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2010年夏 - 上越・魚野川仙ノ倉谷西ゼン


2010年8月28日(土)
場所
新潟県南魚沼郡湯沢町
ルート
8月27日
大岡山=毛渡沢林道ゲート(泊)
8月28日
毛渡沢林道ゲート…平標新道渡渉点…西ゼン…平標山…平標新道…土樽=岩の湯=越後湯沢=練馬
参加者
L. 道場、栗山、石井、中山
参考文献
関連
2023年秋 - 上越・魚野川仙ノ倉谷東ゼン

はじめに

 西ゼンは魚野川毛渡沢仙ノ倉谷の支流の一つ。源流は平標山である。第1スラブ、第2スラブに代表されるスラブの広がる沢で、ナメが多い。平標山の北面にあるが沢は開けていて明るい。難易度は「関東周辺の沢」と「YAMAKEIアドバンスド・ガイド 沢登り—入門とガイド」では2級上、「上信越の谷105ルート」では初級、「決定版 関東周辺沢登り50コース」では中級となっている。

 今回は西ゼンに行く栗山に誘われて行った。私も行ってみたい沢だったので参加した。石井が行ったことがあるはずだが、ほとんど覚えておらずガイドブックを参照して登った。登りやすいナメが連なり、滝もいくつかの好きなルートを登れ、楽しめた。下りの平標新道が滑りやすく疲れたが、平標山からゲートまで2時間半ほどで下ることができた。

0日目

2010年8月27日(金)

大岡山=毛渡沢林道ゲート(泊)

 前日、大岡山に集合、林道のゲートまで入る。20時頃、早めに出たがサービスエリアで飯を食べたりだらだらしていたら関越トンネル付近で24時になり、越後湯沢ICで高速を下りる。少々荒れた毛渡沢の林道を行き、ゲート手前で駐車。

 車の前でビールをひと缶開け、車の内外に別れて1:30に寝た。3:30ごろ、三重ナンバーの車がやってきてガタガタと車を止めていた。

1日目

2010年8月28日(土) 晴れのちくもり

毛渡沢林道ゲート…平標新道渡渉点…西ゼン…平標山…平標新道…土樽=岩の湯=越後湯沢=練馬

コースタイム
毛渡沢林道ゲート5:00起床
5:27
つり橋5:44
西ゼン出合6:30
6:52
東ゼン・西ゼン二俣7:53
6mチムニー滝8:12
第1スラブ帯・第2スラブ帯間
15m2段滝
8:54
第2スラブ帯9:00
9:24
水量比1:1の二俣10:00
標高1675m水汲み10:14
平標新道1845m池塘10:58
11:08
平標山11:21
11:33
平標新道1845m池塘11:43
11:56
西ゼン出合13:13
13:24
毛渡沢林道ゲート14:16

 明け方4:30過ぎ、寒くて起きる。新聞紙の上で寝っ転がっていたのだが、さすがに標高670m付近とあって寒くてカッパを着た。それでも寒く、5時にみんなを起こして出発。

 ゲートを過ぎてアスファルト舗装の道路を歩いていく。毛渡沢と仙ノ倉谷が分かれるところで不安定な吊り橋を渡り、仙ノ倉谷の右岸の道を行く。あまり歩かれていないようで、ところどころ道に水が流れており、ドロドロになっているところもある。はじめは河原の近くを歩くが、途中で急坂を登り右岸台地の上を歩く。中ほどでトラロープの張られたノボリカケ沢を渡り、西ゼンの出合に出る。

つり橋
8/28 群大仙ノ倉山荘近くにかかるつり橋で仙ノ倉谷を渡る。
平標新道
8/28 平標新道。道に水が流れていて歩きにくい。

 そこで沢装備に替える。3時間半しか眠れなかった上、明け方は寒くて眠れなかったので眠くて調子が悪い。沢のはじめは大きな岩の河原。各自思い思いのところを登っていく。その後は平凡な河原を歩く。途中でダイコンオロシ沢イイ沢が左から合流しているはずだが、気づかなかった。

西ゼン
8/28 西ゼンに入渓する。はじめは大きな岩の河原。
ナメ
8/28 イイ沢を過ぎるとナメが出てくる。

 イイ沢を過ぎると滝が出てくる。滑り台に適した滝がたくさん出てくるので、すべっても安全な滝で楽しむ。しかし、5m滝で滑り台を楽しんだとき、私のメガネが落ちてしまった。深いところは2m以上ある淵で、メガネのレンズは重いガラス。メガネの回収は絶望的だったが、水とたわむれるのが大好きな道場が水中メガネを持っており、4回ほど潜って私のメガネを見つけてくれた。感謝と淵から見つける道場に感服した。

ウオータースライダー
8/28 ウオータースライダーを滑る。
5m滝
8/28 東ゼンと西ゼンの二俣の下にかかる5m滝。

 その少し上で東ゼンと西ゼンの二俣。直前の5m滝は背の高い石井と栗山が左から、臆病な私と左から登れなかった道場が右から登った。二俣から眺める西ゼンは25mナメ滝で始まっている。「決定版 関東周辺沢登り50コース」の写真では水流沿いを登っているが、ツルツルで簡単に登れそうにない。下の方は登れるので栗山と道場がきれいに滑っていた。25mナメ滝は右側のヤブ沿いを上がった。

5m滝
8/28 5m滝を水流をかぶりながら左から登ろうとする道場。しかしスタンスが見つからず、結局右から登った。
二俣
8/28 東ゼンと西ゼンの二俣。西ゼンはナメが広がっている。
ナメ
8/28 25mナメ滝をぺたぺた登る。右から入ってくるのが東ゼン。
ナメ
8/28 ルートに迷ったナメ。Mouseoverでルート表示。

 滝の上は広いスラブの斜面になっており、濡れているところと乾いているところが垂れ幕のように分かれていた。乾いたところをぺたぺた登る。その上もスラブが続く。パット見るとどこを登るのかよく分からない。ルートを誤ると途中で登れなくなったり沢に戻れなくなったりしそうに見える。でも答えは簡単、水流沿いだった。20mナメ滝は右のルンゼから登る。その上は樋状になった水流沿いを登る。最後に6mチムニー滝を左壁から登り、いったん谷は狭まる。

6mチムニー滝
8/28 6mチムニー滝を左壁から登る。
2条2段5m滝
8/28 第1スラブ帯下の2条2段5m滝は左から巻き。

 6mチムニー滝から第1スラブ帯までは2つ滝がある。最初の2条2段5m滝は左から巻き。次のスダレ状5m滝も左から。その上がスラブ帯の滝だが、目の前の滝をどこから登るかに集中してしまい、第1スラブ帯の始まりに気がつかない。滝の左側の岩溝に入り、クラックをつかみながら登る。そこを登ったところで第1スラブ帯に入ったことに気づくが、すでに第1スラブ帯の真ん中辺りにいた。

第1スラブ帯
8/28 第1スラブ帯の中。滝の左側の岩溝に入り、クラックをつかみながら登る。
第1スラブ帯
8/28 第1スラブ帯の中にいるのに気がつく。左壁を登る。

 水流の左側を登り、最後にバンドをトラバースして水流に戻る。バンドのトラバースで後続が来ていなかったのでシュリンゲを出す。あとは水流の右側のスラブをフリクションで登って第1スラブ帯終了。

第1スラブ帯
8/28 第1スラブ帯上部。水流に下りて右側のスラブをフリクションで登る。
滝
8/28 第1スラブ帯と第2スラブ帯の間の滝。各自好きなところを登る。

 第1スラブ帯を過ぎると沢は狭くなる。第2スラブ帯は沢が左に曲がった先なので見えない。5mくらいの樋状の滝を3つほど越えて8mほどの2条の滝。道場と栗山は右側の水流沿いに登る。石井と私は左側の壁から登った。その一つ上の段の5mほどの滝を越えると第2スラブ帯がみえてくる。

滝
8/28 8mほどの2条の滝。もう少しで第2スラブ帯。
滝
8/28 8mほどの2条の滝。道場と栗山は右側の水流沿いを登った。

 第2スラブ帯入り口にある2段15m滝は私が右壁を、ほか3人は左壁を登る。あとで平標新道下山時に見た5人パーティーは左から巻いていた。右はゴツゴツの岩を慎重に登る。左は滝のしぶきで濡れた壁をうまく登っていた。上段は各自右と左を登った。その上で合流し、左側から枝沢が下っているところで一本とる。

2段15m滝
8/28 第2スラブ帯入り口にある2段15m滝は私が右壁を、ほか3人は左壁を登る。あとで平標新道下山時に見た5人パーティーは左から巻いていた。
第2スラブ帯
8/28 第2スラブ帯の広がり。水流の左側を登る。

 途中で一回も休んでいなかったので、第2スラブ帯の中ほどの枝沢が下っているところで大休止。天気は晴れで暑く、沢登り日和だ。

第2スラブ帯
8/28 第2スラブ帯の中ほどの枝沢が下っているところで大休止。
第2スラブ帯
8/28 第2スラブ帯中間部。水流の左側を登る。

 水流の少し左側の乾いたスラブを登り、凹凸の少ないスラブは薄いクラックをつかみながら登る。その上でいったん水流に戻るが、滝が登れないので左の草がところどころ生えたバンドから巻く。さて水流に戻ってやっと水流沿いに登れる。2条になった5mほどの滝の左側の筋に沿って登る。その一つ上の段を登ると第2スラブ帯は終わる。振り返ると広いスラブ帯の中を一筋、水流が段々になりながら一直線に谷底へ向かっている。

第2スラブ帯
8/28 第2スラブ帯中間部。凹凸の少ないスラブは薄いクラックをつかみながら登る。
第2スラブ帯
8/28 第2スラブ帯を振り返る。広いスラブ帯の中を一筋、水流が段々になりながら一直線に谷底へ向かっている。
第2スラブ帯
8/28 第2スラブ帯上部。左の水流に沿って登る。
滝
8/28 6mの滝があり、直瀑になっているので左から巻いて登る。

 第2スラブ帯を終えるとすぐに6mの滝があり、直瀑になっているので左から巻いて登る。この滝を登ると一気に源流の様相を呈してくる。小滝をかけながら登って行くと、一つ小さい枝沢を左に分けてから水量1:1の二俣。ガイドに従い、右へ行く。ダイモンジソウの咲く源流帯を行くと谷の地形は残っているのに水がなくなる。少し上を見ても水流はないし、谷というよりただの笹薮の斜面なのでここで水汲み

源流
8/28 第2スラブ帯を越えて源流を歩く。
水汲み
8/28 水汲み。

 源流にあたる水が非常に冷たく、汲んでいる栗山が「手が凍る」と表現していた。飲んでみると冷蔵庫で冷やした麦茶のように冷たくておいしい。水を汲んで右の踏み跡に入る。

ヤブ漕ぎ
8/28 水を汲んだら笹薮のヤブ漕ぎ。踏み跡はあるが、刈払いはない。
仙ノ倉山
8/28 仙ノ倉山を背景にヤブ突破目前。

 笹薮の中のヤブ漕ぎになる。踏み跡は続いているものの、笹が刈られているわけではないのでヤブ漕ぎは変わらない。途中、3箇所ほど笹のハゲた小さなガレを登る。最後に急な登りを経て、1873m標高点南の池塘に出た。池塘を巻くと平標新道であった。約40分のヤブ漕ぎだった。

池塘
8/28 1873m標高点南の池塘に出た。
平標山
8/28 登山道をたどって平標山へ登る。

 ここでザックを下ろし、平標山を往復する。笹の中の道を行くとまた池塘があり、最後に50mほどの登りで平標山の山頂についた。ちょうど仙ノ倉山からやってきたガスが山頂を覆ってしまい周りは見えなくなってしまった。山頂には人が多く、みんな休んでいた。そんな中である登山者が葉っぱをパウチしたしおりを配っていて私ももらった。下るころにはガスも薄くなってきて苗場スキー場のゲレンデが見えた。

 下りは平標新道をたどる。平標新道は土樽と平標山を結ぶ登山道で、標高差も距離もあるが、樹林帯より上からの仙ノ倉沢上流の西ゼンや東ゼンの展望は見事である(アルペンガイド3 上信越の山)と評されている。一方で平標新道は登山者少ないハードなコース、急坂が長く続く、笹で滑りやすい(山と高原地図16 谷川岳・苗場山・武尊山)コースでもあり、あまり歩きやすくはない。

 ザックを置いた池塘に戻り、干していた沢道具をしまって下山開始。歩き始めてすぐ下りにくいのに気がつく。道自体が狭いのに加えて道の両側に生えた笹が道を覆い、道が見えにくい。ときどき岩があったりもして滑りやすい。

平標山
8/28 平標山山頂。ガス。
第2スラブ帯
8/28 平標新道から見る第2スラブ帯。Mouseoverでルート表示。

 しばらく下ると西ゼンを望むことができる。第2スラブ帯入り口の2段15m滝に5人パーティーが登っているのが見えた。三重ナンバーの人たちだろうか。全員左を巻いていた。思い出してみると人気の沢の割に、沢の中では一人も会わなかった。

 矢場の頭を過ぎると樹林帯。水平面が少なく、滑りやすい斜面の道を500mほど一気に降りる。途中単独の登山者1人に会った。電車で来て今日は平標山の家泊まりだろうか。えんえんと疲れる下りを経て入渓点に戻ってきた。ここでひと休みし、毛渡沢の林道のゲートに戻った。

 帰りは岩の湯で風呂に入り、越後湯沢駅前のそば処中野屋に寄ってへぎそばを食べて帰った。

おわりに

 人気の沢だけあって滑り台と2つの広いスラブ帯とも前評判に違わず楽しむことができた。晴れていたからか、ナメ沢の難しさとしては黄蓮谷右俣よりずっと簡単である。

 初心者がいる場合はロープを出したほうがいいとあるが、あまり残置ピンはなかった。確保を要するならハンマーとハーケンなど支点を用意した方がよさそうだ。

 あと下りの平標新道が標高差があり、滑りやすく歩きにくいので下りは疲れる。


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