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奥多摩・丹波川小常木谷←|→南アルプス・北岳バットレス第四尾根
7月14日、関東甲信越地方梅雨明け。例年より6日早い梅雨明けで海の日の3連休も晴れ。昨年に続いて今年も海の日の3連休に北岳バットレスに連れて行ってもらった。
予定では1日目に第4尾根、2日目に中央稜を登る予定だったが、1日目、2日目とも雨が降り、北岳に登ることはできなかった。3日目に晴れたので第4尾根を登り、山頂を経由して白根御池小屋のテントを回収して広河原に下山した。
1日目 |
2009年7月18日(土) 雨 |
広河原…白根御池小屋(泊)
芦安駐車場 | 8:10起床 |
9:00 | |
広河原 | 10:00 |
10:10 | |
二俣・白根御池分岐 | 10:37 |
10:40 | |
下部ベンチ | 11:10 |
11:18 | |
白根御池小屋 | 12:24 |
18:50就寝 |
4時頃、芦安駐車場にやってきた車が盗難防止のブザーを誤って鳴らしていた。その音に起きるが、外は雨。今日はバットレス第四尾根を登る予定だが、この雨では登ることはできない。そのまま睡眠を続行する。
結局8:10に起き、出発準備をして9時のバスに乗った。広河原まで1時間睡眠をとる。
広河原に着き、白根御池小屋へ向かう。今日は白根御池小屋まで。野呂川の吊り橋の手前には大樺沢の雪が多いことを示す看板があり、装備を調えた熟達者しか登れない旨が書いてあった。ただ今日は尾根沿いに白根御池小屋へ向かうので関係ない。大樺沢の先に見えるはずの北岳は雲の中で、強い風が木々を揺らしていた。雨は降っていないが、上の方は天気が悪そうだった。
吊り橋を渡って広河原山荘から白根御池小屋へ向かう。少し登って大樺沢沿いの道を分け、小尾根に取り付く。小尾根は急なのでゆっくり歩く。どのみち今日は白根御池小屋までだ。最初のベンチで一本とっていると雨が降ってきた。カッパを着て登る。
7/18 白根御池小屋への道。急登。 |
7/18 白根御池小屋のテント場。三連休の初日とあってテントが多い。 |
2250m付近で道は左手に曲がり、トラバースになる。途中で沢を渡って白根御池小屋についた。天気がよくないためか昨年よりテントが少ないように見える。草すべり側の雪渓の横に広めの幕営適地を見つけそこにテントを張った。
夕方になるとだんだん天候はよくなり、向かいの鳳凰三山が見えた。テントも続々と増えてきて雪渓の上にテントを張るパーティーも出てきた。小屋のまわりも歩く場所に困るほどテントが多い。しかし北岳は依然として雲の中であった。
2日目 |
2009年7月19日(日) 雨 |
白根御池小屋…大樺沢二俣…下部岩壁bガリー取付点…八本歯のコル…標高3090m地点…八本歯のコル…大樺沢二俣…白根御池小屋(泊)
白根御池小屋 | 3:00起床 |
4:22 | |
バットレス沢出合 | 5:27 |
5:32 | |
下部岩壁bガリー取付点着 | 6:06 |
下部岩壁登攀開始 | 7:00 |
下部岩壁登攀打ち切り | 7:20 |
下山開始 | 7:44 |
バットレス沢出合 | 8:02 |
8:05 | |
小尾根取り付き | 8:40 |
8:49 | |
八本歯のコル | 9:10 |
標高3090m(下山開始) | 9:46 |
八本歯のコル | 10:09 |
大樺沢二俣 | 11:27 |
11:29 | |
白根御池小屋 | 11:49 |
18:40就寝 |
今日は改めてバットレス第四尾根を目指す。4時過ぎに白根御池小屋を出発し、大樺沢二俣へ。大樺沢左俣の雪渓を登る。履いているのがスニーカーなので滑る。キックステップで少しずつ登るが怖かった。バットレスへの入り口は二俣からそんなに遠くないと思っていたが、思っていたより上の方であった。バットレス沢に出て雪渓にあいた穴から水を汲み、bガリーの大滝へ詰める。
bガリーの大滝に着くとそこにはすでに何パーティーか取り付いていた。取り付き点にある雪渓は去年より多そうだが、ガスっていてその先が見えない。先行パーティーが登るのを待つ間、ハーネス等装備を整えるが、その際にヘッドランプとトイレットペーパーの入った袋を落としてしまった。ヘッドランプを落とすのは八ヶ岳・阿弥陀岳北稜&石尊稜、北アルプス・明神岳東稜に続き、今年3回目だ。どうも注意力が散漫らしい。
7/19 bガリー取付へ登る私。 |
7/19 bガリー取付。雨が降ってきて登攀をやめる。 |
先行パーティーがなかなか動かなかったあげく、下山してきたので今度は私たちの番。Kさんがリードする。が、Kさんが取り付きはじめると急に雨脚が強くなってきて目が開けられないくらいになった。確保もろくにできない。しばらくしてKさんから何か声かけがあった後、Kさんが下ってきた。天気は悪いし、体は濡れ始めているので今日はバットレスを諦めた。
その場でハーネス等をはずし、下ることにする。ただ下るのもしゃくなので白根御池小屋に戻ってから草すべりを登って肩の小屋から北岳に登ることを考える。しかし下る途中に八本歯のコルから登った方が速いことに気づき、バットレス沢出合から八本歯のコルを目ざす。
八本歯のコルへは大樺沢の雪渓を登る。バットレス沢出合からは傾斜は急になり、滑落が怖い。事実軽アイゼンを履いた人がずるずるとうつぶせで滑落しているのを見て怖かった。バイルを雪面にさして手に支点をとって登った。
7/19 バットレスを諦め、大樺沢左俣の雪渓を登る。 |
7/19 八本歯のコルへの登り。 |
やがて雪渓の終了点から八本歯のコルへ通じる小尾根に取り付く。そこからはナナカマドの生い茂るハシゴの多い道を登る。天気がよければここからバットレスを登っている人が望めるのだが、今日はガスで何も見えない。そのかわり山ガラスが私たちの前を案内するように登山道沿いに登っているのを見た。
やがて八本歯のコル。ここから稜線伝いに北岳に登る。西側からの風が強い。足下のハクサンイチゲやイワカガミに応援されながら登っていく。北岳山荘への道を分けるあたり、岩のガレ場みたいなところから風が次第に強くなり、吹き飛ばされそうな強さになってきた。登山道沿いに張ってあるロープをつかみながら登るが、強烈な風が吹くとバランスを崩すので伏せて風をやり過ごしながら登った。しかしそれも標高3090m付近で動けなくなるような風になった。後方では大波が岩に当たるような音が聞こえるくらいの荒天になり、下山を決意。雪渓で人を追い抜いてからほかに人も見ない。
7/19 強風で飛ばされそうになったため下山を決定。 |
7/19 大樺沢左俣を下る。スニーカーで滑ったり転んだりして擦り傷を負う。 |
来た道を引き返す。北岳山荘への分岐のところで登って来た単独行の人に上の天気を聞かれたので、正直に風が強くて引き返してきたことを伝えると、その人も山頂へは行かず北岳山荘へ向かっていった。八本ばのコルの手前でも単独行に会い、下りで軽アイゼンを持っているか尋ねられた。持っていないことを告げると雪が残っていて厳しいことを教えてもらう。登ってきたから雪があるのは知っているけど、果たしてただのスニーカーで下れるだろうか、私も心配である。
八本歯のコルから樹林帯に入ると風もほとんど吹かず、ただガスの中を下る。雪渓に出てからは慎重に下る。雪のトラバースなどはバイルを突き刺しながらバックステップで移動した。それでも2回ほど滑り落ち、両手に擦り傷を負ってしまった。怖いのでできるだけ左岸の土の道を探しながら下った。
7/19 風で1mほど移動したテント。 |
7/19 白根御池小屋で見た虹。 |
大樺沢二俣に着くあたりになると、今日入山したのか多くの人を見かけた。これから北岳に登るのだろうか。先ほどの強烈な風が心配である。二俣からトラバース道に入り、白根御池小屋に到着。バットレスは登っていないが、それでも7時間は歩いていたことになる。体もずぶ濡れでだいぶ疲れた。置いていたテントは風のためか1mほどずれていて、テント内はぐちゃぐちゃであった。ここでも風が強かったようだ。
その日はテントに戻ってからも雨が降ったりやんだりであまり天気はよくなかった。一回だけ虹が見えたのはうれしかったが、服は乾かず、雨が降ってトイレにも行けず、不快であった。