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2008年冬 - 越後駒ヶ岳[2/2]


2008年12月26日(金)〜12月30日(火)
場所
新潟県魚沼市(旧・北魚沼郡湯之谷村)
コース
12月25日
快速ムーンライトえちご集合=長岡駅(泊)
12月26日
長岡駅=小出駅=大湯温泉…駒の湯…小倉尾根標高805m付近(泊)
12月27日
小倉尾根標高805m付近…栗ノ木沢の頭…小倉山(泊)
12月28日
小倉山(停滞)
12月29日
小倉山…百草ノ池…駒の小屋…越後駒ヶ岳…小倉山…小倉尾根標高1020m付近(泊)
12月30日
小倉尾根標高1020m付近…駒の湯…大湯温泉…浦佐駅=大宮(解散)
参加者
K、H、中山、S
天気
26日雪、27日雪、28日雪、29日くもりのち快晴、30日雪のち雨
参考文献

4日目

2008年12月29日(土) くもりのち快晴

小倉山…百草ノ池…駒の小屋…越後駒ヶ岳…小倉山…小倉尾根標高1020m付近(泊)

コースタイム
小倉尾根1350m3:30起床
6:56
小倉山7:05
百草の池8:35
8:46
1763m標高点10:06
10:50
駒の小屋11:23
11:52
駒ヶ岳12:12
12:20
駒の小屋12:30
12:48
1370m13:48
14:12
小倉山14:35
小倉尾根1020m15:55
22:15就寝

 朝は雪も風もやみ、下界の大湯温泉も見えた。山の上はガスでよく分からなかったが、これまでの3日間より天気がよいのは確かそうだ。

 テントをたたみ、駒ヶ岳へ向かう。まずは昨日も行った小倉山から。小倉山の山頂へは10分ほど。小倉山の山頂は平らで行くべき尾根がよく分からない。ガスはだいぶ晴れたが木が生えていて視界が遮られる。先を行ったKさん、Hさんの足跡もそこでいくつかに分岐していて行き先に迷ったが、右手に伸びる足跡が正解だった。晴れていても迷うのだから昨日は停滞してよかった。

小倉山
12/29 小倉山から駒ヶ岳へ向かう。駒ヶ岳はガスの中で見えない。
小倉山
12/29 小倉山からの平坦な尾根を振り返る。真ん中明るい峰が小倉山。

 小さな雪屁を乗り越えて南へ下る。行く先は500mほどガスが晴れており、東側が樹林帯、西側がハゲで稜線沿いに歩くのがよさそうだ。その先はくもっており駒ヶ岳は見えない。すぐKさん、Hさんに追いつき、空身でのラッセルを手伝う。積雪は足首からヒザ程度。稜線は木が少ないからか淡雪が溜まっていることもなく割りに早く進む。順々にラッセルをこなし、小倉山から1時間半で百草の池付近に着く。ここで一休み。百草の池は雪の下でどこだかよく分からない。

百草の池
12/29 百草の池あたりから傾斜が急になる。手前の窪地が百草の池か。
1763m標高点
12/29 1763m標高点からみる駒ヶ岳(中央)と駒の小屋のピーク(右端)。

 ここから駒の小屋へは急登である。ときどきクラストした斜面も出てくるのでキックステップで登る。経験の浅いSさんはわかんを脱いでアイゼンに履き替えていた。木もだいぶ減り、白い稜線が連なっている。ガスは晴れないままなので山と空の境があいまいである。雪屁が左右どちらに伸びているのか分からず、踏み抜きそうなので途中で後続のHさんを待った。先を歩いていくと小広い尾根に出る。おそらく1763m標高点、アルペンガイドの示す滝ハナ沢源頭ではないかと思う。もっとも雪に覆われ沢の源頭は見えない。ここで一本。

 一本とっている間に急に天気がよくなる。駒の小屋のピークが見えたのに続き、駒ヶ岳の山頂も見えた。雪の斜面が大きく立ちはだかり、地図で見る距離の割に遠く見える。幾何学的な風紋に足跡をつけながら稜線伝いに登る。駒の小屋に上がるところはかなり急な傾斜でつらかった。やがてアングル材で組まれた高さ8mほどの鉄塔が見え、丘を乗り越えると駒の小屋があった。

駒の小屋
12/29 駒の小屋と駒ヶ岳。中央の溝はオツルミズ沢源頭。
小倉山
12/29 駒の小屋から来た道を振り返る。中央が小倉山。

 時刻は11:30。明日の悪天を見込み、ザックを駒の小屋に置いた後、駒ヶ岳を空身で往復し、今日中に小倉尾根の途中まで下ることにする。空身でラッセルしたSさんがザックをとってくるのを待つ間、周りの景色を眺める。一番目につくのは東にそびえる荒沢岳。奥利根源流の稜線からも離れ、北ノ又川の対岸にひときわ高く立っている。西側の山は駒ヶ岳に遮られて見えない。北側には多くの山が見渡す限り広がっているが、私には名前が分からなかった。

 駒の小屋は小さい小屋だが、冬期は2階が解放されている。2mほど積もった雪を登り、ドアを開けて少し様子を見た。木造のきれいな小屋だ。1階のドアの上に鐘をぶら下げるフックがついていたが、鐘は取り外されていた。以前Hさんが2隊に分かれて駒ヶ岳に来たときは山頂から駒の小屋までの道が分からず、駒の小屋にいる別働隊にトランシーバーで交信し、鐘を鳴らしてもらい迎えにきてもらったそうだ。今日は気温がだいぶ高いらしく、小屋の屋根から温かい水が滴っていた。

駒ヶ岳
12/29 空身で駒ヶ岳へ登る。
越後駒ヶ岳
12/29 越後駒ヶ岳到着。

 やがてSさんがザックをとって小屋に追いついてきた。みんなザックを置いて駒ヶ岳を往復する。駒の小屋から駒ヶ岳の山頂までは標高差110mだが、目の前の斜面は300mくらいあるように見える。しかし空身で登っていることもあって大した苦労もなく越後駒ヶ岳の山頂にたどり着いた。

 天気は快晴、眺望は360度である。水無川を挟んで対岸に八海山と浦佐のH、奥には苗場山、妙高山が見える。南に中ノ岳、巻機山、谷川岳、西には荒沢岳、平ヶ岳、燧ヶ岳、至仏山、日光白根山まで見えていた。これだけの晴れにも関わらず、日本海は鉛色の雲が広がっていた。やはり明日は降るのだろう。

 山頂には雪に覆われ、それを示すものがなくただ景色を楽しんだ。西側には雪屁が発達し始めており、近づかないようにした。やることもなく10分ほどで山頂を辞す。来た道を駒の小屋へともどる。下りはらくちんだ。

三角点峰
12/29 隣のピークを見るKさんとHさん。実はこの隣のピークが三角点峰であった。
駒の小屋
12/29 駒の小屋へ戻る。

 小屋で行動食を食べながら休む。今日は天気がよくのんびり休めるため行動食の減りが速い。もっともこれまで天気が悪くあまり行動食を食べていなかったので行動食の余りもあり、問題はない。休みながら私が何気なく地図を見ていたら意外な事実が発覚した。駒ヶ岳には高いところが2カ所あり、北のピークが三角点のある一番高い2002.7mのピーク、南のピークが2000mにわずかに足りないピークである。このうち私たちが登ったのは南のピークであり、三角点ピークは踏んでいない。雪も積もっていたし、どちらが高いかはよく分からなかった。Sさんを除く3人とも駒ヶ岳には登ったことがあり、「まあ別にいいか」という感じであった。

駒ヶ岳
12/29 駒の小屋でザックを背負い、来た道を引き返す。
駒ヶ岳
12/29 小倉山へのなだらかな下り。背景は駒ヶ岳。

 駒の小屋でザックを背負い、来た道を引き返す。この日は日没まで天気はよく、行きに怖かったクラストした斜面も、帰りには雪が緩んでアイゼンを出すほどではなかった。快調に下る。私もせっかくの機会なので風が雪面に残した風紋や、枝に雪が着き白梅が咲いたように見える林の写真を撮りながら下った。

 歩いているとあまりに暑く、小倉山の手前で一休み。喉が渇くし、まるで5月の連休のようだ。テルモスのお茶もたくさん飲む。

 小倉山を過ぎて小倉尾根の下りに入る。しばらくは緩やかな尾根だがアルペンガイドの地図(残雪期ルート注意、P.158)にも示される通り、標高1270m付近が迷いやすい。まっすぐ下りると左の尾根に入ってしまう。少し行き過ぎて戻ってから東側の様子を見ると小倉尾根が見えたのでそちらを下る。

小倉山
12/29 小倉山の下り。急な割に尾根の様子が判然とせず、どこを下れば正面の小倉尾根に下れるのか分からない。
幕営
12/29 標高1020m付近で幕営。

 またさらに下ると尾根の様子が判然としない。樹林帯の斜面の一角を下っている感じだ。先も木々に視界を遮られ、どこを下れば小倉尾根に通じるのか分からない。赤テープもないのでザックを置いて少し探す。結局「東側に雪屁もある急な斜面を登った」という記憶からできるだけ東よりの斜面を下ると明らかな尾根に出た。

 道迷いの箇所も過ぎて16時が近くなり標高1020m付近で幕営。この日は雪も風もなく平和なところにテントを張ることができた。夜は駒ヶ岳の山頂を踏んだ祝いでみんな隠し球のつまみを出し、酒をよく飲んだ。外は星空であった。

5日目

2008年12月30日(月) 雪のち雨

小倉尾根標高1020m付近…駒の湯…大湯温泉…浦佐駅=大宮(解散)

コースタイム
小倉尾根1020m4:00起床
7:50
646m標高点9:00
9:15
駒の湯10:00
10:15
灰の又沢
標高340m
11:00
11:20
大湯スノーシェッド12:20
12:55
大湯温泉ユピオ13:30
15:30

 夜は暖かく、湿ったシュラフでもよく眠れた。4時に起床。外はまだ星の明かりが残っていたが、風が吹き始めていた。ラジオの知らせる通り、今日は天気が荒れるようだ。

 8時前にテントをたたんで出発するころにはにわか雪が降り始めた。今日はもう下りだけなので難しいところは特にない。登ってきた小倉尾根を下るが、雪が増えたからかこんなところを歩いたかなと思いながら下る。916m標高点までは二重山稜の尾根を下り、916m峰からは急な斜面を下る。雨が降って積雪が湿り、わかんにべっとりくっついて足取りが重い。

小倉尾根
12/30 霧の小倉尾根を下る。
小倉尾根
12/30 646m標高点の下り。雪が多く腰まで落ちることがあった。

 646m標高点で一休み。下る尾根を確認する。降っていた雪は雨に変わり体が濡れる。登りの際は迷った標高560m付近は見通しがあり迷うことはなかったが、雪が増えて腰まで落ちることが何度かあった。

 やがて左下に駒の湯が見え、道行沢にかかる吊り橋に出る。吊り橋にはまた50cmほど雪が積もっており、しかも今度は湿っていて重い。ピッケルをザックと背中の間にさし、ていねいに雪をそぎ落として橋を渡った。

 橋を渡ればもう車道。しかし行きでは大して苦労しなかった車道歩きが、下りではかなりの苦労を要した。雨で雪が湿ってしまい、ヒザほどのラッセルが続く。私たちが歩いた足跡はなく、かといって車道を登ってくる人もいない。どうやら駒の湯から入山したのは我々だけのようだ。雨はそこそこ降っており、カッパの中はぐっしょり濡れてしまっている。

吊橋
12/30 道行沢にかかる吊り橋。
雷鳥岩
12/30 駒の湯と栃尾又温泉の分岐。4日前にタクシーを降りたところ。

 途中、灰の又沢の近くと大湯スノーシェッドで遅れるSさんを待つため一休みするが寒い。大湯スノーシェッドの近くでは12時に大湯のチャイムがなるが、大湯は見えず歩は進まず嫌になる。大湯スノーシェッドを出てしばらくで除雪された栃尾又の分岐に出た。ちょうどタクシーで下ろされたところだ。

 あとは舗装された道を歩き、大湯温泉の少し離れたところにある日帰り入浴施設湯之谷村交流センターユピオに入った。年末だからか人は少なく、ゆっくり湯につかり凍った体を温めた。温泉付設の食事処でてんぷらそばを食べ、タクシーで浦佐へ出た。浦佐からは上越新幹線で帰京、大宮にて解散した。

おわりに

 北鎌尾根に続いて2回目の正月山行だったが、無事下山することができてよかった。予定通りのルートはこなすことができなかったが、5日間で1日しか晴れず、それでも駒ヶ岳へ行くことができてよかった。悪天を読んでか、我々のほかに登山者はおらず、その分自由に山を楽しむことができた。

(2008年12月31日-2009年1月2日記す)


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