山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2009年山行一覧>北アルプス・西穂高岳
4日目 |
2009年5月5日(火・祝) くもりのち雨 |
岳沢…天狗沢…間天のコル…間ノ岳…西穂高岳…西穂高沢…岳沢…小梨平(泊)
岳沢 | 3:40起床 |
5:50 | |
間天のコル | 7:52 |
8:25 | |
間ノ岳 | 8:55 |
西穂高岳 | 9:39 |
9:47 | |
岳沢 | 11:00 |
11:52 | |
岳沢登山口 | 12:43 |
13:00 | |
小梨平 | 13:30 |
22:00就寝 |
この日は天候の悪化を見越して奥穂南稜の予定を変更して西穂高岳の往復。天狗沢をつめて間天のコルへ達し、間ノ岳を越えて西穂高岳から西穂高沢を下って岳沢に戻ってくる。
テントを出ると意外なことに天気は晴れ。昨日見えなかった焼岳も見える。でもいまさら計画は変更できないので西穂高岳に登る。西穂高岳は私は初めてだ。岳沢の小屋跡をトラバースし、天狗沢に出る。途中、コブ沢へ向かっていくパーティーが2名。コブ尾根か畳岩尾根を登るのだろうか。この日私は顔が汚れてきたからか角膜上皮剥離が再発し、目を開けたり閉じたりしながらの登攀となった。目を動かすと目が痛く、特に上方を見ると痛い。うつむきながら天狗沢を登る。
雪渓をつめ上がるには落石、落雪、シュルンドへの落ち込みなど注意すべきことはあるが、概して難しいところはなくただ黙々と登る。富士山のつづら折りの道にも似たつらさがある。途中で日が射してきたのでサングラスを出し、日焼け止めを塗った。
5/5 天狗沢の雪渓を登る。 |
5/5 天狗沢左俣を登りきったところ。明神岳がくもり出した。 |
2時間かけて間天のコル近く、天狗沢左俣と間ノ沢の間の尾根に出る。そこでしばらくHさんを待つ。振り返れば明神岳主峰が雲に隠れていた。にわかに風が吹いてきて天気は悪くなりそうだ。
少し天狗ノ頭側に登り、トラバースして間天のコルへ出る。そこから間ノ岳へ登る。飛騨側の踏み跡をたどり稜線に出ると岳沢側からの風が強い。雪の稜線を歩くと風にあおられて怖い。間ノ岳は狭いピークで看板などはなく、岩にペンキで間ノ岳と書かれているだけであった。トップを歩くKさんは気づかずに通り過ぎてしまったらしい。西穂高岳はまだけっこう先だ。
5/5 間天ノコルにて間ノ岳側を眺める。 |
5/5 岩稜の間ノ岳を通過。 |
間ノ岳からの下りは急であった。ガレ場みたいなところを落石しないように下り、コルに下り立つ。西穂高岳への登りは途中雪が融けて大きな段差になってるところをのぞいてそんなに難しくない。小さな下りののち雪の西穂高岳に到着。狭い山頂に西穂高岳の標柱が立っている。寒いので飛騨側に避難する。天気はだんだんと悪くなっており、東西南北、霞沢岳も笠が岳も焼岳も奥穂も黒い雲に覆われている。後ろを歩いてきたHさん、Kさんと合流して少し写真を撮って下る。
5/5 間ノ岳の下り。岩が不安定で下りにくい。 |
5/5 西穂高岳へ向かう。 |
途中で西穂山荘側から登ってきたパーティーとすれ違い、西穂高沢を下る。昨日の奥明神沢と同様でただ下るだけ、あまり面白くない。沢に入ると風はなく、暑かった。ときどきズボズボと落ち込みふらつきながら下る。一気に1,000mほど下り、沢の出口に出たらトラバースしながら登り、岳沢のテントに戻った。さきほどまでいた西穂高岳の山頂ははるか高い稜線になりギザギザしているのでもうどれだか分からない。
テントをたたんで上高地へ下る。硬い雪もないのでアイゼンを外して岳沢沿いの雪渓を下る。あちこちにテントが張られており、滑落停止の訓練をしているパーティーもいた。やがて雪が少なくなり、夏道に上がる。夏道を下って上高地の治山運搬路に到着。もうここは観光客の支配する観光地、上高地だ。全員揃うのを待ち、このあとを相談する。まだ正午すぎなので東京に帰ろうと思えば帰れるが、特に急ぐこともないということで小梨平に一泊して帰る。
5/5 西穂高岳山頂に到着。 |
5/5 西穂高沢を下り、岳沢に戻る。 |
河童橋を渡り、小梨平へ。小梨平にはサルが群れをなしてうろうろしており、Kさんが一喝すると山へ逃げていった。が、テントを張ってからKさんがサルのフンを踏んでいたことが判明し、仕返しされたと怒っていた。実際、テント場はサルのフンの臭いがプンプンしていた。テントを張って各自持ち物を干し、明日のタクシーを予約するHさん、Kさん、飯の支度をするKさんと私に分かれた。日が沈んでから雨が降り始め、夜の間は降ったりやんだりだった。
5日目 |
2009年5月6日(水・祝) くもりときどき雨 |
小梨平…上高地バスターミナル=沢渡=松本
小梨平 | 4:00起床 |
6:10 | |
上高地バスターミナル | 6:20 |
6:50 |
朝起きて棒ラーメンを食べ、テントをたたむ。人のいない河童橋の横を通り、バスターミナルへ。予約したタクシーに乗り、途中、沢渡で下車、7時から30分間温泉に入り、松本へ下った。タクシーは用事があるのかえらくスピードを出しており、急発進、急ブレーキに横Gがかかったりジェットコースターさながらの運転であった。以前この道で車酔いした私は酔わないように寝ようと努力していた。
松本からは普通列車に乗って帰京。
明神岳東稜、前穂北尾根、西穂高岳と充実した登山を楽しめた。天気もおおむね安定し、寒くもなく快適であった。
明神岳東稜は思っていたほど難しくなく、3つのうちはじめに登るのにちょうどよかった。前穂北尾根は一度登ってみたい山と思っていたが、思ったより厳しかった。風が吹いているか小雨が降っていたら登れなかっただろう。西穂高岳は初めての山であった。奥穂〜西穂の稜線は一般ルートとして難易度の高いところと聞いていたが、ザイルを出すようなところはなく、疲れてきた4日目にはよかった。
5日間山へ行けて満足である。
(2009年5月16日記す)