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春ごろだろうか、初川さんが「中山、白神行かないか」と誘ったのは。それまで私はほとんど白神山地について調べたことがなかった。知っているのは世界遺産ということと、ブナの森が美しいらしいということだけだ。しかし、沢登りの本で見てみると、非常に穏やかな実に私好みの沢なので、いっぺん行ってみたくなった。私はザイルやらハーケンやらをガンガンつかって登っていく沢より、ひたすら穏やかで美しいナメのあるような沢が好きなのだ。初川さんは昨年、別の人と白神山地に行ったらしいが、雨で増水していてあきらめて帰ったそうだ。コースはベーシックな追良瀬川本流〜ウズラ石沢遡行〜白神岳にした。メンバーは初川さんと私に加えて、夏にどこか行きたい人間を探したところ、戸部さんと永谷君が手を上げた。ただ、永谷君はこのあとの南アルプス縦走を一人で行きたいといい、結局初川さん、戸部さん、私の三人で行くことになった。
白神山地の沢登りとなるルートは前もって入山手続きをしておかねばならない。といっても7日前までに書類を郵送して返事がなければOKというなんだか適当な届け出である。ちょうど7日前に郵送したのでルール違反かもしれないが、まあただ沢登りしたいからって入山不許可にはならんだろう、と適当に考えていた。くわしくは東北森林管理局青森事務所のウェブサイトを参照してもらいたい。
東北森林管理局青森事務所 http://www.jomon.ne.jp/~shirakmi/
入渓には陸奥岩崎から追良瀬大橋まで岩崎タクシーに乗っけてもらう必要があり、出発前日に予約の電話をかけた。が、訛りがひどく、5分ほど話したがわからなかった。予約をしたい旨は分かってくれたようだが、期日まで分かっていてもらえるのか疑問の残る予約だった。だめなら1日待ってもいいやと学生なりに考えた。
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2003年8月29日 |
JR新宿駅…快速ムーンライトえちご（車内泊）
できるだけ安く行くために青春18きっぷを使った。新宿から快速ムーンライトを使う。この列車は全席指定席だが、生協で聞いてみるとすでに売りきれ。仕方ないので、しばらく立ちで行くことにする。発車してみると意外に乗車率は50%ほど。途中駅の大宮でも乗ってきたが、それでも6割といったところだろうか。列車は大宮から高崎まで停まらず、その途中で車掌さんが検札に来たので、高崎までの乗車券と臨時の指定券を買って席に着いて寝た。同じくデッキに立っていたサラリーマンは車掌さんに「熊谷は停まりません」といわれて落胆していた。
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2003年8月30日 |
新潟…秋田…能代…JR五能線白神岳登山口駅（泊）
朝起きると新潟。村上行きに乗り換え。寝る。さらに酒田で乗り換え、秋田。秋田の金券ショップで帰りの18きっぷを探した。18きっぷは5枚つづりなので3人で往復すると一人分が不足するからだ。3枚つづりで6300円があったので、それを買った。3枚もいらないが、これの方が学割使って帰るより安い。もう9月に入ることもあって安く売っていた。18きっぷは9月10日までしかつかえないのだ。
さらに東能代。東能代の駅にはバスケットボールのリングがあった。「バスケの街のしろ」とあった。行き先はここから五能線に乗り換えて陸奥岩崎駅。陸奥岩崎まで行く列車は少なく、一駅隣の能代駅へ行き、暇をつぶす。そしてまた五能線に乗った。途中の白神岳登山口駅では人が乗ってきた。白神岳から下りてきたのだろう。陸奥岩崎駅で降りる。
タクシーについては前述の通り、確実な予約はしておらず、その場で聞いてみることになる。駅降りて左に街道を行った岩崎タクシーについてみるとそこは個人タクシーで普通の民家だ。玄関をノックして開けると、そこはすぐ居間になっており、じいさんが寝転んでテレビを見ていた。私が用件を何度か繰り返して言うと「今日は酒飲んでしもうた。明日来てくれ」と言われた。どういうサービス業だ。
初川さんが昨年来たときは、このタクシーにかけあって「今年は20日間ほど雨が降って追良瀬川が増水しているから遡行できない」といわれ、追良瀬川をあきらめ、青森をドライブして帰ったらしい。 しかたなく岩崎駅に戻る。岩崎駅には「駅での宿泊を禁ず」と張り紙が3つもあり、寝られなさそうだ。タクシーは明日朝8時からだといわれたので、ここにとどまる必要もなく、来た列車に乗って白神岳登山口駅で寝た。