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2008年夏 - 丹沢・谷太郎川鳥屋待沢


2008年6月15日(日)
場所
神奈川県愛甲郡清川村・厚木市/丹沢
コース
小田急本厚木駅=(神奈川中央バス)=煤ガ谷バス停…鳥屋待沢遡行…鳥屋待沢左俣…大山三峰山…不動尻…広沢寺温泉バス停=(神奈川中央バス)=小田急本厚木駅
参加者
L. 栗山、辛島、中山
天気
くもり
参考文献
08丹沢・谷太郎川鳥屋待沢の地図

はじめに

 5月のブランクもあったが、今シーズンも水無川本谷足尾松木沢と軌道に乗ってきた。そして今週は大学の後輩と鳥屋待沢。場所は後輩に決めてもらった。はじめは同じ丹沢の寄沢という話だったが、鳥屋待沢になった。まあ沢に行ければどこでもよいのだ。

 鳥屋待沢は相模川流域谷太郎川にある大山三峰山に突き上げる沢。丹沢でも東京に近い位置にあり、バスも本厚木からである。1000m足らずの山にしてはそれなりのゴルジュがあり、楽しめる。私も一度行ったことがあり、楽しかった思い出がある。一方でヒルにかまれた思い出もあり、その点はあまり嬉しくなかった。結果としてはヒルにかまれず楽しい山行になった。

日帰り

2008年6月15日(日) くもり

小田急本厚木駅=(神奈川中央バス)=煤ガ谷バス停…鳥屋待沢遡行…鳥屋待沢左俣…大山三峰山…不動尻…広沢寺温泉バス停=(神奈川中央バス)=小田急本厚木駅

コースタイム
煤ヶ谷バス停8:25
鳥屋待沢堰上8:50
9:15
F3-10m大滝9:55
10:30
二俣11:30
11:45
大山三峰山13:10
13:45
煤ヶ谷バス停14:30
広沢寺温泉15:15
16:15

 朝、小田急本厚木駅集合。7:09に到着し、宮ガ瀬方面のバスを探すが、7:50なのでしばらく近くの公園でぼけっとして過ごす。7:50発のバスには他に中年の3人組が乗っていた。煤ヶ谷バス停で下車し、入渓点へ。谷太郎川沿いの道を行き、鳥屋待沢の橋から入渓する。大きな堰を左から越え、広い川原で入渓準備。入渓準備をしている間に辛島の手にヒルがくっついており、さい先悪いスタートになる。それを見てジャージの裾を沢タビの中に入れ、少しでもヒルが入らないように工夫する。

 はじめは平凡な川原を歩く。難しくはない。が、何の変哲もないところで足を滑らせ、左ヒザを思いっきり打ってしまった。しばらく動けないくらいでつらい。それでも登れないほどではなかったし、痛みは長く続かなかったので続けて歩く。

鳥屋待沢の堰の上の河原
6/15 鳥屋待沢の堰の上の河原で準備して出発。
F3-10m大滝
6/15 F3-10m大滝全景。

 F1-5mを難なく越えると右から沢が入る。すぐ左に曲がり、真ん中に木の生えたF2-3段7mを越える。沢が右に曲がるとF3-10m大滝前回はぬめっていたし、5月上旬で寒いので巻いた滝である。でも今回は暖かいし、すぐに決めつけずようすをみる。私は左からの登攀を主張、栗山は右からの登攀を主張、辛島は巻きを主張した。私は右からは途中のハングをかわすのが難しそうだ、左なら取り付いてみると細かいスタンスもあり下部は登れる、上部はよく見えないが左に逃げることもできると主張し、栗山リードで左から登ることになった。

F3-10m大滝下部
6/15 F3-10m大滝下部を登る栗山。
F3-10m大滝上部
6/15 F3-10m大滝上部を登る辛島。

 特に残置ピンもないので栗山がフリーで登り、ザイルを垂らしてもらう。一見つるつるに見える左壁下部だが、一枚岩にくっついている礫がスタンスに使え意外に簡単に登れる。中間で左の草付きに登り、水流から離れてややかぶり気味の岩をガバホールドに頼って乗り越す。栗山は下部では苦戦せず、上部のかぶり気味の岩で苦戦していた。セカンドに辛島。巻こうとしていたので「ザイル付ければ登れるだろ」と登らせる。途中にいたヘビと最後のかぶり気味の岩で少しとまどっていたが問題なく登った。最後に私。ザイルを付けたら気楽に登れた。途中で悠々と小さなヘビの写真を撮り、上まで登る。

ヘビ
6/15 F3-10m大滝中段にいた小さなヘビ。
樋状
6/15 樋状の流れ。

 F3大滝のあとは樋状に流れが狭いところが多くなる。途中岩のはさまったところは残置シュリンゲを使ってA0で越える。その先も樋状が続くので広げる股が痛い。沢が右に曲がるところは手前が深めの淵で、先がよく見えず右から放水するように滝が見える。でも滝は低そうなので淵さえ越えられれば登れそうだ。栗山が右から淵に近づき、腰くらいまで濡らしながら右手の階段状のスタンスに登る。そこから大股開いて左に足をかけ、両手両足を突っ張って滝の下まで行った。滝は左の小さなルンゼから越えていた。辛島も挑戦するが右手階段状スタンスに登れず右から巻くことにする。私は栗山同様水線に沿って登る。滝は小さなルンゼではなく水流のすぐ脇を登れた。

樋
6/15 樋を突っ張りで越える栗山。
F4-5m
6/15 F4-5mを登る辛島。

 が、登って安心したところでまた足を踏み外し、今度は背中から淵に落ちた。全身濡れネズミになってしまう。ちょうど着ているものも上下灰色なので本当に濡れネズミだ。今度はどこかを打ったというわけではないのだが、左足をひねったのか左足を着地させるとヒザが痛い。下で打ったのと違って痛みがひかない。それも着地に気をつければ痛くはないので先を進む。

 右から枝沢が入ってくるところで「二俣?」という議論を交わすが、水量も少ないのでまだ二俣の下と考え左を行く。その先でF4-5m。「東京周辺の沢」、「丹沢の谷110ルート」とも左のカンテを登るとあるが、辛島は水流の右、シャワークライミングを強いられるところを選んで登っていった。何だかがんばりどころがよく分からないヤツだ。

 そして二俣。右俣は滝をかけて合流している。左俣は滝ではないがガレで埋まっているようで水量が少ない。いまいち確信が持てないが、二俣と仮定して一本とる。左俣の先を見に行くが、樋状の滝に阻まれ先を進めない。関東周辺の沢によれば右俣2級、左俣1級上。もっとも登攀がつらそうな辛島に聞いて左俣を進むことにする。さっきずぶ濡れになってしまったので休むと寒い。

 樋状滝を登る。できるだけ水線沿いに行こうとするとけっこう怖い。辛島は右手のガレ場から登っていた。樋状滝を越えると鳥屋待沢左俣名物の一枚岩。右岸側にコンクリートを打設したかのような美しい壁が沢沿いに続いている。自然の造形とはすごいものだ。でもトップの辛島はあまり気にもとめず先を進んでいた。

一枚岩
6/15 鳥屋待沢左俣名物の一枚岩。
F5-10mスラブ状滝
6/15 F5-10mスラブ状滝を登る栗山。

 一枚岩を過ぎるとF5-10mスラブ状滝。真っ黒な岩で一見すると登れなさそうである。確か前回はここの滝に水流がなくぬめっており、ここから遡行を諦め三峰山東尾根を登ったのだった。今回は水流があり、ぬめりもない。気がつけば辛島が勝手に登っている。ザイル持っていないのに。意外と簡単に登ってしまった。栗山と私も追いかけて登る。下部は見かけほど悪くなく登れる。中間テラスには残置ピンがあった。上部は水流沿いと水流左が選べるが、水流沿いを選んだ栗山は苦戦し、シュリンゲに頼って登った。

樋状
6/15 沢が樋状になってくる。
F6-5mハングの滝
6/15 F6-5mハングの滝。右から巻き。

 このあとは沢が樋状になり、小滝を登っていく。手足を突っ張ったりして面白いが、若干疲れてくる。樋状の沢を抜けるとゴーロになり、また沢が狭くなるとF6-5mハングの滝。右から登れそうだが、岩がもろいので右から高巻く。

F8-12mハングの滝
6/15 F8-12mハングの滝。右から巻き。
涸れ沢
6/15 最後につめる涸れ沢。

 次はF8-12mハングの滝。栗山が登れるとか言うが、面倒なので右から巻く。巻き道がなく、不安定である。巻き終わると水涸れ。最後に三俣状になったところを左俣に入る。はじめは谷を登ろうとしたが崩れるので右の小尾根に登る。小尾根も急傾斜の上、崩れやすいので木に頼りながら登る。やがて登山道の稜線が見えてきて登山者も見えたが、崩れやすくてなかなかルートがとれない。やや巻くようにして登山道に合流する。ちょうど鞍部になったところは両側すっぱり切れ落ちていて崩壊していく丹沢らしい。

ツメ
6/15 小尾根から縦走路へつめる。
大山三峰山
6/15 大山三峰山山頂。

 登山道に出て右へ登る。5分ほどで大山三峰山山頂。山頂には誰もおらず、ベンチの上で店を広げてゆっくり休む。40分ほど休んでいたにもかかわらず、誰も山頂に来なかった。さて、ヒルは入っているかしらと沢タビを脱ぐが、誰もヒルが入っていない。ジャージの裾を沢タビに入れたのが功を奏したのだろうか。というわけで今回は誰もヒルに喰われなかった。

 ゆっくり休んでから広沢寺温泉に下る。煤ヶ谷の方が近いのだが、私が途中で落っこちてずぶ濡れになったので温泉入浴を主張したため。下り道は登山道ながらところどころ鎖までしつらえられるような険しい道。打ち身の左ヒザにはつらい。私が一番遅いので先頭を歩かせてもらう。やがて尾根から外れて不動尻へ。不動尻への下りも急でヒザによろしくない。ところどころ滑りやすいところもある。つらいな、車道歩きの方がましだなとか思いながら歩くこと山頂から45分、不動尻到着。

 あとは車道を40分ほど歩き、広沢寺温泉に着いた。なにやら古びた温泉宿で入浴料は1,000円と若干高い。強アルカリの湯はシャワーを浴びても石けんが落ちないような感覚に陥った。湯は硫黄の香りがするのだが、山の中ではまったく硫黄の香りをかがなかった。どこに源泉があるのだろうか。

 帰りはバスが19時までないと勘違いし、タクシーで本厚木まで。3,320円。広沢寺温泉の目の前(広沢寺温泉バス停)から発車するバスは次が19時台だったのだが、15分歩いたところにある広沢寺温泉入口というバス停からは16時台に2本発車しているようだった。まあせっかく汗を流したところなのでタクシーでもよかった。あとは小田急に乗って新宿でカラビナを買い足し、家に帰った。

おわりに

 前回は左俣に入ったものの、F5-10mスラブ状滝が登れずすぐ稜線に逃げてしまったので沢伝いに登れたのはよかった。前回に比べて水量も多く、ぬめっているところも少なかったように感じる。前回ぬめっていた大滝も登ることができてよかった。ヒルにもかまれず快適な山行であった。

 課題としては2回も大コケして足を痛めたこと。いつまでたっても沢、というか河原の歩きは上達しない。すべらないところを選ぶのが下手なのと、バランスをとるのが下手なんだと思うが、難しい。

(2008年6月15日記す)


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