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2010年夏 - 北アルプス・唐松岳〜五竜岳


2010年9月4日(土)〜9月5日(日)
場所
長野県北安曇郡白馬村・大町市
ルート
9月3日
新宿=さわやか信州号(車内泊)
9月4日
八方インフォメーションセンター…ゴンドラリフトアダム山麓駅=八方池山荘…唐松岳頂上山荘…唐松岳…五竜山荘(泊)
9月5日
五竜山荘…五竜岳…五竜山荘…大遠見山…小遠見山…地蔵の頭…アルプス平=白馬五竜エスカルプラザ…神城駅=新宿駅
参加者
山田、山田、松本、中山
参考文献
「アルペンガイド14 立山・剣・白馬岳」(山と渓谷社,1994)

はじめに

 唐松岳と五竜岳は後立山連峰の峰で北の白馬岳、南の鹿島槍ヶ岳に挟まれた山である。唐松岳は八方尾根、五竜岳は遠見尾根とそれぞれ大きな尾根を伸ばしている。また八方尾根には白馬八方尾根スキー場、遠見尾根には白馬五竜スキー場があり、夏季もゴンドラを運転しているため、容易に標高1700mほどまで上がることができる。その分、人も多い。

 私は後立山連峰はあまり行ったことがない。五竜岳こそ今年の4月5月に登っているが、それ以前は登ったことがない。ほかに後立山連峰で登ったことがあるのは高2のときの白馬岳の1回だけである。今回登った唐松岳は初めてだし、鹿島槍ヶ岳は登ったことがない。

 今回初めて夏に五竜岳に登ってみて、唐松岳から見るとなかなか大きく立派な山ということに改めて気がついた。人が多かったのと、天気がよくて日差しが暑かったことを含めて夏山縦走らしい山行だった。

0日目

2010年9月3日(金)

新宿=さわやか信州号(車内泊)

 新宿の都議会地下に22:30集合。さわやか信州号に乗車して白馬八方尾根スキー場へ向かう。バスに乗るときに計画が遠見尾根から五竜岳往復ではなく、唐松岳から五竜岳の縦走と知らされ驚く。早めにバスを予約したからか一番後ろの座席で快適に眠れた。

1日目

2010年9月4日(土) 晴れ

八方インフォメーションセンター…ゴンドラリフトアダム山麓駅=八方池山荘…唐松岳頂上山荘…唐松岳…五竜山荘(泊)

コースタイム
八方インフォメーションセンター6:20
7:15
ゴンドラリフトアダム山麓駅7:30
7:40
八方池山荘8:10
8:18
八方池9:17
9:32
扇雪渓10:27
10:35
丸山ケルン11:00
11:15
唐松岳頂上山荘12:00
12:07
唐松岳12:23
12:33
唐松岳頂上山荘12:46
12:58
2405m13:50
14:15
2265m鞍部15:45
15:57
五竜山荘15:44
19:40就寝

 起きたら白馬八方尾根スキー場の八方インフォメーションセンター。ここでトイレを済ませ、身支度を調えてスキー場のゴンドラへ向かう。7:30営業開始のゴンドラはすでに行列ができていた。ゴンドラ1つ、リフト2つを乗り継いで八方池山荘に着く。一気に標高1000mを稼ぐことができ、だいぶ楽だ。途中でガスの中に入る。

 八方池山荘はガスの中。ここのところ下界は暑いのでガスの方が涼しくてよい。最後のトイレを済ませて出発。しばらくお花畑のジグザグの道を登る。ハクサンシャジン、カライトソウ、コウメバチソウなど目を楽しませてくれる。八方池までは観光客も多い。

八方山
9/4 八方尾根スキー場のゴンドラ、リフトを乗り継ぎ八方池山荘から歩き始める。
八方山
9/4 八方山の湿地帯を歩く。

 八方山南側の湿地帯を歩いているとガスが晴れてきた。初めは展望があって喜んでいたのだが、次第に日差しが暑く感じてきた。ジリジリと焼けるようだ。八方山の平らなところには八方山ケルンとトイレがあった。唐松沢を隔てて白馬岳、杓子岳、鑓ヶ岳の白馬三山が見える。八方山からひと登りで八方池。八方池は池を経由する道と稜線伝いの道と2つあるが、よく分からず稜線伝いの道を行く。池を見下ろすところでひと休み。遮るものがなく、暑い。

八方池
9/4 八方池から天狗の頭と白馬三山を望む。
扇雪渓
9/4 扇雪渓。9月というのに雪が残っていた。

 八方池からはときどき樹林帯の中を歩くようになる。下樺尾根を巻いたあたりで足を痛めた人が休んでおり、三角巾を持っていた千紘さんが応急手当してあげた。尾根の南側を巻くように進み、上樺尾根と合わさるところで扇雪渓。この猛暑の夏にあってすでに9月だが、まだ雪が残っていた。雪を触って涼をとる。さらに登って丸山ケルンでひと休み。

丸山
9/4 丸山への登り。雲海を背にして登る。
八方尾根
9/4 唐松岳頂上山荘への登り。岩が崩れたところがある。

 丸山ケルンからまた稜線の南側を歩く。崩壊気味の斜面が2箇所あり、それぞれ木の板で橋が渡してあった。途中、救助の伝令と思われる人が走って下っていった。天気がいいので大黒沢を挟んで五竜岳が見えるがだいぶ遠く見え、今日五竜山荘までたどりつくのは時間がかかりそうに感じた。山をぐるりと巻いて出るとそこが唐松岳頂上山荘であった。

唐松岳
9/4 唐松岳頂上山荘から唐松岳を往復する。
天狗の頭
9/4 唐松岳山頂から見る天狗の頭。手前は不帰嶮。

 唐松岳頂上山荘にザックを置き、唐松岳を往復。空身だとスイスイ登れて唐松岳山頂。展望はよく、北へ不帰嶮、白馬岳、西から南にかけては剱岳、立山、薬師岳、赤牛岳、水晶岳、針ノ木岳が見える。そして手前には五竜岳が大きい。五竜岳にはいくつもの沢が矢のように突き上げており、険しい山ひだを形成していた。

唐松岳頂上山荘
9/4 唐松岳山頂から見る唐松岳頂上山荘。
五竜岳
9/4 唐松岳頂上山荘から五竜岳へ向かう。岩場の下り。

 唐松岳頂上山荘へ戻り、ザックをとって五竜山荘へ向かう。出だしから鎖場で赤茶けた岩の稜線である。岩場の苦手な千紘さんに合わせながら下る。唐松岳から五竜岳へ向かう人のほうが逆コースより多いがそれでも渋滞気味であった。岩場はしばらく続き、2405m付近で抜ける。しかしそこで真生さんと千紘さんの登山靴の靴底がはがれかけているのにそれぞれ気づく。私がニュージーランドに行くときにも靴が壊れたが、同様のウレタンの劣化による故障のようだ。持っていた細引きでこれ以上剥がれないように固定する。

大黒岳
9/4 大黒岳付近を歩く。狭いトラバースや鎖場が続く。
五竜岳
9/4 岩場をひとしきり下りきると雲が湧いてきた。
唐松岳
9/4 唐松岳(左)を振り返る。
白岳
9/4 白岳の登り。

 しばらく下って鞍部に日陰を見つけそこで休む。少々虫が多いが、暑いよりはましであった。登り返して白岳。少し下って五竜山荘

五竜山荘
9/4 五竜山荘到着。
G0の頭
9/4 五竜山荘から見る夕暮れ。富山平野に広がる雲海。

 今回は小屋泊なので小屋に入って宿泊の手続きを行う。すでに16時近いので私は炊事場へ直行し、飯のしたく。他の人達は割り当てられた2階の部屋へ行き、布団を敷いた。晩ごはんはキムチ鍋。かなり量が多く、1/3くらいは翌朝に残してしまった。私が用意した海藻サラダと梨は好評だった。水は雨水の貯留分で蛇口の出は悪かった。水もさほど冷たくなく、用意したビールもあまり冷えなかった。20時前に就寝。

2日目

2010年9月5日(日) 快晴

五竜山荘…五竜岳…五竜山荘…大遠見山…小遠見山…地蔵の頭…アルプス平=白馬五竜エスカルプラザ…神城駅=新宿駅

コースタイム
五竜山荘3:00起床
4:35
五竜岳5:37
5:55
五竜山荘6:45
7:13
西遠見山池塘8:21
8:35
中遠見山9:30
9:42
小遠見山10:00
地蔵の頭10:46
アルプス平11:11
11:35
白馬五竜エスカルプラザ11:45
12:50
JR大糸線神城駅13:13
13:34

 朝3時起床。昨日の残りのキムチ鍋とインスタントラーメン2袋を食べる。荷物をまとめて小屋の前に起き、4:35出発。五竜岳へはG0、G2の北側黒部側を巻く。G0を振り返ると雲海を背景に立つ鋭い姿はさながら氷山のようであった。G2は5月には稜線沿いに登り、道が分からなくなった場所でもある。晴れていれば正面に五竜岳が見え、迷いようがなかった。

五竜岳
9/5 五竜岳の登り。最後は岩場。
五竜岳
9/5 五竜岳山頂。日の出を目当てにした人たちで混雑していた。

 G2から五竜岳へは岩場の登りである。鎖もあるが、そんなに難しくはない。行列につながりながら登っていたら日が出てきた。いったん足を止めて日の出を見る。安曇平も善光寺平も雲海に沈み、平坦な雲の上に太陽が上がるようすは神々しい。

五竜岳
9/5 五竜岳山頂にて剱岳と著者。
雲海
9/5 五竜岳から見た遠見尾根と雲海。

 やがて鹿島槍への道を分け、黒部側に少し行くと五竜岳山頂。五竜岳も唐松岳以上に展望がよく、黒部川を挟んで剱岳、立山がよく見える。5月はあの剱岳を越えて馬場島に下ったと思うとずいぶん長い距離を歩いたものだ。山頂の標は黄色い日本語、英語、ハングルで書かれたものが建てられていたが、5月はもっと古びた標だったと思う。

白岳
9/5 五竜岳を背に白岳から遠見尾根を下る。
池塘
9/5 西遠見山の東に池塘を見つけ休む。

 来た道を引き返す。五竜山荘でザックを回収し、遠見尾根を下る。小屋に戻ってくる頃には日差しは容赦なく照りつけ、朝7時というのに暑かった。白岳に登り返し、岩場のある下り。棘のないアザミことタムラソウがあちこちに咲いていた。雪がついていれば白岳も登らず、五竜山荘からズカズカと遠見尾根を下れるのだが、夏は雪がないので足場をていねいに探しながら下る。西遠見山を過ぎたところで池塘があり、その窪地の影で休む。

小遠見山
9/5 小遠見山から振り返る五竜岳。日差しが暑い。
テレキャビンアルプス平駅
9/5 高山植物園の中を歩いてテレキャビンアルプス平駅に到着。

 大遠見山を越えて中遠見山の登り返し。狭い登山道だが、わずかな影を見つけてそこで休む。さらに小遠見山へ登る。振り返ると五竜岳が遠い。五竜岳G2の武田菱が見えるが、夏は雪が消えてしまってあまり鮮明でなかった。小遠見山を過ぎると白馬五竜スキー場から登ってくる人が多い。木の階段など、そこそこ急な下りで地蔵の頭へ。地蔵の頭からはスキー場のゲレンデを下る。夏のゲレンデは高山植物園になっていた。テレキャビンの乗り場からゴンドラに乗り、白馬五竜エスカルプラザへ下山した。

 白馬五竜エスカルプラザで風呂に入り、JR大糸線神城駅まで歩く。信濃大町で乗り換え、松本であずさ24号に乗り換えて帰京した。

おわりに

 天気がくもりがちだった薬師岳〜黒部五郎岳に比べて、天気がよく暑くて人も多くて夏山縦走らしかった。

 特別難しいところはない。樹林帯は少ないので、好天が予想される場合は日焼け止め対策が必要。また唐松岳頂上山荘、五竜山荘の水は有料(小屋宿泊者除く)。


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