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2009年秋 - 北アルプス・常念岳


2009年10月10日(土)〜11日(日)
場所
長野県安曇野市(旧南安曇郡穂高町・堀金村)
ルート
10月10日
新宿=豊科=一ノ沢登山口…常念小屋(泊)
10月11日
常念小屋…常念岳…蝶ヶ岳…三股
参加者
中山、山田(千)さん、山田(真)さん
参考文献

はじめに

 今週は12日が体育の日で3連休。以前、穂高尾瀬にいっしょに行った山田さんから常念岳に誘われたので常念岳にいくことにした。話を聞くともともとの発起人はその山田さんの友人の山田さんで3人で行くことになった。私は鍋は持っていたが、テントは持っていなかったので常念小屋に素泊まりになった。

 常念岳に行くのは12年ぶり2回目。高校1年目の夏山縦走で燕岳から蝶ヶ岳まで縦走したとき以来である。槍ヶ岳や穂高岳は何度も行っているが、常念岳から蝶ヶ岳にかけての稜線は久しく歩いていない。北アルプス南部では餓鬼岳から燕岳、常念岳、大滝山、霞沢岳へいたる稜線はかなり長く、安曇平からも近いにもかかわらず、となりの槍穂の稜線の前に色あせてしまっている感がある。

 しかし登ってみると3連休とあって常念岳はかなりの混雑であった。5分に1パーティーくらい遇っていたのではないだろうか。天気は土曜日くもりときどき雨、雪だったものの、日曜日は晴れで常念岳山頂からは鷲羽岳、槍穂連峰、乗鞍、御岳、南アルプス、富士山まで見えた。

1日目

2009年10月10日(土) くもりときどき雨、雪

新宿=豊科=一ノ沢登山口…常念小屋(泊)

コースタイム
一ノ沢登山口10:23
10:38
山ノ神10:51
王滝ベンチ下11:35
11:45
笠原沢出合10:41
笠原沢出合上12:51
13:01
最終水場13:43
13:53
常念小屋14:40
18:40就寝

 朝、新宿7時集合。スーパーあずさ1号に乗車し、松本へ。3連休の初日で指定席は取れず、大月まで立ち。あずさ回数券なので大月で指定席の空席を探し、着席。諏訪から塩尻まで寝る。松本で接続する快速あずみ野に乗り換えると次は豊科。豊科で下車。豊科では私たち以外にも何人かザックを背負った人が下車していた。豊科でタクシーに乗り、常念岳一ノ沢登山口に向かう。豊科駅から30分ほどで一ノ沢登山口についた。タクシー代は5400円。途中の路肩には何台も自家用車が駐車してあり、相当な人数が入山しているようだ。

 登山口には登山届の受付とトイレ、水場があり、出発の準備を行う。私たちが準備をしていると追ってタクシーがやってきて同様に登山者を降ろしていった。10:38出発。

枝沢
10/10 ところどころ一ノ沢の枝沢を渡りながら常念乗越へ向かう。
落葉
10/10 落ち葉の道を歩く。

 道は一ノ沢の左岸の林に続いている。林の中なので沢のようすは見えない。平坦な林にはホオの葉が目立つ。しっとりとした苔の生えた林を歩いていくとしばらくで山ノ神。ときどき一ノ沢左岸に入ってくる枝沢を渡りながら歩く。沢の幅に応じて飛び石だったり、丸太橋が架かっていたりする。王滝ベンチの少し下で一休み。ときどき雨がぱらつくが強く降ることはない。気温もさほど低くないのでカッパは着ないで歩く。

笠原沢出合上
10/10 笠原沢を過ぎて沢が細くなる。上部はガス。
胸突八丁
10/10 胸突八丁を過ぎると沢も傾斜が出てくる。

 しばらくで王滝ベンチを過ぎる。王滝というからには滝があるのかと思ったが、枝沢が流れているだけだった。王滝ベンチから笹の中の道を歩く。笠原沢出合あたりからガスが出てくる。笠原沢を渡って1回一ノ沢本流を渡り、少し登ったあたりで一本とる。なかなか休めるところがなく、道の片隅で休んでいたら登り下りともけっこう往来があり、邪魔になってしまった。

最終水場
10/10 最終水場。ここから小尾根に取り付く。
コメツガ
10/10 コメツガの林をジグザグに登っていく。

 また一ノ沢を渡り返して少し登ると胸突八丁。高巻いてトラバースし、河原に下りてから少し登り、対岸に渡ると最終水場であった。最終水場で水を汲んで小尾根に取り付く。300mの標高差をつづら折れで登っていく。ときどきコメツガの林の向こうから木漏れ日が射す。ふと振り返ると谷に虹がかかっているのも見えた。4つのベンチを過ぎると樹林帯を抜けて常念岳の稜線が見えた。そこからしばらくで常念乗越についた。

 常念乗越はくもりで風も強く寒い。常念岳の稜線が見えるが、うっすらとしている。槍や穂高は見えなかった。写真を撮ったりしていると雪が降ってきたのでほどほどにして常念小屋に入った。

常念乗越
10/10 常念乗越から常念岳の方角を望む。常念岳は手前の山に隠れて見えない。
キムチ鍋
10/10 晩ご飯のキムチ鍋を取り分ける。

 小屋泊素泊まりは6500円。一番奥の横通の間に通される。この部屋では私たちが一番早かった。奥に荷物を置いて晩飯作り。小屋内では火を使うなとのことだったのでロビーから出た屋外の喫煙所兼炊事場でキムチ鍋を作る。運動会などで使うようなテントが炊事場になっていた。鍋を作っていたらなぜか鳩がやってきてうろうろ散歩して帰っていった。イワヒバリや雷鳥ならともかく、なぜ鳩がこんなところにいるのだろう。無警戒にも小屋に近づいてきているし。

 日が暮れる前にキムチ鍋を食べてロビーで雑談。明日の天気は受付にあるノートパソコンで予報をみることができた。明日は晴れらしい。それにしても小屋でインターネットが使えるとは驚きだ。明日は早いので18:40には就寝した。

2日目

2009年10月11日(日) 晴れ

常念小屋…常念岳…蝶ヶ岳…三股

コースタイム
常念小屋4:00起床
5:09
常念岳6:30
6:48
常念岳北コル7:48
7:54
2592m峰8:40
8:56
蝶槍9:53
蝶ヶ岳三角点10:00
10:21
蝶ヶ岳ヒュッテ10:53
11:03
2000mまめうち平上12:38
12:48
力水13:53
三股14:10
三股駐車場14:25

 4時に起床、荷物を持って昨日晩ご飯を作った屋外の炊事場でキムチ鍋の残りにうどんを入れて食べる。朝の気温は氷点下3.5℃。けっこう寒い。5時過ぎにはうっすら明るくなり始めて常念岳には山頂に登り始める人の列が見えた。槍の肩の小屋や北穂高小屋にも明かりが見えた。私たちも常念岳へ登り始める。風が寒いのでタオルをマスク状に首に巻いて歩いた。

明星
10/11 常念乗越より、夜明け前、明けの明星。
常念岳
10/11 常念岳の登り。背景の槍穂連峰がうっすら雪化粧しているように見えたが、実際は明るいザレのようだった。

 東の空が赤く染まり、空の様子が見えてきた。今日は晴れで槍ヶ岳、穂高岳の稜線には白い雪のようなものが見えた。私たちの前にも後にも人の列ができていた。私たちは遅いのでところどころで先を行ってもらう。明るくなってくると安曇平に雲が沈んでいるのが見えた。右手をみると先ほど見えた槍ヶ岳、穂高岳の稜線がくっきり見える。よく見ると先ほど雪に見えたのは稜線の岩であった。本当の雪は穂高岳にまだらにかかっているくらいで槍ヶ岳には雪は積もっていなかった。遠くに見える鷲羽岳や北アルプス北部の山には雪が積もっていた。

槍穂連峰
10/11 常念岳山頂近くから見た槍穂連峰。手前の影は常念岳の影。
横通岳
10/11 大天井岳から横通岳を背景に常念岳を登る。

 前常念岳への道を分けると傾斜はなだらかになり、しばらくで常念岳の山頂に着いた。常念岳は岩の罪重なりでさほど広くなく、大混雑であった。風も少しあって寒かったので蝶ヶ岳側に少し下りたところで休む。展望は最高で鷲羽岳、槍穂連峰、乗鞍、御岳、南アルプス、富士山まで見えた。しばし休んで蝶ヶ岳へ向かう。

常念岳
10/11 混雑する常念岳の山頂を辞す。
蝶ヶ岳
10/11 これから歩く蝶ヶ岳への稜線。

 常念岳からの400mの下りはけっこう急で大きな岩の上を歩く。段差も大きく歩きにくい。千紘さんがだんだん遅れ始める。思いのほか進まないのでこのまま蝶ヶ岳まで縦走するかどうか迷う。いくら遅くなっても今日中に下山できるとは思うが、今日中に東京まで帰るとなるとあんまり遅くに下山するのは避けたい。でも家に着くのが遅くなるのは千葉に住んでいる私だけだし、計画書は蝶ヶ岳まで縦走になっているし、私のせっかちな性分が原因なのだろうと思い、そのまま蝶ヶ岳への縦走を続けることにした。

常念岳
10/11 常念岳の下り。岩場の下りが続く。
常念岳
10/11 2512m峰付近から常念岳を振り返る。400mの標高差が大きい。

 常念岳の下りはコルに近づくとだいぶなだらかになってくる。千紘さんの足取りも軽くなってきたので安心した。下りきったあたりで体温調整。日が昇ってきて温かくなる。私は2枚まで減らしたらまだ寒かった。2512m峰に登り返して来た道を振り返ると常念岳が高い。400mの下りが大きかったのが分かる。2512m峰から下ると樹林帯に入る。クロマメの木らしい木があり、実を食べてみると中がシャーベット状になっていた。ところどころ霜柱があったり、ナナカマドに霜が降りていたりして山はもう秋すぎて冬に入り始めているのが分かった。

池
10/11 2592m峰と蝶槍の鞍部にある池。凍っていた。
槍穂連峰
10/11 蝶ヶ岳三角点にて槍穂連峰を背景に。

 2592m峰に登り返して一本。展望があり、向かいに蝶槍と蝶ヶ岳が見えた。2592m峰から下るとコルに池があり、池の水が凍っていた。蝶槍へ樹林帯を登り返し、樹林帯を抜けるとハイマツ帯の登り。登りきると蝶槍であった。前に登ったときはもっと苦労した覚えがあるのだが、今回はゆっくりペースなのと気温が低く歩きやすいのがよいのかもしれない。

 なだらかな蝶ヶ岳の稜線を歩き、だだっ広い蝶ヶ岳三角点付近で休む。向かいの穂高岳は前穂に雲がかかり始めたが他は展望が利く。槍から穂高への稜線はくっきりだ。山麓は赤っぽい茶色に覆われ秋らしい景色だった。しかし稜線は少々寒かった。

蝶ヶ岳
10/11 蝶ヶ岳三角点から蝶ヶ岳ヒュッテへ至るなだらかな稜線。
ナナカマド
10/11 三股への下り。ナナカマドが黄色く色づく。

 蝶ヶ岳三角点から少し下って横尾への道を分ける。横尾から登ってくる人もいた。二重山稜を登り、蝶ヶ岳ヒュッテに到着。携帯電話が通じるとのことなのでここで三股までタクシーを呼んでおく。ヒュッテを通り過ぎるとハイマツに入ったり出たり激しく動いているホシガラスがいた。槍穂連峰に別れを告げて三股へ下る。三股へ下り始めるとガスの中に入る。しばらく下ると樹林帯に入り、急なジグザグ道を下る。トラバース道になって蝶沢の源頭を渡り、またひと下りすると標高2000m付近から平らになってくる。看板がないが、このあたりがまめうち平だろうと判断してひと休み。

 思ったより時間がかかっているので10分だけ休み、三股へ下る。しばらくなだらかな道を行くとまめうち平の看板のあるところに出た。まめうち平からはまた急な下り道で松林を下る。さらに下ると黄色く色づいたナナカマドの下を過ぎた。単調な下りなのでしりとりをしながら下った。力水でのどを潤し、烏川本沢を橋で渡って本沢左岸の道を下る。やがて三股についた。軽くトイレをすまし、車の入れる駐車場まで下る。駐車場でもっとも山側に停まっていたタクシーに声をかけると、ちょうど私たちが呼んだタクシーであった。時刻も14:30と予約した時刻にぴったりであった。

 タクシーに乗って豊科駅へ向かう。三股の駐車場にあふれた自家用車がずっと道沿いに続いており、運転手さんによると天候がよくなかったお盆よりも台数が多いとのことだった。安曇平はあちこちに雲が浮かんでおり、常念岳は雲の中で見えなかった。豊科駅まで約30分、5700円。豊科駅に着くと南小谷発の特急あずさ26号が30分後の発車だったのでこれに乗って帰京した。この日上りの特急は指定席がとれなかったので、豊科から自由席に座ることができ楽であった。

おわりに

 久しぶりの北アルプスの縦走、それも槍から穂高への好展望が得られる常念山脈を歩けてよかった。時期も前回の夏ではなく、秋に行ったので紅葉のはじめもみられ、雪も降り、違った山の表情を見られてよかった。

 水場は無料で得られるのは常念岳では一ノ沢の最終水場、蝶ヶ岳では蝶沢の源頭であり、小屋では有料である。常念小屋について宿泊者は宿泊料金に含まれているが、夜は19時まで、朝は水が得られないので注意。常念岳〜蝶ヶ岳間には水はない。

 今回登った10月には雪が降るので、防寒着は入念に準備した方がよいだろう。一方で紅葉は中途であり、紅葉真っ盛りを狙うなら2週間ほど遅く登った方がよさそうだった。

(2009年10月12日記す)


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