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2009年夏 - 奥多摩・丹波川小常木谷


2009年7月11日(土)、12日(日)
場所
山梨県北都留郡丹波山村
ルート
7月11日
余慶橋…置草履の悪場…1245m付近(泊)
7月12日
1245m付近…前飛竜…岩岳尾根…大常木林道…余慶橋
参加者
中山、K、H、K、I
参考文献

はじめに

 この前の週に谷川岳に行ったときにKさんと来週どこにするか話をした。暑くなってきたし沢登りがいいなという話をしていたのだが、どれがいいという決め手がなかった。丹波川で火打石谷、大常木谷、泉水谷小室川谷などいくつか候補をあげ、結局小常木谷になった。

 小常木谷は丹波川左岸の支流、飛竜山南の岩岳尾根と栗山尾根の間を流れる谷である。中程に置草履の悪場と呼ばれる滝群があり、初心者を寄せ付けない。私も以前登ったことがあるが、最初の銚子の滝を除いてほとんどの滝を登ることができず、巻きの連続で疲れてしまった。そのときは置草履の悪場を越えたところで岩岳沢を登り、小常木谷の遡行を打ち切ってしまった。なお「沢登り 入門とガイド」では2級上、「奥多摩大菩薩高尾の谷123ルート」では4級、「東京周辺の沢」では2級と格付けが本によって異なっている。

1日目

2009年7月11日(土) くもり

余慶橋…置草履の悪場…1245m付近(泊)

コースタイム
余慶橋9:00
9:27
火打石谷出合9:47
10:04
花ノ木沢出合10:55
11:07
10m兆子の滝11:12
11:45
8m逆くの字滝11:47
12:06
12m不動滝巻き12:23
12:45
2段20m大滝12:52
13:45
8mネジレの滝巻き13:53
14:03
岩岳沢出合14:10
14:15
1245m河原15:10
21:40就寝

 朝7時、立川駅集合。青梅街道をたどって余慶橋へ。余慶橋から大常木林道を使って火打石谷出合へ向かう。橋のたもとともう1カ所河床へ下りると見られる踏み跡があった。だいぶ高く巻いて火打石谷へ出る。火打石谷出合の河原でハーネス等装備する。

大常木林道
7/11 滑瀞谷を高巻く大常木林道。かなり高く巻く。道はよい。
兆子の滝
7/11 10m兆子の滝。

 歩き始めてすぐ大常木林道を右岸に分ける。大常木林道には立派な木橋がかかっていたが、以前は見かけなかったと思う。新しく架けたのだろうか。しばらくは平凡な河原歩き。4,5mの高さの滝がいくつかあるが、難しくはない。ときどき河床に白黒の島縞模様が現れる。たぶん堆積岩なのだろう。花ノ木沢出合で一本とる。

 花ノ木沢出合からすぐで10m兆子の滝。置草履の悪場の始まりである。上部は吹き上げていてかっこいい滝である。Kさんから「中山登る?」と誘われたのでトップをやらせてもらう。ルートは滝の左側。見かけよりスタンスが豊富で簡単に登れる。残置シュリンゲがぶらさがっているが特に使わなかった。最後に滝の落ち口に下りるところが滑りそうで怖かった。

 兆子の滝の次は8m逆くの字滝。見える滝は「逆」くの字というより「順」くの字に見えるのだが、これで合っているだろう。釜を腰まで使って渡り、滝の左手に取り付く。下部は容易。くの字の折れ曲がったところからはルートが2つとれ、いったん水流に下りて左手を登るルートと滝から離れて高く登るルートとある。私は前者をとったが、結局すべすべでその上は登れず、左手へ逃げた。

逆くの字滝
7/11 8m逆くの字滝。
不動滝
7/11 12m不動滝。右のルンゼから巻く。

 次は12m不動滝。登れないので右のルンゼから巻き。上部がスタンスが細かく意外に難しい。残置ロープをつかんだりしながら登る。トップのKさんにロープをたらしてもらった。

 そして2段20m大滝前回来たときトップのN君が落ちたところである。そのときは私がビレイヤーをしていて滑落を止められなかったので、どうも萎縮してしまう。ここはKさんがトップ。ルートは一貫して水流の左側。下段は簡単に登れる。上段はいくつか残置シュリンゲが見られるものの外傾していて難しい。Kさんはだいぶ悩みながらルートを見つけ何とか登りきった。私は最後だったが、2カ所あった残置シュリンゲをつかんで登った。

大滝
7/11 2段20m大滝。Kさんトップ。難しい。
岩岳沢出合
7/11 岩岳沢出合の幕営適地。

 置草履の悪場の最後に控えるのは8mネジレの滝である。手前の7m滝と連続している。大滝でだいぶ疲れてしまったので、ネジレの滝は右を巻いた。巻き道とはいえ、岩が出ていて少々危ない道であった。

 沢に戻って岩岳沢を左に分けると右岸に幕営に適した台地が現れる。とりあえずここで一本。一本しながら幕営地について話をする。ここはほとんど整地しなくても幕営でき、薪までそろっているが、まだ時間が早いので先を行くことにする。

 岩岳沢出合の台地を過ぎてすぐ10mの滝。直登はできない。前に来たときは右のルンゼを登ったが、高く上がり過ぎてうまく巻けず懸垂下降して敗退した。今回は小さく巻き、簡単に滝上に登れた。ルンゼは少々不安定で登りにくかったものの、巻きは簡単にできた。前はなぜうまく巻けなかったのか思い出せない。

幕営
7/11 1245m付近で幕営。
ナメ滝
7/12 4mほどのナメ滝。

 その後は河原歩きが続く。ときどきナメがあり、気持ちよい。テント場を探しながら登り、15:10、標高1245m付近の左岸のガレの押し出しの下で幕営。岩が多く整地に手こずるが、4,5人用テントが張れるだけのスペースを取れた。

 夜は焚火、酒を飲み、歌を歌い、更けていった。

2日目

2009年7月12日(日) くもり

1245m付近…前飛竜…岩岳尾根…大常木林道…余慶橋

コースタイム
1245m付近5:00起床
6:35
檜沢出合6:46
1690m付近8:00
8:15
栗山尾根・岩岳尾根合流点8:50
9:02
岩岳尾根・ミサカ尾根合流点
(前飛竜)
9:15
9:38
栗山尾根・岩岳尾根合流点9:46
9:50
ハシカキノタル10:32
890m台地11:35
11:51
余慶橋12:25
12:50

 翌朝起きて晩の残りのご飯と豚汁を雑炊にし、本来の朝飯のラーメンを2袋だけ作って食べた。

 しばらく歩いて檜沢出合。今回は本流を進む。檜沢を分けるとだいぶ水量は減る。小滝をいくつか通過すると赤い河原が出てくる。それを過ぎると谷はいよいよ狭くなり、苔むした岩が増えてくる。1690m付近で谷が2つに分かれる。水量の若干多い右俣を選ぶ。ここで水汲みに一本とる。もう水涸れは近そうだ。

ナメ床
7/12 赤いナメ床。
水涸れ
7/12 水涸れ。不安定な斜面。

 しばらく登るとすぐ水が涸れ、不安定なガレ場の登りになった。岩壁で谷は終わっているので、右手の笹ヤブに逃げる。笹ヤブをトラバースしながら10分ほど登ると栗山尾根にたどり着いた。栗山尾根は樹林帯でヤブもなく、うすい踏み跡があるので割に歩きやすい。急登をしばらくこなし、岩岳尾根にたどりつく。岩岳尾根と栗山尾根の合流点にはそれを示すものはないが、東京都水道局の白い花崗岩の標がある。

栗山尾根
7/12 栗山尾根に出たあたり。ツメに踏み跡はないが、尾根には踏み跡あり。
岩岳尾根
7/12 岩岳尾根とミサカ尾根の合流点。背景はミサカ尾根。

 ザックを下ろし、前飛竜を往復する。ところどころヤブが出ているが、踏み跡はしっかりしている。3つほど小ピークを乗り越すとミサカ尾根との合流点にたどり着いた。展望もよいのでここで休む。休んでいる最中に地形図を見ると前飛竜は前方に見える小山だということに気がついたが、めんどうなのでここを前飛竜とする。天気はくもりだが、南には笠をかぶった富士山、東には長く続くミサカ尾根、七ツ石山、鷹ノ巣山、三頭山、大岳山が見えた。大岳山は東京で見るのと同じ形で頂部の左肩に台地のような平らな部分が見えた。

 ザックを置いたところに取って返し、ザックを背負って岩岳尾根を下る。岩岳尾根の下りは急なところがあったり、平坦なところがあったり、緩急のある下りである。植生もシャクナゲだったり、笹だったり、高木ばかりで下草がなかったりいろいろである。

岩岳尾根
7/12 岩岳尾根。シャクナゲのヤブ。
ハシカキノタル
7/12 ハシカキノタル。左が大常木谷会所小屋跡へ下る道、右が前飛竜へ続く道。

 急な道を下っていくとハシカキノタル。一之瀬と余慶橋を結ぶ大常木林道のマイルストンの一つでもある。ただし指導標はなく、営林署の看板があるだけだ。大常木林道は以前大常木谷の帰りにムジナの巣〜竜喰谷〜シナノキノタル〜大常木谷会所小屋跡を歩いたことがあるが、大常木谷会所小屋跡〜ハシカキノタルは歩いたことがない。会所小屋跡への道は進入禁止のロープが張ってあるもののそれなりに歩けそうだ。

 ハシカキノタルから岩岳の巻き。1515m峰は小常木谷側から巻くが、1519.6m三角点峰は大常木谷側から巻く。三角点峰から大常木谷側に下る尾根に迷い込まないよう注意。以前来たときは誤って茅谷尾根を下り、花ノ木沢出合に下ってしまったが、今回は問題なく林道をたどることができた。しばらく尾根の西側の刈り払いの歩きやすい道を下るが、そのうち小常木谷側に移ると不安定で歩きにくい道になる。ところどころ道が細かったり崩れていたりして歩きにくい。途中小常木谷の上流側に折り返して下るところがあり、そこは迷いやすかった。

岩岳尾根
7/12 一部では桟橋が整備されている。
岩岳尾根
7/12 道が崩れているところもある。

 やがて植林帯に入り、890m付近の小常木谷側に平らな台地が現れる。前飛竜から1時間以上歩いたのでここで一本。そこからしばらく下ると小常木谷に出た。小常木谷には立派な橋もあるが、それと別に飛び石で2回小常木谷を渡り、昨日入渓準備を行なった火打石谷出合に出た。

 あとは大常木林道をたどって滑瀞谷を高巻き、余慶橋に出た。

 帰りは丹波山温泉のめこい湯でひと風呂浴びて帰京した。

おわりに

 前回上まで詰められなかった小常木谷をひととおり登れてよかった。前回よりは簡単に感じたが、それでも大滝やネジレの滝はトップでは登れそうにない。難しい沢だと思う。

(2009年7月12, 13日記す)


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