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2006年秋 - 上越・東黒沢&ナルミズ沢


2006年9月9日(土)〜10日(日)
場所
群馬県利根郡みなかみ町(旧利根郡水上町)/上越の山
コース
9月8日
環七大原交差点で合流=(関越道)=JR上越線土合駅(泊)
9月9日
土合駅…東黒沢出合…東黒沢遡行…白毛門山東尾根最低鞍部…広河原…大石沢出合(泊)
9月10日
大石沢出合…魚留めの滝…大烏帽子岳南コル…朝日岳…笠ガ岳…白毛門山…東黒沢出合
参加者
L. 栗山(2), 澤(1), 辛島(2), 植松(2), 道場(1), 中山
天気
9日、10日ともくもり
参考文献
06上越・ナルミズ沢の地図

はじめに

 宝川ナルミズ沢は穏やかな渓相で有名な沢である。ところどころのナメが美しく、最後のツメで草原に導かれるところが印象的な平和な沢でもある。湯檜曽川東黒沢はナルミズ沢のアプローチとして使われることが多い沢である。東黒沢を使えば起点がJR上越線土合駅になるので列車利用にも優しい。そんな東黒沢であるが、ナルミズ沢に負けず劣らずナメが多い。特段、滑り台になるナメは東黒沢が圧倒的に多い。そんなわけでナルミズ沢と東黒沢に行くことになった。

 本当はこの土日は南アルプスのシレイ沢に行く予定であった。しかし、シレイ沢が工事のため入渓禁止になっていることが水曜日に判明し、急きょ代替の沢を探す必要があった。季節柄、まだ上越の沢に行けるので栗山が挙げたのがナルミズ沢であった。実は私は3年前にナルミズ沢に行ったことがあり、栗山は挙げたくなかったようだが、ナルミズ沢は前に行っていい沢だったので「また行ってもいいよ」と返事したらすぐナルミズ沢になった。今回は東黒沢もナルミズ沢もいい沢だと再確認できたが、2回目でやや飽きたという感も否めなかった。

 ナルミズ沢に行くことになって私の今回の目標が一つできた。それは東黒沢を最低鞍部に詰めることである。前回、東黒沢を最低鞍部に詰めることができず、最低鞍部より西に白毛門東尾根を詰めてしまったからだ。このときは笹ヤブ漕ぎ、300mほどの余計な登りとウツボギ沢の下降を強いられた。そのため今度こそ確実に最低鞍部に詰め上げ、前回どこで道を間違えたのかを判断しようと思った。

0日目

2007年9月8日(金)

環七大原交差点で合流=(関越道)=JR上越線土合駅(泊)

 魚野川万太郎谷のときと同様、大原交差点北の交差点を集合場所とする。代田橋駅前で飯を食べていたら集合場所に着いて3分くらいで栗山の車が来た。あまりの好機に驚く。車に乗り込んで出発。乗客は6人と多い。道場はまた一番後ろの狭い席で寝ていた。

 途中赤城高原PAあたりで運転をさせてもらう。今度は出発時にハンドブレーキを下ろすのを忘れて仮免許の澤に「オイオイ」と突っ込まれた。それでも何とか土合駅にたどり着く。土合駅にはすでに4台ほど車が停車しており、それぞれ山の準備をしているらしい。天気はあまりよくなさそうなのに。私と栗山、道場は外で寝るべく軒先に銀マットを引くが、残りの澤、植松、辛島は車で寝るらしく、荷物を分けた後は何もしていなかった。そのあと澤が栗山の車を運転してロープウェイの方に行ったり湯檜曽の方に行ったりしていたが、なかなか帰ってこなかったので心配した。特に車の持ち主の栗山が。

 夜は軒先で寝始めたが虫が多くてとても眠れず、栗山は焼酎とコーヒー牛乳でカルーアミルクもどきを作って飲んでいたがそれもあまりにまずく、眠れなかった。結局駅舎に引っ込んで虫の来ない暗いところで3人並んで寝た。

1日目

2007年9月9日(土) くもり

土合駅…東黒沢出合…東黒沢遡行…白毛門山東尾根最低鞍部…広河原…大石沢出合(泊)

コースタイム
土合駅6:00起床
6:25
東黒沢出合6:43
東黒沢二俣8:15
東黒沢1030m8:57
9:08
白毛門山東尾根最低鞍部10:11
広河原10:51
11:25
大石沢出合12:45
20:30就寝

 朝は4:30起きだったはずだが、起こしに来た植松は移動した私たちを見つけられず、そのまま6時まで寝ていた。朝は寒い。シャツにジャージの上を着ているのだが、つい腕を組んでしまう。「オイ、行くのか?寒いんだけど」と栗山に言う。ぶっちゃけた話私は登ったことのある沢なので登らずに帰っても損した気はあまりしない。そこらへんはリーダーなので栗山は「とりあえずハナゲの滝まで行く」と決断を下す。そうと決まれば東黒沢入渓点へ向かう。一通りパッキングすると車に人が詰めなくなったので私と植松が徒歩で東黒沢入渓点へ向かった。

 東黒沢入渓点ではすでに10台ほどの車が停まっており、入渓準備している人もいた。ギアを装備して入渓。とりあえず最初の堰を避けるべく巻き道を使う。堰を越えてからしばらく河原歩き。水はそこそこ冷たい。こんなに長かっただろうかと思いながら河原を歩くこと約20分。ナメの始まりを示す右への曲がり角。右へ曲がるとすぐナメがある。すぐ道場にスイッチが入り、滑り台。栗山も滑る。植松は冷たい目で見つめている。やがてハナゲの滝。中段ほどまで真ん中を登り、そこから左へ移って登る。ハナゲの滝上でなかなか面白いウォータースライダーがあり、道場も栗山も滑る。道場に至っては腹這いのウルトラマン滑りを披露する。ちょうど後続に追いつかれたので先に行ってもらう。そこからしばらくで白毛門沢出合

ハナゲの滝
9/9 ハナゲの滝。迫力がある。
白毛門沢出合
9/9 白毛門沢出合。白毛門沢は私が初めて登った上越の沢でもある。

 白毛門沢出合の先、860m付近のゴルジュで腹まで浸かる。先行パーティーがしばらく動かないので待つ。濡れたくない人たちは右から巻いていた。ゴルジュは出口が1mほどの滝でそこの通過が難しかった。私は右から手足を突っ張って突破する。澤と栗山と道場は左からいったん腰まで浸かって突破するが、道場はいっぺん落っこちた。その後の淵では腹いせかなんか道場は2度飛び込んでいた。

 先行パーティーを追い抜いて滝。ここは右からも左からも登れるが、前回右から登った私は、前回永谷君が登った左ルートを登ることにする。右よりはちょっと難しいが立ち止まるほどではない。その後河原の中にナメがあったりしながら二俣。現在地確認しておく。

ダイブする道場
9/9 ダイブする道場。
白毛門東尾根最低鞍部
9/9 白毛門東尾根最低鞍部。笹に覆われている。

 二俣から上は延々と続くナメ。滝もあるが一枚岩でできていて階段状になっている。ナメを登って行くが、なかなか尽きない。「(奥秩父東沢)釜の沢の千畳のナメがしょぼく見える」とは栗山の談。ナメが終わって赤い岩の6m滝はみんな右から登る。そんな中、道場は左側水流沿いに登ろうとする。なんだか面白そうなので私も栗山も取りつくが顔に水しぶきがあたってきて登りたくない。仕方ないのでもっと左から登ろうとするがスタンスがない。結局道場にシュリンゲを出してもらい、引っ張り上げてもらった。この滝の上部で道場が天然ウォータースライダーを発見。下が滝なので滑らせない方がいいんじゃないか、と栗山に言ったが、道場は滑ってしまった。幸い、深いバスタブ状の深みがあって道場はそこで停まったが、驚くべきは中間で飛ぶことだった。滝の下へ飛ばされないことを確認して栗山と私も挑戦する。しかし二人とも中間で飛ばなかった。飛ぶには体重を軽くするか特殊な技術を身につけなければならないらしい。ここで後続パーティーに追い抜かれる。

 ナメも終わり、1030m付近の小さい河原で一本。ここで私と栗山しか地形図を持って来ていないことが判明。怒りたくなるが怒るのは現役部員の上級生の役目と思ってあんまり言わなかった。栗山は仕方ないような感じだった。これでは現在地確認がみんなできないではないか。ここからは特に最低鞍部に突き上げるため地形図読みが重要になってくる。他人に任せていられないと気づいた。地形図とは全然関係ないが、植松が前夜眠れず、このナメの多い沢もつまらなさそうにしていた。

 出発してすぐ小さい二俣。ここは左。その次の二俣は左俣がまっすぐ入って来ているが地形図を読んで右俣へ入る。右俣へ入ると水量は一気に減り不安になる。しかし、前回来ていないことから逆に正解ルートと確信する。右俣へ入って先行パーティーに追いつく。先行パーティーの好意で先を歩かせてもらう。その後はすべて左俣に入る。要所要所に赤テープがぶら下がっており間違うことはない。だんだん笹が多くなり、水も少なくなってくる。しかし水が尽きるまでは遠い。水がわずかになって三俣に出るが、ここはすこしでも水量の多い右俣を選ぶ。登って行くとすぐ水がなくなり谷上の地形に沿って足跡がある。それをたどり、20mほど登ると最低鞍部の東、50mのあたりに出た。

 最低鞍部に何か目印があるかどうか少し下がって最低鞍部へ行くと赤布がぶらさがっていた。踏み跡らしきものもある。どうやら最後の三俣は左俣が正解だったらしい。この踏み跡に従って北へ下る。踏み跡ははっきりしないが、なんとなく人が歩いているような払い分けを選んで下る。途中で沢に下りる。はじめはほとんど水が流れていないが、下るにつれ水量が増してくる。やがて1mほどの小滝が現れるようになり、クライムダウンを多用する。ザイルはいらない。単調な下りでけっこう疲れる。途中でやはり下りの中年夫婦に合った。やはり東黒沢からナルミズ沢らしい。最近は東黒沢&ナルミズ沢の組み合わせが流行っているようだ。

 やがてウツボギ沢に出る。栗山はだいぶ疲れているようだったが、広河原までそう遠くないと主張し、広河原まで歩くことになる。植松も疲れていたようでぐったりしていた。ウツボギ沢についてから10分ほどで広河原に着く。ウツボギ沢とナルミズ沢の間に連絡路のように砂利が広がっていてテント場の跡も多い。その周囲はブッシュに囲まれていて他にテント場は見当たらなかった。ここで大休止。後続パーティーも追いつく。

 予定は広河原でテント泊だが、そうすると翌日があまりに長い(10時間くらい)ので大石沢出合まで行くことにする。

 しばらくの河原歩きのあと両岸狭まってゴルジュ。泳ぎたい栗山、道場、私の3人はここで泳ぐ。澤、辛島、植松は右から巻き。泳いだ先には滝があるのだが、左手前カンテが意外と登りにくかった。前回はもっと滝に近寄って登った気がするのだが今回はビビってできなかった。カンテで道場がスタンスに自信なく先行する栗山にシュリンゲ出してもらっていたが、私は大丈夫であった。そんな感じで苦労して登ると植松が両腕組んでうつむきながら待っていた。なんだか大人だ。その後も栗山はゴーグルをつけて平泳ぎで淵の真ん中を泳いだりしながら行く。「水が超きれい」というので私も水の中で目を開ける。青く澄んだ水だった。

 また平たいナメ滝が現れるとそこで滑り台。傾斜が弱くイマイチ滑れなかったが手で勢いをつけて下った。そこで後続パーティーに追い抜かれる。このパーティーとは東黒沢ハナゲの滝からずっと前後していた。

ナルミズ沢のゴルジュ
9/9 ナルミズ沢のゴルジュを泳ぐ栗山。
大石沢出合にかかる滝
9/9 大石沢出合にかかる滝。栗山に蹴落とされる自発的に飛び込む道場。

 大石沢出合が近づいて来て日が昇ってくる。淵と飛び込み台にいい岩を見つけるとそこでダイブ開始。道場が見事なダイブを繰り返す。奴の飛び込みはもう芸術の域に達していると行ってもよい。道場のように頭からの飛び込みを試みた澤は腹這いで飛び込んでしまい、痛い思いをしていた。さて飛び込みもあきてそろそろ行くかと思ったら澤のコンパスが見つからない。即座にゴーグルかけた道場が飛び込む。飛び込んですぐコンパスを拾って来た。探している時間は10秒足らずですぐ見つけられたらしい。すごい探索能力だ。万太郎谷では道場が落としたコンパスを青木が簡単に見つけていたので、そのお礼ができたようなものだろう。

 しばらくで大石沢出合。テント場は既に張られており、場所に困る。幸い先行パーティーが場所を空けてくれたのでテントを張ることができた。ここ大石沢出合は多くのパーティーが集中するのでテント場争いが厳しい。ここで張れないパーティーはさらに登りテント場を探すしかない。今回簡単にテントを張れた私たちは薪を集め、集めきったところで遊ぶ。ナルミズ沢は大石沢と合わさるところで滝をかけており、淵もあるので飛び込み、滑り台といろいろ遊べる。ギャラリーも多かったので飛び込むと拍手がもらえた。私の持って来たボールなんかで遊んで遊び疲れて2時間ほど昼寝する。幸い天気もよくある程度乾いた。

 16時になって気象図をとる。その間焚き火部隊が何とか火をつけようとがんばったがつけられなかった。あまりの惨状にみかねてテント場を譲ってくれたパーティーのおじさんが火をつけてくれた。しかしその火もあおぎすぎて消してしまい、再度火をつけてくれた。ポイントは火床にする太い木を一番下に置く、細かい枝をたくさん重ねる。細かい枝の下にメタ燃料などを投入し、その熱が逃げないように細かい枝を上から強く押す。火床に火が点くまであおがない。一度焚き火をあおいで消してしまったのは私なので反省点が残った。

 その後は夜遅くまで焚き火を囲んで酒を飲みかわした。道場と辛島ははやばやとテントに入っていた。

2日目

2007年9月10日(日) くもり

大石沢出合…魚留めの滝…大烏帽子岳南コル…朝日岳…笠ガ岳…白毛門山…東黒沢出合=湯テルメ谷川(入浴)=(関越道)=東工大ワンゲル部室(解散)

コースタイム
大石沢出合4:30起床
6:00
魚留めの滝6:37
二俣7:01
源頭水汲み7:45
大烏帽子岳南コル8:00
8:28
ジャンクションピーク
(JP)
9:25
9:42
笠ガ岳10:55
11:10
白毛門山11:55
12:18
白毛門山の下り13:12
13:30
東黒沢出合14:29

 朝4:30起床。今日は沢登りが2時間、縦走が6時間と昨日以上の長丁場になる。特に目的が沢登りなので帰りの縦走はものの数に数えていないが、大烏帽子岳南コルから土合駅までは谷川岳馬蹄型縦走の半分近くに相当する距離である。前回も永谷君が水涸れでバテてしまった。

 そんなわけであまり時間を無駄に費やしたくない。隣のテントが飯を作る当番なのだが、時刻に起こして水を汲んできておいた。そんな感じで6時出発。焚き火をつけてくれたパーティーも対岸のパーティーもほぼ同時に出発した。私たちが5分ほど先行したが、20分ほどで追いつかれる。大石沢出合を過ぎてからもいくつかテント場が見つかった。大石沢出合でテントが張れなくてもその先を進めば何とかなりそうだ。途中、前回永谷君と泳いだところは胸くらいの深さで徒渉することができ、少し残念であった。結局ナルミズ沢では濡れないようにすれば泳がずに遡行することができるようだった。過去に泳いだ釜を過ぎて2m滝。意外とスタンスがない。すぐ後ろにパーティーが追いついているので道場に引っ張り上げてもらう。そこから10分ほどで魚留めの滝。前に登ったときはヌメっていて登りにくかったが、今回は簡単に登れた。右から登るのだが、辛島だったか道場だったかがなかなか登れず困っていた。

深いところ
9/10 深いところ。前回は泳いだ気がする。
魚留めの滝
9/10 魚留めの滝。右から登る。

 魚留めの滝を登って振り返ると2パーティーほどが滝の下に見えた。私たちが登るのを待っているようで少し悪い気がした。魚留めの滝の下には2張りほどできる草地があった。魚留めの滝の上に赤く色づくダケカンバがあり、周囲の緑の中で目立っていた。もう9月、沢登りのシーズンも終わりを感じる。

 魚留めの滝からはところどころナメが現れる。ナメ床の好きなところを自由に歩くのは爽快である。前回スノーブリッジが残っていたS字カーブには雪のかげもなく広い河原になっていた。5mほどの傾斜の緩い滝を越えて二俣。前回同様、右俣を行く。右俣は遠回りだが、草原のツメが爽快なのだ。二俣からナメが続く。延々と続くナメに気を良くする。ただ前回気づいたことだが滑り台に適したところはなく、ただナメを歩くだけである。気がつくとすぐ後ろにいた他のパーティーはずっと後ろにいた。二俣付近で一本とっているのだろうか。

ナルミズ沢右俣のナメ
9/10 ナルミズ沢右俣のナメ。
ナルミズ沢源頭で水汲み
9/10 ナルミズ沢源頭で水汲み。

 右に枝沢を分けると小滝がいくつか現れる。そのどれもが簡単に登れるが、いくつかは深い釜を持っていた。流れは小さくなったのにギャップを感じる。左に枝沢を分けると大きなポットホールが2つ現れる。一つは長径3mほどの楕円、もう一つは3人くらい入れる長径5mほどの楕円形である。よろこんで入浴する。水は冷たいが本当に風呂桶のような形でただ入るだけでなんかホッとする。

 沢が左に曲がるあたりから傾斜は緩くなりいよいよツメの様相を呈してくる。残念ながら大烏帽子岳はガスに包まれ山頂は見えない。水が尽きるあたりのナメで水を汲む。水を汲むだけですぐ出発。

 ナルミズ沢のツメはすでに踏み跡ができており、忠実に沢筋を詰めなくても沢筋にからむように踏み跡が交差している。踏み跡を歩いた方がヤブをこがなくてよいため踏み跡に沿って歩く。やがて草原に飛び出す。草原に出たところには池塘が一つある。前に来たときには気づかなかった。天気はあいにくのガスで感動的なツメとはいかなかったが、ヤブ漕ぎなしで稜線に出られたので気持ちよかった。

 上越国境稜線は笹に覆われており、踏み跡は薄い。25,000分の1地形図には道が示されているのでもっとまともな道を予想していた栗山はがっかりしていた。この大烏帽子岳南コルから朝日岳ジャンクションピークまでの道はナルミズ沢を詰めた人が歩くだけで、沢登り以外の人はまず歩かないのだ。しかし、この稜線は朝日岳から巻機山まで続いており、いっぺん縦走してみたいと思う。

ナルミズ沢のツメ
9/10 ナルミズ沢のツメ。踏み跡がある。
烏帽子岳
9/10 上越国境稜線にて靴を履き替える。後方は烏帽子岳。

 国境稜線で沢タビを履き替えているとだんだん天気がよくなってきた。正面には大源太山、その手前に清水峠避難小屋の赤い屋根が見える。谷川岳馬蹄型縦走は朝日岳ジャンクションピークから清水峠、蓬峠、武能岳、茂倉岳まで歩いたことがないのでいつか歩いてみたい。右手の大烏帽子岳もだんだんとガスがとれて均整のとれた二等辺三角形の形が見えてきた。

 ガスが明けきるのを待たずに出発。ちょうど下からひとパーティー登ってきていた。その少し前を歩く。まずは大烏帽子岳南の1790m峰に登る。笹の中の道で踏み跡はあるがヤブを漕がねばならず登りにくい。いったん登るとしばらく小さな登り下りで距離を稼げる。そこでひとパーティー追い抜く。1790m峰から急坂を下り、朝日岳ジャンクションピークへの登りに取りかかる。標高差は180mで今日一番の登りである。鞍部でまたひとパーティー抜くが、ジャンクションピークの登りにスピードがグンと落ちる。植松がバテ気味で最後を遅れて登った。斜面は初め笹の中、やがて草原の斜面、なだらかな笹の斜面をかき分けて一般縦走路に出る。一般縦走路に出たところはピークではないのだが、平坦な朝日岳の一端であり、清水峠への稜線、巻機山への稜線、白毛門山への稜線の三叉路になっているのでジャンクションピークの名前が付されている(「アルペンガイド3 上信越の山」)。すっかりバテてしまった植松のために一本とる。大烏帽子岳南のコルからこのジャンクションピークまで2パーティー抜いたが、ここの一本でどんどん追い抜かれ、大烏帽子岳南のコルで後方に見えたパーティーにも抜いてもらった。

 ゆっくり休むがジャンクションピークは狭い。次々とナルミズ沢から人が登ってくることから私は先行してゆっくり歩くことにする。朝日岳でゆっくり休む予定だったが、朝日岳はナルミズ沢を登ってきたパーティーと普通の縦走登山者で込んでいたので通過する。人が多かったため、道を間違い東へ向かってしまった。バテている植松に合わせてゆっくり歩き、笠ヶ岳まで一本で行く。笠ヶ岳も人でごった返しており、あんまり休むのに適していないが長い歩きなので一本とる。ここでだいたい半分だな、と言ったら澤が驚いていた。あと1時間くらいで下山のつもりだったらしい。

 さらに白毛門山で一本。ちょうど白毛門沢を登ってきたらしいパーティーがいた。あとは白毛門山から長い急な下りをこなし、出発点の東黒沢に戻ってきた。東黒沢で足を浸して楽になる。帰りに湯テルメ谷川で入浴するが、風呂から出ると土砂降りで驚いた。もし昨日こんな土砂降りに降られたらテントが流されていたかもしれない。運がよかったと話し合った。最後に水上駅前のラーメンきむらに寄り、関越道経由で帰京した。

おわりに

 目的の「東黒沢を最低鞍部に詰める」を果たすことができ、満足である。私には珍しく2回目の沢だったがそこそこ楽しめた。ナルミズ沢は人が多かったので私のようなリピーターが多そうな気がする。ただ帰りの土合までの縦走が長かったのでもし今度ナルミズ沢を行くなら宝川温泉から行ってみたいと思った。

 総じて沢登りをやっているなら1度は行くことをお勧めする平和な沢である。

(2006年9月18日~10月2日記す)


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