山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2009年山行一覧>新潟・神楽ヶ峰
神楽ヶ峰は信越・苗場山から派生する尾根の一峰。かぐらスキー場の上にあり、冬季はスキー場のリフトを用いると比較的容易に山頂に達することができる。場所柄、山スキーの入門コースにもなっており、今回初めて山スキーを体験する私にとってはちょうどいい場所になった。また去年の秋に苗場山に訪れた際も和田小屋から神楽ヶ峰を通り、苗場山へ登ったので地理もよく分かり、ちょうどよかった。
千葉高山岳部のOB会でOBの松浦さんから「雪洞山行やろうよ」という声がかかり、今回行きたいと返事したメンバーが行くことになった。山スキーは初めてで何の道具も持っていなかったが、幸い同行した人から借りることができた。また雪洞に泊まるのも初めてだったが、テントより広く、また風も入らず大変快適であった。
ただ食べ過ぎによる腹痛、はじめてのザック背負ってのスキー、はじめてのショートスキー、はじめてのプラスチックブーツを履いてのスキー(滑りにくい)の四重苦とあってつらかった。また他の人にもだいぶ迷惑をかけてしまった。
1日目 |
2009年3月20日(金・祝) 雨のち雪 |
みつまたスキー場駐車場=かぐらゴンドラ=和田小屋=かぐら第一ロマンスリフト…1450m付近雪洞(泊)
みつまたスキー場駐車場 | 9:40 |
11:00 | |
和田小屋 | 12:00 |
1450m付近 | 12:50 |
16:30雪洞完成 | |
23:30就寝 |
諏訪園さんの車と柏さんの車に別れて東京を出発。関越道に乗り、途中のサービスエリアで顔を合わせてから湯沢へ。関越トンネルを抜けるとそこは雨模様で、スキーに行く気が起きない。湯沢ICでおりてみつまたスキー場の駐車場へ。
みつまたスキー場の駐車場はかなり広いが、3/4ほどが車で埋まっていた。車で来た人がぞくぞくと板を抱えてロープウェイに向かっている。秋に来たときはロープウェイも動いておらず、駐車場もガラガラだったのでこのにぎわいは意外なくらいだ。もっともスキー場なので冬が繁忙期なのだろう。
松浦さんからショートスキーとシール、柏さんからストックを借り、ロープウェイへ向かう。となりの苗場スキー場はホテル目の前がスキー場だが、かぐらみつまたスキー場はいったん山を越えないとスキー場に入れない。ロープウェイで山を越える。
さらにみつまた第1高速リフトで向山に登り、滑走してかぐらゴンドラへ。ショートスキー初挑戦だが、エッジのかけ方がまったくわからず止まれない。加えて背中にしょったザックに引っ張られ、背面にこけてしまう。何度かこけてからかぐらゴンドラの乗り場へ。
かぐらゴンドラから降りると和田小屋。秋に来たときはみつまたスキー場から歩いて3時間かかったが、今回はリフトとゴンドラを乗り継ぎ、わずか1時間で達してしまった。
和田小屋でさらにリフトを乗り継ぐが、ここで問題発生。今晩はスキー場の上端まで行き、しばらく歩いてから雪洞を掘って寝床としたい。そしてかぐらスキー場の上端まではあとかぐら第1高速リフトとかぐら第5ロマンスリフトを乗り継がなければならないのだが、風のためどちらもリフトが動いていない。考えられる選択肢は2つ。
すでに時刻も12時を過ぎているし、もう雪洞を掘り始めたい時間である。そのためリフトが動き始めるのを待たず、近くで雪洞を掘ることにした。動いている範囲内でもっとも上まで行けるかぐら第1ロマンスリフトに乗り、そこから少し下った1450m付近の谷間に適地を見つけた。谷間は夏道にも見える。谷間の斜面に穴を掘ることにする。
3/20 かぐら第1ロマンスリフトを降りて雪洞適地を探す。 |
3/20 雪洞掘削開始。 |
松浦さん、柏さん、諏訪園さんは雪洞を掘った経験あり、私と安岡さんは初体験。人数も多いので2チームに分かれ、2つの坑口から1つの雪洞を掘ることにした。松浦・中山チームと柏・諏訪園・安岡チームで雪洞を作る。
雪洞の作り方。まず立坑をきれいに掘る。次に横穴を掘り広げる。気がついた点を以下に述べる。
3時間半ほどの掘削で幅4m、奥行き2m、高さ1.2mほどの雪洞が完成した。
上へ行くリフトが動き始めたらしく、掘削していると上から人がたくさんやってきてチラチラのぞいていった。コースの外で掘っているのだが、全体的に山がなだらかなのでみんな好きな所を滑っているらしい。
3/20 雪洞掘削中。 |
3/20 雪洞が完成したので荷物を搬入する。 |
終わるころには私のカッパはびしょ濡れで、何もしていないと寒かった。外は雪が降り始め、風も出てきたため寒い。16時ごろにスキー場の管理者の方が「リフトの運転を止めるので下山するように」と伝えにきた。そのときには雪洞はほぼ完成していたため「登山届けも出しており、ここで泊まります」と答えた。管理者の方は見て見ぬふりをしてくれたようだ。
3/20 雪洞の中のようす。ろうそくが明るい。 |
3/21 雪洞前にて出発前の写真。 |
雪洞の中に入ると暖かい。各自荷物の整頓を行い、鍋の用意。豆乳鍋にキムチ鍋。酒はビールに日本酒、ワインにスウェーデンのじゃがいもの焼酎などたくさんあった。持ち寄ったつまみもままかり、鮭とば、ソーセージなど充実しており、酒のタネは尽きなかった。諏訪園さんのKY活動、脚気菌説の話も面白く夜遅くまで飲んでしまった。
2日目 |
2009年3月21日(土) 快晴 |
1450m付近雪洞…和田小屋=かぐら第1高速リフト=かぐら第5ロマンスリフト…神楽ヶ峰北2000m峰…1450m付近雪洞…和田小屋=かぐらゴンドラ=みつまたスキー場駐車場
1450m付近雪洞 | 7:15起床 |
9:35 | |
かぐら第5ロマンスリフト終点 | 10:35 |
10:55 | |
神楽ヶ峰北2000m峰 | 11:33 |
12:15 | |
1984m峰 | 12:25 |
12:45 | |
1450m付近雪洞 | 14:06 |
15:20 | |
みつまたスキー場駐車場 | 16:20 |
17:00 |
7:15に起きると外は明るかった。朝ご飯にうどんを食べる。うどんが余りぎみだったので3杯食べた。若干便意があったが、荷物を調えて外に出てからトイレに行こうと思い、トイレには出なかった。雪洞を出たら出たで便意も引っ込んでしまった。
板を履いて出発。水平にトラバースし、和田小屋に下りる。夜を過ぎて雪面はカチカチに固まっており、ただでさえショートスキーがはじめてで勝手が分からないので、こけながら進む。斜滑降も力のかけ方が分からず、変な筋肉を使っているようで疲れる。何とかゲレンデに到達するが、ゲレンデでも倒れながら滑走していた。
リフトを乗り継ぎ、かぐらスキー場の一番上、第5ロマンスリフトに達する。そこには神楽ヶ峰を目指す山スキーヤーがたくさんいた。みんな板にシールを貼ったり装備を整えたりしている。神楽ヶ峰は山スキーではメジャーなピークとは知っていたが、これほどまでとは知らなかった。松浦さんにシールの貼り方を教えてもらい、貼りつける。こんな逆立った毛のようなもので雪の上を滑らなくなるものかと思うと不思議な気がするが、確かに後ろ向きには滑らなかった。ショートスキーをウォークモードに変え、かかとが上がるようにする。板を滑らせながら歩けるので楽である。
3/21 かぐらロマンス第一リフトを降りたところ。山スキー客が多い。 |
3/21 神楽ヶ峰北の2000m峰を目指して登り始める。 |
神楽ヶ峰北の2000m峰を目指す。ちょうど中ノ芝〜上ノ芝あたりのなだらかな斜面なので、トレースはひとすじでなく各人好きなルートで登っている。天気は最高によいので好きなルートを選んで登る。ところどころポツポツと雪をつけた針葉樹が佇立していて山スキーっぽい。最後に少し急な斜面を登ると神楽ヶ峰北の2000m峰にたどり着いた。
3/21 うまくすべれずこける私。 |
3/21 神楽ヶ峰北の2000m峰から見た神楽ヶ峰(左)と苗場山(右)。 |
少し南には神楽ヶ峰、その先に苗場山。北にはとなりの1984m峰。天気はよく遠くに越後駒ヶ岳、巻機山、谷川岳、燧ヶ岳が見えた。そしてあちこちに山スキーヤーがいた。ボードを抱えている人もいた。ただ苗場山まではアイゼンとピッケルが必要に見えた。次にはとなりの1984m峰へ移動し、谷を滑走して雪洞に戻る。
しばらくこの神楽ヶ峰北の2000m峰で休むが、なんか腹が痛い。下痢のような腹痛であまり動けない。昼近くになってしまったので栄養は取っておこうと行動食のクッキーを食べておく。休んでいる間にとなりの1984m峰へ移動するのに下りなのでシールを外しておく。
となりの1984m峰へ移動する。滑走はあっという間で鞍部に着いたら板をはずし、抱えて登る。ショートスキーは短いのでザックの側面にくっつけて登れた。1984m峰は神楽ヶ峰北の2000m峰より広いからか山スキーヤーも30人くらい休んでいた。腹は継続して痛いので便を出したい所だが、人が多いので木のうろで小だけ済ませた。
3/21 1984m峰にてカッサダムと谷川連峰を背景に。 |
3/21 1984m峰から滑走。 |
ここから中尾根と登山道の間の尾根を滑走する。私は依然としてショートスキーが上達せず滑ってはこけ、立ち上がっては滑るをくり返していた。斜滑降もうまくできず、すぐ不安定になって倒れ込んでいた。
私の遅れを鑑みて途中1750m付近で一本。そのころには腹痛も本格的な痛みとなり、立っているのもつらくこけてから立ち上がるまで時間がかかっていた。休んでいると山スキーヤーがあちこちの斜面をすいすいと滑っていく。休んだ後、中尾根との谷を滑走し、第5ロマンスリフトの乗り場の横を通過。
雪洞の場所を探すためコースアウトしながら進む。雪はだいぶ日射で融けて滑りやすい。それでも私はこけながら滑っていた。もう腹痛もあってろくに動ける状態でなかった。何とか雪洞にたどり着いたときには何もする気が起きず、2度大便をしようと試みたが、コース外にも関わらず人が多く、落ち着いて大ができなかった。便自体もかたく出てきそうにない。代わりに吐き気があったので吐いてみたら朝のうどんの具のしめじが出てきた。どうやら便秘と消化不良を併発して腹痛になっているようだ。原因は食べ過ぎだろう。
雪洞の片付けは他の人に任せ、スキー板も靴ごと松浦さんと交換させてもらい、なんとか滑れるようになった。あとは立っているのもつらいような状態でゴンドラとリフトの乗り換えをくり返し、どうにか駐車場にたどり着いた。諏訪園さんの車に乗せてもらった後、しばらく上里SAまで寝かせてもらったらだいぶ元気になった。家まで送るという諏訪園さんの厚意に甘え、自宅まで送ってもらった。
はじめての雪洞掘りと山スキーでけっこう楽しみにして行ったので、雪洞は掘るのも過ごすのも想像以上に楽しかった。山スキーはそのものは楽しかったのだが、食べ過ぎの腹痛のせいでろくに楽しむことができなかった。周りの人にもだいぶ心配をかけてしまったし、申し訳ない山行になってしまった。でも山スキーは楽しかったので機会あればまた行きたい。
(2009年3月23日記す)