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2006年春 - 奥多摩・成木尾根


2006年3月12日(日)
場所
埼玉県飯能市・東京都青梅市/奥多摩・奥武蔵
コース
西武池袋線飯能駅…安楽寺…採石場…水口峠…久方峠…久通谷橋バス停=(国際興業バス)=西武池袋線飯能駅
参加者
栗山(1)
天気
くもり
06奥多摩・成木尾根の地図

はじめに

 修論は終わったものの、水水に出す論文を書かなければならない春。土日も研究室にいって書きたいところだが、12日13日と入学試験後期日程で入構禁止。仕方がないので山に行くことにする。久しぶりなので日帰りで。

 場所はまた県境からとりあげた。奥秩父三国山以南で登っていないのは奥秩父三国山〜甲武信ヶ岳、小菅川〜三頭山西原峠〜笹尾根〜生藤山、小沢峠〜飯能の4区間。うち雪が少なく、日帰りで行けるのは最後の小沢峠〜飯能だけである。そこでこの区間を登ることにした。この区間は以前単独で棒ノ折嶺から挑戦し、水口峠までたどったものの、それ以降を失敗している。そのときは稜線と交差する里道が多く何度か道を間違えた末、東京都側成木に下りたのだった。その経験でルートファインディングが難しいことからメンバーは1年生を念頭においた。1年生を育てるにあたって、これまでルートファインディングの練習はあまりしていないからだ。始めは栗山と植松が乗り気であったが、植松は引っ越し後の電話回線の工事で来られなくなった。それで栗山と2人で登った。栗山はせっかくだから山で1泊したいといい、でかいザックで来た。

日帰り

2006年3月12日(日)

西武池袋線飯能駅…安楽寺…採石場…水口峠…久方峠…久通谷橋バス停=(国際興業バス)=西武池袋線飯能駅

コースタイム
西武池袋線
飯能駅
7:40
7:53
安楽寺9:03
9:25
奥多摩工業
採石場
11:12
11:23
成木尾根に復帰12:25
390m峰12:30
12:53
水口峠13:24
高井戸集落分岐13:40
大仁田山分岐13:45
久方峠14:13
14:45
下久林バス停15:23
久通谷橋バス停15:25

 さて当日、4:30に起きて飯能に向かう。駅には既に栗山がいた。そこで植松が来ないことが分かり、2人で駅から歩き始める。始めは誤って北口へ出てしまい、南口に戻る。南口からまっすぐ歩いていくと入間川を渡り、美杉台団地。掘り割りの道を歩き、下りになると成木川。成木川を渡ってT字路にぶつかると右へ。あとは成木川沿いの道を拾って成木尾根末端の安楽寺に着いた。飯能からほぼ1時間。天気はくもりだが、気温は高い。暑くなってシャツ一枚になる。栗山はここで水を汲んでいた。トイレに行きたかったが、トイレはなかった。

 お堂の裏側から登りはじめる。まず梅林に出る。梅はまだあまり咲いていない。山の上だからだろうか。稜線をたどると垣根があってそこが別の寺の敷地の上部のようだった。幸い道があり、植林帯と落葉樹林帯の間の道を歩く。道自体はしっかりしているものの、この道を歩いている人は少ないようで、ときどきクモの巣にひっかかる。ずっと登り道だが、傾斜は緩やかで登りやすい。やがて左手に墓地(大多摩霊園)が見える。昔からある墓地ではなく最近造成して作った墓地のようだ。とても広い。2カ所ほど墓地から成木尾根に登ってくる道があった。墓場が終わると右手にゴルフ場(飯能パークCC)。ゴルフ場の敷地は有刺鉄線で囲まれており危険である。しかもそのために歩く人が少ないのか踏み跡もはっきりしない。とはいえ有刺鉄線沿いに歩いていけば正しいので有刺鉄線沿いに歩いていく。歩いていくと意外とゴルファーがいた。5パーティーくらい見ただろうか。稜線とだいぶ接近しているところもあって、そこではお互い無視して通り過ぎた。ゴルフ場を変な車に乗って移動している人達もいて、あれはずるいよな、と栗山と話した。ゴルフ場の給水施設を過ぎ、標高270m付近の右に曲がるあたりで栗山が南の枝尾根に引き込まれる。地図を見ながら少し議論し、ゴルフ場の際に沿って歩く。

 やがてゴルフ場を離れる。この先、都県境を忠実にたどるとすると都県境は稜線を一度離れ、いったん稜線北側の沢に下りることになる(下図参照)。この都県境のずれている稜線区間には石灰の採石場があり、たぶん入るのは難しい。そのため今回は都県境を歩くことにする。この都県境をたどって沢に下りる枝尾根がやっかいでどの枝尾根かはっきり分からない。手がかりも少ない。ちょうど稜線と都県境が分かれるあたりに到着するが、そのときはまだその分岐点の手前、飯能の地図の300m峰付近だと思っていた。私が誤って埼玉側に下る尾根を行こうとするが、栗山にとどめられる。この尾根は下る一方で左にもっと高いところがあるから向こうが正しい稜線だろう、ということで戻る。確かに高いところに向かっていけばそこが稜線なので、高いところ高いところを追って歩いていくと採石を行っている奥多摩工業の看板が2つあった。発破することがあるので注意という看板であった。看板があっても採石場はまだ先だろうと歩いていると1分ほどで奥多摩工業採石場に出た。都県境と稜線の分岐に気がつかず通り過ぎたということだ。見晴しの良いところなのでそこで一本とる。

成木尾根の地図2

↑この地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図(原市場)を使用したものである。


 採石場は日曜日だからか稼動していなかった。稜線の東京側が見事に削られ、露天掘りになっている。採石場の際は木が生えているので何とか歩けそうだが、危険そうだ。当初の予定通り、都県境をたどることにする。南風が強く寒かったので10分休んで来た道を戻った。地図で確認すると実際の採石場の範囲が地図の範囲より広がっているのに気付く。先ほど、はじめ私が間違えて下ろうとした尾根が都県境であると考え、これを下る。途中、ピンクのテープや地権者の境を示すと思われる赤い杭があり、この尾根が都県境と思われた。しかし、そこは都県境の尾根ではなく、都県境の東隣の尾根であった。下りついてみるとそこには沢と車道があり、対岸には尾根があった。もし正しい尾根を下っていたとしたら沢の対岸の尾根を乗り越すように都県境は伸びているのだが、正面に見える尾根は急で登れなさそうだ。残念ながら尾根を間違えていたことに気付かなかった我々は沢の対岸の尾根を巻くために川を下流へと下った。下りついてみるとそこは間野の集落直竹川。下り過ぎていることに気付く。

 下った道を登り返して、はじめて違う尾根を下っていたことに気付く。二俣で右俣をとる。しばらく右俣に沿った車道を歩き、どこから尾根にとりかかるか考える。おそらく都県境と見られるところから取り付くが、斜面が急で崩れやすいため、やめる。もう少し右俣を遡ると車道は仕事道になり、倒木があって歩きにくい。都県境は349m峰を通っているが、我々は右俣を上流に行き、349m峰南の鞍部に出ることにした。ここならば地形図で見る限り傾斜は小さそうだ。その読みはあたり道はないものの比較的容易に尾根に出ることができた。途中、捨てられた紫色の毛布があり、ちょっと恐かったが栗山が足で払ったところ、その下には何もなかったようだ。尾根には道があり、少し歩くと送電線の鉄塔にぶつかった。道はさらに続き、やがて成木尾根主稜線に復帰した。

 少し歩いて390m峰あたりで一本とる。この一本でだいぶ疲れた。この後も登り下りが続く。右手に細田の集落が見え犬の鳴き声など生活を感じる音が聞こえてくる。450mピークをこえて下りついたあたりの東京都側は平坦になっており、治山事業でもしたように見えた。もう一つ山を越えて水口(みずのもと)峠。埼玉側細田集落と東京側高土戸集落に通じる峠のようだ。水口峠には看板があり、東へ向かうと安楽寺と書いてあったが、採石場ができる以前につけられた看板なのだろうか。ここから安楽寺に向かうのはルートファインディングの都合、かなり難しいと思う。私は前回このあたりで都県境をたどるのを断念した。さらに504m峰でまた高土戸集落へ下る尾根を分け、大仁田山との分岐。小沢峠から来るとしたら大仁田山に向かうように道がつけられており、私が前に来たとき間違えた理由がよく分かった。私はさらに2度ほど道を間違えそうになり、その都度栗山に指摘されながら方向を修正した。大仁田山と分かれてから山を一つ越えて久方峠。一本とる。

 時刻は14:13。飯能駅を8時に出てからここまで6時間。さすがに疲れたのでここで山を下ることにする。前回歩けなかった区間は全て歩けたので目的は達したからだ。栗山は先を行くか下ってしまうか悩んでいた。せっかくテントとシュラフを背負って来たのだから山で泊まって帰りたい。しかし、魅力の弱い尾根歩きである。約30分悩んだ後、山を下らず、まだ登ることにしたようだった。私は残っていた水を栗山に渡し、埼玉側の久林に下ることにした。東京側の高土戸よりも水平距離が短いからだ。

 栗山にがんばれと一言述べて下る。埼玉側へ下りはじめるとすぐ道がない。地形図には道が載っていたし、看板にも久林への方向指示があったので行けると考えていたのだが、考えが甘かった。少なくとも沢沿いに下っていけば久林に出られるのは確かなので倒木で荒れた沢を下っていった。幸い滝もなく給水施設らしき所にたどり着け、そこからは道をたどることができた。しかし、入間川に出てみると橋はない。上流側に迂回するか徒渉するか。迂回するにしても川沿いに道はないのでうまくいけるかどうか。少し考えて徒渉することにした。対岸は枯れススキの野になっていて歩きにくそうなので適当な河原を探す。とりあえず飛び石で渉れるところを発見したのでそこをジャンプしてみるがそこは中州であり、結局靴を脱いで徒渉することになった。今回の山行では雪を見ていないとはいえ、まだ3月。水は冷たい。しかも生活排水が混じっているのか河床の石がぬめっている。滑って靴を落とさないように慎重に渡った。渡った先で靴を履き、車道に上がって山行終了。すぐそこに下久林バス停があったがベンチはなかったので飯能側にひと区間歩いて久通谷橋バス停でバスに乗った。バスは1時間に2本ほどあり、10分ほどしか待たずに済んだ。バスは有間山・棒ノ折方面からたくさんの中年登山者を載せており、空いていて座れるのではないかというもくろみは見事に崩れた。それでも久しぶりの山で疲れていたのでバスの中で立っている間寝てしまった。飯能からは快速急行に乗ることができ、無事池袋についた。

おわりに

 総括すると、ほぼ目的の成木尾根都県境をたどることができた。厳密には都県境が稜線を離れるところで下る尾根が違っていたこと、小さい尾根を乗っ越していないこと、349m峰を踏んでいないことの3点は実行できなかったが、しかたがない。とても登り返す気も起きなかった。また登り一辺倒で道に迷うことはないと考えていたが、意外と迷った。栗山がいなければそのまま谷に下ってしまったであろうケースが何回かあった。それは逆に栗山が間違った尾根を行こうとしたのを私が指摘したこともあり、2人でなければたどれなかったであろう。なんにしろ、ルートファインディングが難しい山行であった。なお山としての魅力はない。展望もないし、ゴルフ場があるし、採石場があるし。都県境を攻めたい、ルートファインディングしたいという篤志家向けの尾根であった。

(2006年3月12日記す)


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