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2010年春 - 越後・八海山


2010年3月20日(土)〜3月22日(月・祝)
場所
新潟県魚沼市(旧・南魚沼郡六日町)
ルート
3月19日
上野=高崎(泊)
3月20日
高崎=六日町=八海山スキー場…アラチ沢右稜取付点…無名尾根835m…アラチ沢右稜取付点(泊)
3月21日
アラチ沢右稜取付点…八海山スキー場…遥拝堂避難小屋(泊)
3月22日
遥拝堂避難小屋…八海山スキー場ベースキャンプ=六日町=水上=高崎
参加者
K、H、中山、佐藤
参考文献

はじめに

 今年は月1回のペースで山に登っている。仕事が忙しいとかではなく、スウェーデン行ったり、職場旅行に行ったり、スキーに3回行ったりしているからである。なので休日は充実してはいるのだが、山はまだ山頂に立っていない。1月は天神平で雪洞を掘っただけ、2月は一ノ倉沢避難小屋に泊まっただけである。残念ながら今回も山頂に達することはできず、今回の最高点は八海山スキー場の上にある遥拝堂避難小屋であった。

 八海山は越後駒ヶ岳、中ノ岳と並ぶ越後三山の一つであり、魚沼Hから最も近いこと、日本酒の名前にもなっていることから有名である。昨年の大河ドラマ「天地人」のオープニングでも直江兼続演じる妻夫木聡が八海山山頂に立つ空撮動画が用いられていた。登る予定だったアラチ沢は山麓の六日町八海山スキー場の東側を流れる沢であり、アラチ沢右稜はその左岸に位置する。

 アラチ沢右稜は取付点で雪がないため、隣の生金尾根との無名尾根に転進、これも上部は雪がなくまたつきあたりが壁になっているため引き返した。翌日は八海山スキー場から八海山へ向かうものの稜線はガスと吹雪で進めず遥拝堂避難小屋で泊まった。3日目はスキー場を下り帰京した。

0日目

2010年3月19日(金)

上野=高崎(泊)

 上野の最終列車に乗って高崎へ向かう。金曜日とあって人も多い。Kさんが乗り遅れて翌日追いつくとのことだった。高崎駅のホームの待合室で銀マットを敷いて泊まった。

1日目

2010年3月20日(土) 快晴

高崎=六日町=八海山スキー場…アラチ沢右稜取付点…無名尾根835m…アラチ沢右稜取付点(泊)

コースタイム
八海山スキー場ベースキャンプ10:00
10:30
アラチ沢右稜取付点11:43
11:57
無名尾根725m12:51
13:00
無名尾根835m14:18
14:44
無名尾根690m16:05
16:10
アラチ沢右稜取付点16:27
21:40就寝

 朝、高崎から水上経由で六日町へ。六日町から八海山スキー場行きのバスに乗り、終点で下車。運賃410円+荷物料金100円で510円であった。

 天気は快晴。明日明後日の天気が悪そうなので八海山スキー場のロープウェイから八海山に向かおうかとも思ったが、天気がよく簡単に登れてしまえそうなので予定通りアラチ沢右稜へ取り付くことにする。

アラチ沢右稜
3/20 スキー場の駐車場からアラチ沢右稜を眺める。mouseoverで地名表示。
祓川
3/20 祓川沿いに登る。正面ルンゼ左手の尾根がアラチ沢右稜。

 ロープウェイ山麓駅の駐車場の片隅から斜めに下り、祓川に下る。枝沢を一本渡って祓川へ。祓川はわりに平坦で広い河原なので歩きやすい。途中で丸太を渡って祓川を右岸から左岸に移る。やがて右にルンゼが分かれる。左にアラチ沢、右にこのルンゼでたぶんここがアラチ沢右稜の取付点

祓川
3/20 途中で丸太を伝って祓川を渡る。
アラチ沢右稜取付点
3/20 アラチ沢右稜取付点。正面のハリネズミみたいな尾根がアラチ沢右稜。

 しかし見えるアラチ沢右稜は雪がなく、茶色いヤブが茂っている。資料には「リッジは雪が落ちている。左の雪壁から抜ける」とあるが、右にも左にもまったく雪がない。まるでハリネズミのようだ。

 どうしようか相談し、南隣の尾根から1364m峰へ登ることにする。途中までは雪が見えるし、登れば登るほど雪は増えてくるだろうから大丈夫だろうと踏んだが、結果から言うと失敗だった。

無名の尾根
3/20 ルンゼ向かいの尾根を望む。mouseoverで登ったルートを示す。
無名の尾根
3/20 無名の尾根に取り付く。

 すこしルンゼを登り、ルンゼを渡って南隣の尾根へ取り付く。下部はしばらく雪が付いていて登りやすい。しかし途中からヤブが出てきてヤブの中をくぐり抜ける尾根になる。尾根ははっきりしていて迷うことはないのだがこれは登りにくい。

無名の尾根
3/20 無名の尾根を登る。ヤブが出てくる。
壁
3/20 正面の壁が登れそうにないので引き返す。mouseoverで壁を赤表示。

 そしてこの無名の尾根の835m付近で雪の上に出るが、その先に登れないもろそうな壁がある。しかも上からときどき雪が落ちてきていた。この尾根を登ることができない。そこで次にとるべきルートとしてもう1本南へルンゼを渡って生金沢左稜へ取り付くことも検討する。しかしその場合幕営箇所も不明だし、明日の天気次第では停滞もありうる。進退窮まるのもいやなので一旦下ることにする。下り道は登ってきた道を引き返すか、生金沢左稜との間の南側の沢を下るか。来た道はヤブなのでヤブを避けたいが、未知の沢を下るのもこわいので来た道を引き返す。

生金沢左稜
3/20 隣の生金沢左稜への転進を検討するが、進退窮まると困るので下山する。
祓川
3/20 登った尾根を下る。天気はよく、祓川のHがよくみえた。

 引き返す間、雪面を下れないか模索するが、急で先が見えないのと暖かくて全層雪崩が起きそうなのとで結局ヤブの中を歩いた。やがてアラチ沢右稜取付点に戻ってきた。このあと八海山スキー場から八海山を目指すことは決めたが、電話で聞いてみるとスキー場のロープウェイはすでに営業を終えているのでここで幕営し、翌日はアラチ沢右岸の斜面を登り、スキー場に出ることにする。

下山
3/20 高度感のある尾根を下る。
谷川岳
3/20 アラチ沢右稜取付点に幕営。

 広い斜面に幕営し、水はアラチ沢から汲んだ。夜は天気がよく、星がよく見えていたが、寝る頃には雲が出てきてしまった。

2日目

2010年3月21日(日) くもりのち吹雪

アラチ沢右稜取付点…八海山スキー場…遥拝堂避難小屋(泊)

コースタイム
アラチ沢右稜取付点6:05起床
8:35
八海山スキー場第3ロマンスリフト乗り場付近9:28
八海山スキー場エキスパートコース1065m付近10:16
10:33
八海山スキー場ロープウェイ山頂駅11:03
遥拝堂避難小屋11:15
19:00就寝

 この日の天気予報は吹雪を告げていた。未明には強い風が山から吹き降ろし、雨もバタバタとテントを叩いていた。しかし明け方には雨風はやみ、ガスになり、そのガスもとれてきた。予報では寒冷前線が通過するといっていたが、寒くもないので寒冷前線はこれかららしい。

 予定はスキー場の駐車場に戻り、ロープウェイで稜線に上がることにしていたが、正面のアラチ沢右岸の斜面を登ればスキー場に出られるので直接スキー場に登ることにする。

アラチ沢
3/21 アラチ沢右稜取付点の少し上からアラチ沢は雪で埋まっていた。ここで水を汲む。
アラチ沢
3/21 アラチ沢を渡って八海山スキー場に上がる。mouseoverで登ったルートを表示。

 ひとしきり急な斜面を登ると割になだらかな斜面となり、ぐいぐい登っていくとスキー場のらくらくBコースの上部に出た。ちょうど「滑走禁止」の看板の裏側であった。スキー場に出ると標高が上がったからかだんだんとガスが出てきた。寒冷前線が近づいているのかもしれない。

アラチ沢右岸
3/21 アラチ沢右岸の斜面を登る。
八海山スキー場
3/21 八海山スキー場の第3ロマンスリフトの乗り場に出る。黄砂のせいか空が黄色い。

 らくらくBコースから第3ロマンスリフトの乗り場に出る。黄砂のせいかスキー場全体が黄色く見える。そこからリフトとロープウェイの間のエキスパートコースの脇を登る。スキー場の中なので好奇の目にさらされる。はずかしい。

 登るにつれだんだん風が強くなり、雪も降ってきた。途中1065m付近で一本取る。休んでいると寒い。スキー場のアナウンスは強風のためロープウェイが減速あるいは停止することを繰り返し放送していた。天気はだいぶ下り坂のようだ。

エキスパートコース
3/21 エキスパートコース1065m付近で一本。風と雪が強く寒い。
遥拝堂避難小屋
3/21 遥拝堂避難小屋に泊まった。

 やがてロープウェイ山頂駅に到着。そこから左手に登り、展望台に出た後、右手に歩くと遥拝堂避難小屋に出た。とりあえず遥拝堂避難小屋に逃げ込む。ここから先に進むかどうか相談するが、ガスが濃く、稜線も広いのでここで泊まることにする。

 避難小屋は休憩所を兼ねており、中には祭事に使うろうそく立てや八海山大神と木花咲耶姫の立て札が置いてあった。夏季には遥拝場に立てられ、冬季には小屋にしまわれているようだ。奥をすこし開けさせてもらってテントを張った。

 夜はガスが晴れることもなく、雪と風が強かった。昼過ぎは南風だったが、夕方には北風になり前線が通過したことをうかがわせた。

3日目

2010年3月22日(月・祝) くもり

遥拝堂避難小屋…八海山スキー場ベースキャンプ=六日町=水上=高崎

コースタイム
遥拝堂避難小屋3:00起床
5:30
八海山スキー場ベースキャンプ6:50
7:18

 この日は天気が良ければ八海山方面へアプローチするつもりだったが、明け方はガスがとれなかったのでスキー場を下山した。圧雪車が走る中を下り、スキー場最下部のベースキャンプに着いた。ここでタクシーを呼び、六日町へ下山した。

魚沼H
3/22 スキー場上部から眺める魚沼H。
尾根
3/22 らくらくAコースから1日目に登った尾根を眺める。mouseoverで尾根を表示。

おわりに

 残念ながら八海山には登れなかった。

 天気が悪かったものの、はじめからロープウェイからアプローチするなどすればよかったかもしれない。判断が中途半端だった気がする。

 この季節、残雪の量が日によってまちまちなのでヤブを避けて登れるかどうか、雪崩が起きるかどうかは判断が難しいと思う。


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