山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2008年山行一覧>奥秩父・甲武信ヶ岳[2/2]
2日目 |
2008年11月22日(土) 晴れ |
甲武信小屋…甲武信ヶ岳…三宝山…十文字峠…三国峠…梓山=信濃川上
甲武信小屋 | 4:45起床 |
6:31 | |
甲武信ヶ岳 | 6:50 |
6:56 | |
三宝山 | 7:27 |
7:35 | |
尻岩 | 8:00 |
8:03 | |
2288m峰 | 8:19 |
8:30 | |
武信白岩山 | 8:40 |
大山 | 9:10 |
十文字小屋 | 9:34 |
9:56 | |
十文字山 | 10:12 |
1922mのぞき岩 | 10:30 |
1879m弁慶岩 | 10:58 |
1850m峰 | 11:10 |
11:25 | |
梓白岩 | 11:32 |
1849.8m 三角点峰悪石 | 12:11 |
12:15 | |
三国峠 | 12:34 |
12:45 | |
1550m水場 | 13:20 |
13:27 | |
梓山バス停 | 14:35 |
夜は予想通り寒かった。風はなかったものの、ただ寒かった。何度か夜中起きたが、最初に起きたのがまだ19時だったのには驚いた。起きては身震いし、体が暖まってからまた寝るをくり返した。寒くて気道が狭まり何度かセキも出た。
4:45起床。まだ暗いが寒いので起きる。隣では大学生らしき3人が既に起きてご飯を作っているようだった。私もラーメンを作り、テルモスの紅茶を作る。朝から紅茶をこぼし気落ちする。ぞうきん代わりのタオルがびしょ濡れである。6時過ぎにツェルトをたたみ、パッキング。出発時に屋外の温度計を見ると氷点下10℃であった。
11/22 霜が降りた日本百名山甲武信岳の標。 |
11/22 千曲川源流を俯瞰(マウスオーバーで前日の風景)。 |
甲武信小屋を出て甲武信ヶ岳へ向かう。稜線の南側は一晩の間に霜が降り、すっかり冬に模様替えしていた。夜中に南側から寒気が吹き付けたらしく、木々が白く彩られている。甲武信ヶ岳山頂の日本百名山甲武信岳の標も霜が降りたように凍り付いている。天気はよく、富士山、北岳、甲斐駒、国師ガ岳、金峰山が見えた。八ヶ岳は雲の下で見えなかった。
11/22 これから行く三宝山(マウスオーバーで前日の風景)。 |
11/22 富士山遠望。 |
ここから今回の目的である県境縦走を行う。目的地は三国峠だが、まずは目の前の三宝山を目指す。甲武信ヶ岳には三宝山へ先行した大学生らしき3人のザックが置いてあった。甲武信ヶ岳から下る。秩父側から朝日を受けた木々がまだらに輝く。そして信濃側から風が吹き付けくすんだ霧が移動していく。幻想的な情景に気をとられるが、寒い。指をもみながら歩く。
11/22 甲武信ヶ岳から三宝山へ向かう。信濃側から風が冷たい。 |
11/22 三宝山山頂付近の立ち枯れ。 |
下りきって甲武信小屋からの巻き道と合わさる。柳小屋から真の沢林道が伸びているはずだが、分岐は見当たらなかった。一つ山を越えると緩やかに稜線は下って行き、稜線も平らになる。三宝山へ登り返す。はじめは急だが、登るにつれ平らになってくる。山頂近くには枯れて枝葉を落とした白い木々が並んでおり、霜でなお白い。平らで立ち枯れの木があるようすは奥日光の念仏平を思い起こさせる。
三宝山の山頂は広いが、展望はない。写真を何枚か撮ろうと思ったが、カメラの電池が赤表示になり、もう撮れなくなりそうなので1枚だけ写真を撮る。今日は梓山14:35のバスに乗りたいのでテルモスの紅茶を飲み、速く出発する。
11/22 三宝山山頂。広いが、展望はない。 |
11/22 三宝山から尻岩への下り。 |
三宝山から武信白岩山との鞍部の尻岩までは標高差310mの長い下りである。苔で覆われたシラビソの林を下る。木が霜で覆われているのは三宝山までで三宝山から先に霜はほとんど見あたらない。尻岩は名前の通り、大きな岩があり真ん中に縦に溝が走っている。気温が上がってきたので体温調整に着ているものを脱ぐ。
11/22 尻岩。 |
11/22 武信白岩山。信濃側から巻く。 |
武信白岩山へ急な道を登る。武信白岩山には本峰と別に南北に1つずつピークがある。最初の2288m峰が武信白岩山かと思っており、信濃側を巻いて北側の方に出たところで一本。次の一本を歩き出して前方に白い岩峰を認め、そっちが武信白岩山ということに気づいた。武信白岩山への道はところどころ岩があり、少々道が分かりにくい。武信白岩山の山頂は信濃側から巻き、山頂は通らない。
11/22 大山から見た三宝山。来た道を振り返る。 |
11/22 大山から見た十文字山。これから行く道を俯瞰する。 |
大山への途中に東側の展望が開けるところがあり、入川真の沢の谷や両神山がよく見える。また大山では西側に展望が開ける。歩いてきた三宝山からこれから歩く十文字山、三国峠の電波塔までよく見える。西側には足下に川上村の盆地、そして遠くに白い八ヶ岳が屏風のように並んでいた。大山で甲武信小屋泊のおばちゃん3人パーティーを抜き、先に下る。大山の下りは岩場になっており、鎖もついているが大して難しくはない。
十文字峠へ下りつく。朝、毛木平を出てきたらしい日帰り装備の人たちとすれ違った。十文字峠には小屋があったが人は見当たらなかった。北側が広場のように開けているのでそこのベンチで一休み。日も当たり暖かい。大山で追い抜いたおばちゃん3人パーティーもすぐ追いついてきて隣のテーブルでラーメンを作っていた。
11/22 十文字小屋。甲武信小屋同様丸太作りの山小屋らしい小屋。 |
11/22 十文字山山頂。三角点と指導標と緑の回廊看板。 |
小屋からすぐ毛木平への道を分け、十文字山へ向かう。すぐ道は落ち葉に覆われ、少し分かりにくい。アルペンガイドによれば、十文字峠から甲武信ガ岳の南半分はよく歩かれているのに、北半分の十文字峠から三国峠間は不遇な一角である
、そうなので人も少ないのであろう。登りついた十文字山には三角点と指導標があり、他の山頂と設備は変わらないが、枯れ葉が多く何となく寂しい。
11/22 十文字山の下り。歩かれていないようで少し道が分かりにくい。 |
11/22 弁慶岩の桟橋。 |
十文字山から静かな道を下る。1922mのぞき岩は西側に尾根が伸びており、紛らわしいが通行止の看板があり、迷わないようになっている。下りは少し急だ。ずっと下って行くと弁慶岩1879m。木もところどころ生えており、登れるかもしれない。信濃側から巻く。岩の下には桟橋がしつけられており、歩きやすい。桟橋がなかったら岩根をぐるりと巻くので相当下まで下りそうだ。
弁慶岩を過ぎて下りにかかると登山道に単管パイプの階段を据え付けている人たちがいた。三連休にお疲れさまです。そして西側に尾根を張り出している1850m峰で一休み。ここから三国峠までは一本でたどり着けるだろう。現在11:20、梓山14:35のバスにはたどり着けるだろう。
11/22 単管パイプの階段を据え付けている人たち。 |
11/22 梓白岩も信濃側から巻く。 |
下り始めると梓白岩が見える。梓白岩は弁慶岩と違ってツルツルの岩なのでとても登れなさそうだ。ぐるりと信濃側を回る。西上州やこのあたりには赤岩尾根、大ナゲシなど岩峰が多い。梓白岩からは人が歩いていないけれど、確かに整備された道をたどる。上野村の県境の山に登山道を整備したらこんな感じになるだろうか。悪石に近づいてくると信濃側に笹も出てくるが、登山道には生えていない。
11/22 悪石への道。踏み跡は薄いが、歩きやすい。 |
11/22 悪石山頂。西の眺望がよい。 |
やがて悪石。三角点と看板とがある。西側の眺望がよい。北へ下り、電波塔の横を過ぎていったん車道に出る。車道といっても一般車通行止めで車道の新三国峠から電波塔に通じる道である。アルペンガイドの記述(二本木沢の黒谷沢橋を渡ると、三国峠の旧道が分かれるが、荒れているので遠回りではあるが車道を進む
,P.211)から察するにそのあたりが車道ができる以前の旧三国峠のようだ。しかし信濃側、秩父側とも旧道は見当たらない。完全に廃れてしまったようだ。もっとも信濃側は植林された唐松林なので歩こうと思えば歩けないこともないと思う。
11/22 信濃と秩父を結ぶ旧三国峠とおぼしきあたり。新三国峠から電波塔に通じる道が通っている。 |
11/22 車道の通じる新三国峠。ライダーさんがたくさんいた。 |
電波塔からひとつコブを越えて車道の通じる三国峠。三国峠には6, 7人のライダーと家族連れがいた。休んでいると秩父側の中津川林道からライダーが続々と登ってくる。モトクロスというのだろうかサスペンション付きのダート向けのバイクに、寒さ対策だろう厚手のジャケットを着てなんか物々しい。気がつけば15人くらいに増えていた気がする。15人くらいのライダーと汚い登山者1人の空間に家族連れはなんとなく浮いているように感じた。
あとは車道に沿って梓山に帰るだけ。登りは三国山〜赤岩峠、三国山〜大上峠の2回こなしているが、下りは初めて。アスファルトが思いのほか足にきて靴擦れしてしまった。途中つづら折りをショートカットしながら梓山にたどり着いた。
梓山のバスは14:45と思っていたが、時刻表には14:35とありバス停につくと同時にバスが来てすぐ発車した。そのあとは信濃川上で順調に乗り換え、小淵沢からホリデー快速ビューやまなし号に乗れ早く帰ることができた。
これらの2つの目的を達することができてよかった。
甲武信ヶ岳〜三国峠の県境縦走で関東外県境は神奈川県湯河原から長野県浅間山麓・峰の茶屋まで足跡がつながった。だいたい200kmくらいだろうか。もう山の区間で残っているのが群馬、栃木、茨城の北関東ばかりなのでなかなか行きにくい。
もう一つの千曲川源流についても、これで甲武信ヶ岳を囲む荒川、笛吹川と合わせて3つのルートから登ったことになり満足である。
(2008年11月24日記す)