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2010年冬 - 上越・谷川岳一ノ倉沢一ノ沢・二ノ沢中間稜(敗退)


2010年2月20日(土)〜2月21日(日)
場所
群馬県利根郡みなかみ町(旧・水上町)
ルート
2月19日
東所沢=谷川岳ロープウェイ土合口(泊)
2月20日
谷川岳ロープウェイ土合口…一ノ倉沢出合…一・ニの中間稜(敗退)…一ノ倉沢避難小屋(泊)
2月21日
一ノ倉沢避難小屋…谷川岳ロープウェイ土合口
参加者
K、H、中山
参考文献

はじめに

 今年2回目の山も前回に続いて谷川岳周辺。でもHさんのアイゼンにトラブルがあって下山した。

 一ノ倉沢右岸は下流から一ノ沢、二ノ沢、滝沢、本谷と名前がついている。一ノ沢・二ノ沢中間稜はその名の通り、一ノ沢と二ノ沢の間の稜線である。突き上げると東尾根に出て国境稜線は谷川岳オキの耳に出る。

 中間稜末端の取り付きから1時間登ったところでHさんのアイゼンが割れ、仮固定して下山した。翌日はKさんと東尾根を登る話になったが、朝は風と雪と視界がいまいち悪いのとで断念、ロープウェイ土合口に下山した。

 結局、山には登れなかったが、初めて冬の一ノ倉沢を眺め、あまりの険しさと美しさに感嘆した。あれを登る人がいるというのだから信じられない。

0日目

2010年2月19日(金)

東所沢=谷川岳ロープウェイ土合口(泊)

 集合場所の東所沢へ向かう。所沢ICから関越に乗り水上ICへ。

 谷川岳ロープウェイ土合口駅の切符売り場の階はスノーボーダーのグループが1ついるだけで閑散としていた。先月は多くの登山者とスキーヤーでごった返していたのにどうしてだろう。日本酒を飲んで1:30に就寝。

1日目

2010年2月20日(土) くもり

谷川岳ロープウェイ土合口…一ノ倉沢出合…一・ニの中間稜(敗退)…一ノ倉沢避難小屋(泊)

コースタイム
谷川岳ロープウェイ土合口6:30
7:05
一ノ倉沢避難小屋8:05
8:40
中間稜1225m9:58
10:08
中間稜1290m10:25
10:45
一ノ倉沢避難小屋11:50
19:50

 谷川岳ロープウェイ土合口の6階は床暖房が入っていて寝ていると少し暑いくらいだった。6時起床。起きると人がたくさんいた。私たちが就寝した後たくさん人が来たようだ。持っていく荷物を整理し、歩き出す。すぐ先の指導センターで登山届を提出し国道を歩く。国道といっても除雪されているのは指導センターまででそこから先はただの雪の斜面だ。天気は晴れでときどき湯檜曽川を挟んで向かいの白毛門山が見える。やがてマチガ沢を過ぎて一ノ倉沢へ。一ノ倉沢避難小屋に入り、登攀具を装備する。小屋ではすでにひとパーティー出発準備を行っていた。それから遅れて30分ほどで出発。

国道
2/20 登山センターから一ノ倉沢へ国道を歩いて向かう。
白毛門山
2/20 国道から見えた白毛門山。
一ノ倉沢避難小屋
2/20 一ノ倉沢避難小屋。コンクリートづくり。
一ノ倉沢
2/20 一ノ倉沢。mouseoverで地名表示。

 一ノ倉沢を正面に構えると立派な壁だ。険しくも美しい。左から一ノ沢・二ノ沢中間稜、滝沢リッジ、滝沢スラブ、烏帽子岩、衝立岩と並んでいる。ガスで稜線は見えない。積雪で全体的に白い中にあって衝立岩の面は黒い岩の肌を見せている。雪が積もるすき間がないのだろう。正面奥の滝沢スラブには氷瀑がかかっており、ときおり泡雪が滝のように流れ落ちている。ここを登ろうと試みる人がいるというのだから驚きあきれる。調べてみたら有村先輩も3年前に衝立岩中央稜を登っていた。脱帽。

一ノ沢・ニノ沢中間稜
2/20 一ノ沢・ニノ沢中間稜を仰瞰する。mouseoverで登ったルートを示す。
一ノ沢・ニノ沢中間稜
2/20 一ノ沢・ニノ沢中間稜に取り付く。はじめは藪。

 歩いていくと先ほどのパーティーと思しき2人が一ノ沢を登っていた。おそらく東尾根を登るのだろう。私たちは一ノ沢・ニノ沢中間稜を登る。少々藪のある急な尾根を登る。雪は多いものの、スネから膝くらいの深さである。Kさん、Hさん、Kさんとトップを交代し、次に私。ときどき雪の段差があるのだが、うまく乗り越えられない。足を高く上げても雪が崩れたり、足が雪に沈んで登れない。上方の雪面にピッケルをさし、蹴り込んでゆっくり登ればいいと指導されるが、うまくできない。もがきながら登る。一ノ倉沢のどこかからコールが聞こえるが姿が見えない。

衝立岩
2/20 一ノ沢・ニノ沢中間稜から一ノ倉沢を隔てて衝立岩を眺める。冬なのに黒い岩肌が出ている。
雪の斜面
2/20 雪の斜面を登る。この直後、Hさんのアイゼンが破断する。

 樹林帯から一度出る1225m付近で一本。そこでザイルを出してコンテで雪面を登る。トップを歩くHさんが途中1290m付近でアイゼンが外れたという。少し安定したところでアイゼンを見ると外れただけではなく、アイゼンが壊れたようだ。アイゼンの金具部分が摩耗するとかではなく、アイゼン本体の1枚の鉄が破断した。10年くらい使っていると言っていたけど、そんなこともあるのかと驚く。

アイゼン補修
2/20 アイゼンを針金で補修。後ろは衝立岩。
一ノ沢・ニノ沢中間稜
2/20 一ノ沢・ニノ沢中間稜を下る。向こうの尾根は一ノ倉尾根。

 これから中間稜というタイミングでどうしようかと話す。HさんはKさんとと私で中間稜を登ればいいと進言するが、結局セオリー通りみんなで下山することにする。下山しながらどうしようか話す。また天神平で雪洞でも掘ろうかと話すが、それも乗り気がしない。今日は一ノ倉沢避難小屋に泊まり、明日はKさんと私で東尾根を登ろうという話になる。

白毛門山
2/20 一ノ倉沢避難小屋へ下山。正面には白毛門山。
一ノ倉沢避難小屋
2/20 一ノ倉沢避難小屋内に幕営。

 一ノ倉沢避難小屋に入るとそこではスノーシューでやってきた人たちが昼飯を食べていた。気まずい感じで登攀具を外す。しばらくして出ていったが、また別のグループがやってきた。スノーシューのハイキングが流行っているようだ。落ち着いてから避難小屋の奥にテントを張り、酒を飲んだ。その後、左方ルンゼ、衝立岩中央稜、変形チムニーと今日登った3パーティーが登攀具を外しに避難小屋に入ってきた。私たちは昼から酒を飲んでいて何だかバツが悪い。夕方から天気が悪くなり風と雪が強くなってきた。19:50就寝。

2日目

2010年2月21日(日) 雪

熊穴沢ノ頭…谷川岳ロープウェイ天神平=谷川岳ロープウェイ土合口…JR上越線土合駅

コースタイム
一ノ倉沢避難小屋4:30起床
6:40
谷川岳ロープウェイ土合口7:41

 3時過ぎにひとパーティーが避難小屋で登攀具を付けていた。朝早くからよく登るものだ。この日はアイゼンが壊れたHさんは土合に下り、Kさんと私は東尾根を登る予定だったが、前日夕方からの雪と風はやまず、一ノ倉沢の上方も見えない。きっぱり諦めて下ることにした。

マチガ沢
2/21 天気がいまいちなので下山。マチガ沢もガスっていた。
ロープウェイ土合口
2/21 ロープウェイ土合口に下山。

 昨日来た国道をたどって谷川岳ロープウェイ土合口へ戻った。終始風と雪があったが、帰りは水上まで来ると晴れてきた。温泉センター諏訪の湯によって帰京。

おわりに

 残念ながら一ノ沢・ニノ沢中間稜は登れなかった。

 アイゼンが破断するということは勉強になった。ただ防ぎようがないと思う。しいてあげるならば一定年数が経過したアイゼンは使用しないということくらいか。核心部に取り付く前だったのが不幸中の幸いだった。

 今年はまだ山頂に登っていない。万座山には登ったが、スキー場からすぐだったのであんまり登った気もしない。どこか低くてもよいから山頂を踏みたい。


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