く、はじめ左岸からへつろうとしたが難しく、私が右岸の巻き道を探しているうちに、股下まで水に浸かりながらKさんが突破していた。私もそのルートを通った。ここでもザック切り離し。ゴルジュ出口の3m滝2段3m滝は右側からゴルジュ内を小さく巻いた。結局このゴルジュで3回ザックを別に引き上げた。今回の山行でこのゴルジュのほかにザックを引き上げるところはなかった。

2mほどの滝
10/23 2mほどの滝。水がかかるのでザックを別に引き上げた。
2条1m滝
10/23 2条1m滝。私は右岸からの巻きを試みたが、失敗。結局股下まで水に浸かって越えた。

 その先、股まで浸かるところもあったが、ゴルジュの先の河原、標高880m付近でひと休み。ここまで何度か見てきたレールはここが最後であった。その後は河原歩きがほとんど。紅葉はまだだが、岩の上に散りばめられた枯れ葉が沢を彩る。

倒木
10/23 倒木が堰みたいになっている箇所(奥)。
ゴルジュ
10/23 小さなゴルジュ。

 大門沢のあたりから沢は広くなる。ところどころ河原が台地状になったり、インゼル状になったりと幕営地にことかかない。左岸から入ってくる沢も多く、一つ一つ現在地確認を行って進む。25,000分の1地形図に「三坂ノ沢」と書かれた沢は三坂峠(国境稜線1449m標高点東のコル)に通じていないので、三坂峠に通じる沢を三坂ノ沢として、「関東周辺の沢」の枝沢の名前をあてていく。

河原
10/23 ゴルジュを抜けるとまた穏やかな流れ。
板橋ノ沢(25,000分の1地形図では三坂ノ沢)出合
10/23 板橋ノ沢(25,000分の1地形図では三坂ノ沢)出合。

 河原が続く本流にあって、板橋ノ沢出合の先の幅広5m滝は水量があってなかなか立派な滝であった。滝の左側を登る。ツガオネノ沢の出合の河原でひと休み。朝はくもりだったが、ここへ来て沢にも日差しがさすようになった。

幅広5m滝
10/23 板橋沢とイモリ沢の間の幅広5m滝。
河原
10/23 広い河原。

 障子沢の出合には大きな岩があった。その先で沢は急にゴルジュになり、ツガオネノ滝が現れる。2段10mの大きな滝だ。右から高巻き、笹をつかんで沢に降りる。また河原歩き。本流と水量の差がないスルス沢を分け、本流の二俣に出る。

ツガオネノ滝
10/23 ツガオネノ滝。
ツガオネノ滝
10/23 ツガオネノ滝は右から巻く。

 二俣は狭いが、陽が射す暖かい河原。あたたかくなったのでカッパを脱ぐ。本流は流程の長い左俣だろうが、左俣を詰めたセバトの頭から下山するのはあまりに長いので右俣を進み、左岸3本目の枝沢を詰めることにする。

二俣
10/23 日差しの射す二俣。
右俣
10/23 右俣は小滝が続く。

 右俣は小滝からはじまるが、難しい滝はない。1本目の枝沢を分けて河原歩き。しばらくで水が涸れたためここで水汲み。しかししばらくでまた水が復活した。2つ目の枝沢を分けるとすぐ大岩のある3本目の枝沢。しかしあまりに水量が少ないし、2本目の枝沢の分流だろうと判断し、先を進む。しかし河原はなくなり、1310m付近の土の崖の下に出たので行き過ぎたと判断。いったんここで休む。

右俣
10/23 右俣の2つ目の枝沢を遡る。すぐ水は涸れる。
笹ヤブ
10/23 笹ヤブを漕ぐ。

 沢を下り、入るべき3本目の沢を探す。途中、左岸が小尾根に見えるところがあり、私が乗っ越して向かうが、小尾根の先は小さな溝になっているだけで、水はなく笹が広がっていた。いったん本流を下る本隊に合流する。本隊は大岩のある3本目の枝沢を登っており、追いかける。しかし、3本目の枝沢もすぐ水がなくなってしまう。こうなってはどこを登っても同じなので、このルンゼ沿いに登ることにする。

 笹の深さは肩ほどの高さ。それでも激烈なヤブというほどではなく、ある程度のペースで進める。標高1370m付近でいったん立って休む。地形がよく分からないが、どうやら2本目の枝沢のあたりを登っているようだとあたりをつけ、ここから左隣の枝尾根へ登る。急斜面となり、あえぐように登る。標高1500m付近から枝尾根に乗り、国境稜線へ登って行くが、登れば登るほど稜線がなだらかになり、尾根を横断するルンゼを2つほど越えて国境稜線1563m標高点の西に出た。沢を離れてから1時間45分であった。2週間前にも通ったが風景にはまったく記憶がない。

国境稜線
10/23 国境稜線を1563m標高点の西で乗っ越す。
湯之沢の枝沢
10/23 湯之沢の枝沢を下る。

 この後の計画は国境稜線から新潟側の湯之沢に下り、沢で幕営、翌朝登山道を三坂峠から稲包山を越えて四万川ダムに置いた車へ戻る予定だ。国境稜線がなだらかなため、誤って四万川へ下らないよう、慎重に北へ向かう。北側はなだらかな笹の斜面が広がっており、笹の深さも胸ほどなのでどこでも下れる。湯之沢をはさんで対岸の三国スキー場の山の斜面が真っ赤っかに紅葉していた。やがて小さな涸れ沢に出て下って行くと湯之沢に出た。

 この先、幕営地を探しながら湯之沢を下ることにする。標高1350m付近には見上げるほどの大岩があり、沢はそれを左から巻くように流れていた。この大岩を巻くと沢は急になり、3条4mの滝が現れる。あわやザイル出して懸垂下降かと思われたが、左岸の大岩の下をくぐり抜けられたのでそこから下る。

湯之沢
10/23 枝沢から湯之沢に出たところ。(Mouseoverで枝沢表示)
湯之沢
10/23 湯之沢1330m付近にあった3条4mの滝。右の大岩の下をくぐり抜ける。

 エアリアマップでは標高1300m付近で登山道が湯之沢を渡っているが、道は見つからない。結局1275m付近で登山道を見つけた。エアリアマップや道標には「丸木橋」と書いてあったが、橋は見当たらなかった。なぜか左岸に7本のスキー用のストックが置いてあった。

 丸木橋周辺には幕営適地は見当たらなかったので、登山道を三国スキー場方面へ少し下り、登山道が小広くなったところで道の真ん中にテントを張った。水は登山道沿いに少し下ったところの小さな沢でコップで水を汲んだ。焚き火は木が湿っていて火がつかなかった。日が傾くと急に寒くなり、テントの中で酒と晩飯にした。20:40就寝。

2日目

2010年10月24日(日) くもり

湯之沢1280m付近…三坂峠…稲包山…赤沢峠…四万川ダムあずまや=四万温泉こしきの湯=新座

コースタイム
1275m登山道5:55起床
7:20
三坂峠7:54
西稲包山8:10
小稲包山8:22
稲包山8:28
8:50
赤沢峠休憩舎9:55
10:10
赤沢峠登山口10:57
四万川ダムあずまや11:00
11:10

 5:55起床。出発準備をしていたら、三国スキー場方面から登山者の夫婦がやってきた。テントをたたみ終わったところなので遅かったらじゃまになるところだった。

 7:20に出発し、湯之沢で水汲み。今度は登山道伝いに国境稜線へ登る。1275m付近から尾根に取り付き、途中で沢を一つ渡って東隣りの尾根に取り付く。急坂を登り、尾根上に出てから緩やかに登る。国境稜線のピークを避けるように北側を巻き、国境稜線に出て少し下って三坂峠。先行した夫婦に追いついた。ここからは2週間前と同じルートだ。

幕営
10/23 三国スキー場から三坂峠に至る登山道に幕営。
湯之沢
10/24 三坂峠の登りで見た湯之沢上流。(Mouseoverで昨日歩いたルート表示)

 西稲包山小稲包山を越えて稲包山へ至る。小稲包山のピークは展望がよく、上ノ間山から忠次郎山、上ノ倉山、大黒の頭、セバトの頭といった国境稜線の山々がよく見えた。白砂山は上ノ間山の向こうで見えなかった。また、2週間前に間違えた送電線の巡視路が見えた。稲包山へ登り返す。稲包山も展望がよく、平標山、仙ノ倉山から谷川岳、日光白根山から皇海山へ至る稜線、榛名山が見えた。風が吹いて少し寒い。

西稲包山
10/24 西稲包山の登りで西を眺める。
稲包山
10/24 稲包山にて私。

 南へ赤沢峠に向かって下る。よく整備された道でけっこう人も多い。紅葉が真っ盛りでモミジやブナなど赤に黄色に染まっていた。赤沢峠の休憩舎でひと休み。ここから上信越自然歩道を下り、四万川ダムへ下る。下り始めるとすぐ木々の葉は緑になり、紅葉しているのは稜線だけのようだった。急な道を下り、四万川ダム湖畔の登山口に出た。そこからしばらく四万川本谷側へ車道を歩くと車を止めたあずまやに出た。

紅葉
10/24 紅葉の稲包山から赤沢峠の稜線を歩く。
赤沢峠
10/24 休憩舎のある赤沢峠。

 帰りは四万温泉こしきの湯に入った。四万川ダムはまだ紅葉に早いにも関わらずずいぶん観光客が訪れていた。道の駅おのこでそばを食べて帰京。

おわりに

 天気もよく、股下までしか濡らさず、秋らしいいい沢登りだった。

 車だとルートが難しいが、今回同様、四万川ダムに車を停め、本谷右俣を途中で国境稜線へ上がり、湯之沢で一泊した後、三坂峠、稲包山、赤沢峠と登山道をたどって四万川ダムに戻るのがよいと思う。もし条件が悪ければ、難しい沢ではないので本谷を下降してくればよいだろう。

 紅葉はまだ早かった。紅葉を見るならあと1週間か2週間遅いほうがいいだろうが、あまり遅いと沢登りができないくらい水が冷たくなる。時期を選ぶには難しいところだ。


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