山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2008年山行一覧>越後駒ヶ岳[1/2]
越後駒ヶ岳は新潟県魚沼地方に位置する標高2003mの山。中ノ岳、八海山と並び、越後三山の一峰であり、日本百名山の一つでもある。私は1度だけ登ったことがあり、8年前の2000年秋に2泊3日で八海山から中ノ岳、越後駒ヶ岳と越後三山を縦走した。そのときはあまり天候がよくなかったのと駒ヶ岳が最後の山だったのとであまり記憶にない。
今回は正月に行く場所を決める際、Hさんの提案であまり行ったことのない越後三山の周辺になった。計画では越後駒ヶ岳から中ノ岳、丹後山と縦走し、三国川十字峡に下山する予定だったが、天候が悪く越後駒ヶ岳往復だけで下山した。
越後駒ヶ岳は夏には北東側の枝折峠あるいは駒の湯から登るルートが多く紹介されている(例えばアルペンガイド 4 谷川岳と越後の山、ビッグフット)。尾根がなだらかなため積雪期も同じルートが登られている。ただ越後駒ヶ岳は年末年始に登る山としては雪が厳しいようでガイドブックには以下のように述べられている。
実際行ってみて5日間で1日しか晴れず、雪の量は多く感じた。私にとっては2年前の槍ヶ岳・北鎌尾根に続く2回目の正月山行であったが、今回は無事下山することができてよかった。
0日目 |
2008年12月25日(木) |
快速ムーンライトえちご集合=長岡駅(泊)
この日は夜行列車に乗って新潟に向かう。仕事を終えて一度家に帰った後、ザックをとってまた東京へ。始発の新宿駅へ向かう。ついてみたら出発の1時間近く前であった。コーヒーを買ったりしてのんびり出発を待つ。新宿ではKさんとSさんが集合した。Hさんは大宮で集合の予定である。快速ムーンライトえちごは全車指定席だが、帰省と重なるからかこの日はすべて指定席が売り切れていた。座席を回転し、大宮で乗ってくるHさんを待つ。
しかし、Hさんは大宮で乗ってこなかった。乗り遅れたのだろうかと思い、次の停車駅の高崎で待つが、Hさんはいなかった。0時をまわり新幹線は営業終了しているものの、快速ムーンライトえちごは高崎で急行能登に追い抜かれるので、停車した急行能登を見てもHさんはいなかった。
どうしようもないので3人でそのまま快速ムーンライトえちごに乗ったまま就寝。
1日目 |
2008年12月26日(金) 雪 |
長岡駅=小出駅=大湯温泉…駒の湯…小倉尾根標高805m付近(泊)
大湯温泉 | 8:55 |
9:00 | |
標高370m橋 | 9:49 |
10:00 | |
駒の湯 | 10:45 |
10:58 | |
646m標高点 | 13:55 |
小倉尾根675m | 14:12 |
14:30 | |
小倉尾根805m | 15:40 |
21:00就寝 |
3:39、長岡駅で下車。待合室で5:43発越後中里行きの始発列車を待つ。6:17、登山口の小出駅で下車し、Hさんを待つ。小出駅で待っていると駅内放送が入り、HさんからKさんに、遅れたので新幹線で追いかける旨が伝えられた。それまで待合室で寝て待つ。
7:53、Hさんが遅れて小出駅に到着した。大宮までの列車が遅れ、快速ムーンライトえちごに乗れなかったそうだ。結局高崎の待合室で夜を過ごし、始発の新幹線で小出へ向かったそうだ。
遅れはあったものの新幹線のおかげで大幅な遅れはなかった。タクシーで登山口の大湯へ向かうが、外は大雪。駅の待合室から少し離れたトイレに行くにも寒いくらい。タクシーを降りてすぐ歩き出せるよう、プラスティックブーツを履き、カッパを着てタクシーに乗車。待合室で着替えていたら地元のおばあちゃんに「どこ行くの?」を声をかけられ、「駒ヶ岳」と答えたら「気をつけてね」と返された。
タクシーで約30分。大湯温泉の少し先、駒の湯と栃尾又の分岐でタクシーを降りる。除雪は栃尾又まで行われているが、駒の湯は除雪されておらず通行止めの看板が立っていた。
タクシーを下車したらすぐ歩き出す。天気は雪、積雪は30cmほど。
佐梨川を右岸に渡ったところで一休み。積もった雪は新雪で足にべたつくものではなかったが、少し歩きづらい。次の一本で駒の湯。道は駒の湯の直前で駒の湯山荘へ向かうものと駒ヶ岳へ向かうものの2つに分かれるが、とりあえず駒の湯山荘へ向かう。駒の湯山荘では無人にも関わらず温泉水を車道に流しており、雪がきれいに融けていた。一番奥の駒の湯休憩舎はあいておらず、中で休むことはできなかった。Hさんによれば20年前はあいていたそうだ。山荘の前の池には温泉水が流れているのか鯉が10匹ほど泳いでいた。
12/26 駒の湯と栃尾又温泉の分岐でタクシーを降りる。 |
12/26 駒の湯。温泉が散水され雪が融けている。 |
来た道を少し戻り、駒ヶ岳の登山道に入る。雪が積もっていると道が判然としないがすぐ道行沢にかかる吊り橋に出た。吊り橋は板が一部取り外されており、幅20cmほどの板が対岸まで続いているだけだった。しかもその上に雪が20cmほど積もっており、足を踏み外しそうだ。ていねいに雪をどかしながら吊り橋を渡る。
吊り橋を渡った先も雪が積もっており、道が分からない。すこし道行沢沿いの平らなところを歩いてみるが赤布など道を示すものは見当たらない。しかたないので目の前の尾根に取り付く。取り付いた尾根は急なので雪で滑りやすい。新雪なので食い込むかどうかは分からないが、アイゼンをつけて歩く。
12/26 道行沢にかかる吊り橋を渡り、小倉尾根に取り付く。 |
12/26 標高560m付近で道探し。 |
出だしから急登を行く。標高560m付近はなだらかになっており、雪の下に沼地もあった。その先は積もった雪の重みで木々の枝が垂れ下がっており、道が分からない。折しも雪が増えてきて視界が遮られる。適当なところを強引に登るが、平坦なところに出るとまたルートが分からない。私がトップで左手の凹部を登るが、枝が張り出していて途中で「ここは道じゃないだろ」という指摘を受け、いったん戻る。
戻った後、右手の小尾根を上がるとそこは歩きやすいルートであった。ただ赤テープなどはなかった。そのあとは尾根沿いに登っていくと646m標高点。尾根は左に折れ曲がり平らな尾根になる。ヤブの少ない東側の尾根沿いを歩く。途中で一本。いったん雪はやみ、道行沢の対岸の銀ノ道の尾根が見えた。
12/26 胸ほどの高さの積雪のためラッセル。 |
12/26 標高805m付近に幕営。 |
雪の多いところではヒザが潜るような深さを登っていき、15:40、標高805mにて幕営。テントに入るころにはまた雪が降り出し、寝るころには風も雪もだいぶ強くなっていた。
2日目 |
2008年12月27日(土) 雪 |
小倉尾根標高805m付近…栗ノ木の頭…小倉山(泊)
小倉尾根805m | 3:30起床 |
6:45 | |
小倉尾根1055m | 9:30 |
9:47 | |
小倉尾根1215m | 11:56 |
12:05 | |
小倉尾根1350m | 15:00 |
20:30就寝 |
朝起きると外に50cmほど雪が積もっていた。外に置いておいた鍋がすっかり雪に覆われ、掘り出さないと出てこなかった。
テントをたたみ、今日はわかんを履いて出発。出だしから雪が降っており、風も吹いている。昨晩の雪も積もったため、ザックを置いてラッセルを行う。しばらく登ると栗ノ木の頭916m標高点から傾斜は緩やかになるが、ラッセルは続くし,天気も悪い。
12/27 ガスの中、小倉尾根を登る。 |
12/27 傾斜が急になり、ヤブの中を登る。 |
1026m標高点からはまた傾斜が急になり、稜線の左端を歩く。私がトップで歩いていると左側に張り出した小さな雪屁を壊し、驚く。それから風上側の右側を歩くようにする。途中ヤブの出たところを強引に登るが、Sさんがだいぶ苦労した。その上で一本。
12/27 小倉尾根1270m付近のコブの登り。かなり急。 |
12/27 小倉尾根1350m付近に幕営。 |
天気はずっと変わらず、標高が上がるにつれ風が強くなってくる。ガスも濃い。1270mのコブに登るところは急傾斜の上、積雪が多く、木も雪の下になっていた。Hさんが沈まないようにトップでトレースをつけてくれているのだが、私は歩き方が下手ですぐ沈んでしまい、Hさんの後ろを切り崩しながら登っていた。
1270mのコブからは一段と風も強く、雪屁に近づかないよう樹林帯を歩く。歩くのもだいぶ遅くなる。最後、木が少ないところに出てそこで幕営。先を見てきたKさんによると、すぐ上に平らなところがあるが、ガスが濃くそこから先の尾根が不詳なのでここ標高1350m付近で幕営することにしたそうだ。東側の雪だまりを削って整地し、そこに幕営した。
3日目 |
2008年12月28日(金) 雪 |
小倉山(停滞)
小倉尾根1350m | 3:30起床 |
7:30 | |
小倉山 | 7:45 |
小倉尾根1350m | 8:00 |
20:30就寝 |
夜の間にしんしんと雪が降りつづけ、60-70cmほど雪が積もってしまった。この晩、私はテント内の端に寝ていたのだが、起きると雪の重みでテントがたわみ起き上がれなかった。朝起きてHさんがすぐテント周りを除雪、スペースを確保できた。
この日も雪と風。天気は変わるようすがない。出発してすぐ小倉山山頂に着くが、ガスでまったく視界がない。小倉山からは平坦な稜線が続き、部分的に下りもあるため視界がないと道が分かりにくい。そのためこの日は標高1350mの今朝の幕営地に戻り、好天を待つことにする。
12/28 小倉山山頂。ガスで方向が分からないので戻る。 |
12/28 戻ってテントを張りコーヒーゼリーを作ったりして過ごす。 |
今朝の幕営地のすぐ隣を整地し、テントを張る。テントの中に入り、ザックの上に座って時間を過ごす。しかし天気は変わることもなく、12時過ぎ停滞を決定。
その日はテント周りの雪かきをしたり、コーヒーゼリーを作ったり、天気図を描いたりして過ごした。天気図には南北方向の等圧線が何本もあり、明らかな冬型の気圧配置であった。
夜には雪もやみ、風も弱まった。ラジオによれば明日は晴れ、あさって以降はまた天候が悪くなるそうなので明日のうちに進めるだけ進むことにする。予定では駒ヶ岳から中ノ岳、大丹後山への縦走だが、この時点で縦走は諦めていた。またラジオは北アルプス抜戸岳、西穂高岳、中央アルプス檜尾岳での遭難事故を報じており、越後だけでなく高山はどこも天気が悪いようであった。