山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2009年山行一覧>北アルプス・前穂高岳北尾根
3日目 |
2009年5月4日(月・祝) くもり |
涸沢…前穂高岳北尾根5・6のコル…前穂高岳…奥明神沢…岳沢(泊)
涸沢 | 3:15起床 |
5:38 | |
5・6のコル | 6:44 |
6:56 | |
3・4のコル | 8:36 |
10:10 | |
前穂高岳 | 14:05 |
14:25 | |
岳沢 | 15:35 |
20:00就寝 |
3:15起床。この日は前穂北尾根を越えて岳沢に下る。まわりは3時頃からゴソゴソと動き始めていた。一般ルートで奥穂へ登る人だけでなく、前穂北尾根、北穂東尾根などを登る人もいるのだろう。
もたもた私が遅れて出発。前穂北尾根5・6のコルへ向かう。涸沢の標高2,309m、前穂高岳の山頂3,090mに対して5・6のコルは標高2,720mと高い。涸沢から前穂高岳のほぼ中間の高さにある。もっと下から登る人もいるが、登攀に時間がかかることから5・6のコルから登る人が多い。
涸沢から歩き始めると長野県警の人たちが前穂北尾根へ向かう人を見張っているようで先頭のKさんからそれぞれ声をかけられていた。私は「先ほどの4人パーティーの方ですか」と聞かれ、「私で最後です」と返事して先を急いだ。
5/3 涸沢のテント村。奥は奥穂から北穂南峰へ至る稜線。 |
5/3 前穂北尾根のスカイライン。(マウスを重ねるとルートが表示されます) |
北尾根に向かう斜面の途中で雪面の歩き方を練習しているパーティーを横目に登る。10本ほど固まって木の生えたところを左に回り込むと5・6のコルが見えた。先頭を歩くKさんやその先にもパーティーが登っている。5・6のコルへ近づいてくると5峰へ登っているパーティーも見える。今日も人は多そうだ。振り返ると6峰の尾根に隠れて涸沢が見えない。
5・6のコルで登攀具を身につける。3峰の登りが核心部なので日本登山体系P.145には五峰、四峰は問題なく
とあるのだが、これが意外と高度感があって怖い。ナイフリッジにピッケルをさしながら登る。5峰の山頂は雪が積もっていてなだらかな稜線であった。5峰の先に4峰が大きい。まだ正面の4峰を越えないと核心部の3峰にも達せないのかと思うととても長く感じる。
5/4 5・6のコルへ登る。 |
5/4 5・6のコルから5峰を見る。 |
4峰と5峰のコルでKさんとザイルを結びコンテで登る。4峰の登りはしばらく雪面を登るので容易だ。途中で岩にぶつかるので奥又白側にトラバースして登る。セルフビレイをとって先を行く4人パーティーが登るのを待つ。Kさんがリードし、私がビレイ。Kさんに続いてKさん、Hさんがスライドで登り、私が最後。登る間単独行氏が追いついてきたのでしばらく待ってもらう。岩場を奥又白側のトラバースした後、雪の斜面を直上。計2ピッチ。エイト環のかけ方が甘かったのか2ピッチ目を登る途中でエイト環を落としてしまった。昨日はヘッドランプ、今日はエイト環と毎日何かを落としている。残念だし、必要なものだから山行の今後が不安だ。
4峰を越えて奥又白側からトレースをたどり3・4のコルに下り立つ。3・4のコルにはテントが1張と登攀中のパーティーが2パーティー、下で次の登攀を待つパーティーが1パーティー。しばらくここで先行パーティーが登るのを待たせてもらう。
5/4 5峰から4峰を見る。こんなに大きな4峰を越えないと核心部の3峰にはたどりつけない。 |
5/4 3峰の登り。たくさんパーティーが取り付いている。(マウスを重ねるとルートが表示されます) |
待つこと1時間半後、先行パーティーがはけて私たちの出番。意外にも私たちが取り付くまで他のパーティーは追いついてこず、私たちが取り付く頃に1パーティーやってきた。一方で3峰の上から懸垂下降をくり返して下ってくる単独行の人がいて、その人は3・4のコルに下ると幕営していた2人組と一緒にテントをたたんで奥又白谷へ下っていった。奥又白池へ行って継続登攀するのだろうか。
そして核心部の3峰を登る。全部で4ピッチ。
5/4 3峰3ピッチ目。凹角を登る。 |
5/4 3峰の頂上から2峰の登りを眺める。傾斜は比較的緩やか。 |
3峰の山頂は割に平坦でそのまま2峰の基部になっており、下りはない。露岩にピンがあるのでそこで確保して先行パーティーが登るのを待つ。先行パーティーにぴったりくっついてKさんが2峰へザイルを伸ばす。2峰は緩く左へ曲がっており、3峰ほど傾斜もないので難しくない。
2峰の頂上で全員が揃うのを待ち、前穂高岳本峰に登る。岩のリッジを進み、コルへは奥又白側の雪面をバックステップで下降する。岩に捨て縄がたくさんついていたので夏はここで懸垂下降するのかもしれない。コルから涸沢側の雪面を登り、前穂高岳に達した。
5/4 2峰から前穂高岳を眺める。あともうちょっと。 |
5/4 前穂高岳山頂。上高地を背景に休む。 |
昨日も明神岳東稜から登った前穂高岳だが、前穂高岳に登れたというよりはなんとか北尾根を登れたという思いだ。奥明神沢よりで一休み。天気はくもりで景色はいまいちだが、風にも吹かれず、日焼けもせず5月の山としては最もよい条件だったと思う。天気はくもりながら槍ヶ岳から大天井岳、常念岳から緑色の蝶が岳まで見えた。南側も上高地と焼岳まで見えたが、乗鞍岳は半分雲の中だった。
奥明神沢を下る。けっこう急だが、正午を過ぎて雪が軟らかくなっておりぐしゃぐしゃ沈みながら下る。少々下りにくい。明神岳へのルートを分けるとザイルを出してバックステップで下る人たちがいた。その横を通り過ぎる。その先で奥明神沢は右に曲がり下っていく。Hさんがザックを転がし、空身で下っていたが途中でザックを開けて酒がこぼれていないか確認していた。歩きにくい斜面ではあったが、前穂高岳から岳沢まで1時間で下れたので夏のコースタイムの3時間に比べれば十分速い。
5/4 奥明神沢を下る。Hさんはザックを転がしていた。 |
5/4 岳沢に幕営。 |
沢が開けて岳沢に到着。翌日は予定では奥穂南稜だが、天気は明日から崩れてくるとのこと。一応、南稜の取り付きを見てから下り、岳沢の小屋跡付近に幕営。管理人はおらず、水もなく、いつも通り雪を融かして水を作った。岳沢は雪に覆われており、沢に沿ってあちこちにテントが張ってあった。昨日の明神岳東稜から前穂、奥穂の縦走、今日の涸沢から前穂北尾根の登攀とみんな疲れてしまい、明日の天気もいまいちなので明日は西穂高岳を往復することにして就寝。