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2003年秋 - 足尾・袈裟丸山[2/2]


2003年10月25日(土)、26日(日)
場所
栃木県上都賀郡足尾町、群馬県勢多郡東村/足尾
ルート
10月25日
わたらせ渓谷鉄道沢入駅…楡沢川遡行…二子山…袈裟丸山…小法師尾根分岐…六林班峠ピストン…小法師尾根分岐(泊)
10月26日
小法師尾根分岐…小法師岳…巣神山?…餅ガ瀬川林道=わたらせ渓谷鉄道原向駅
参加者
中山(B4, 単独行)

足尾・袈裟丸山の位置

2日目

2003年10月26日

小法師尾根分岐…小法師岳…巣神山?…餅ガ瀬川林道=わたらせ渓谷鉄道原向駅

2日目コースタイム
小法師尾根分岐5:00起床
6:00
1690m峰6:56
7:06
小法師岳8:06
8:16
車道に出る9:20
9:40
わたらせ渓谷鉄道
原向駅
10:13
10:41

 夜、気温は比較的高く、午前2時ごろまで起きなかった。4時ごろもう一度起きて外を見るとまだ暗い。とはいえ、真っ暗でもない。光源は何かと通気孔からのぞいてみると下の町の明かりだった。渡良瀬川沿いの道の街灯だろうか。もう一度寝なおす。そしたら夢を見た。この同じ場所で寝ていて、ツェルトでなくテントで寝ていた。なぜか頭の近くに毛布があり、温かかったので、そこに手を突っ込んでいたのだが、いつしかその毛布が蛇になって、という夢で起きた。後味の悪い夢だった。でも山で山の夢を見るのは初めてだった。

 5時に起きてラーメンを食べ、シュラフをたたみ、ツェルトを出る。ツェルトをたたむとそこの笹がへこんでいた。小法師尾根はここから真東、日の出の方向に向かって下る。小法師尾根は県境の稜線から分岐するという感じではない。県境の稜線の中腹から尾根がひょっこり出ている感じだ。はじめは急な笹の斜面を滑るように下る。下りつくと広い尾根で針葉樹林と笹に覆われている。アルペンガイドに水を汲めると書いてあった庚申川の源頭は水の音が聞こえず、水を汲むにはかなり下りそうだった。私は小丸山避難小屋の水場で4リットル汲んでおいたので、水があるか見に行く必要はなかった。

小法師尾根分岐
小法師尾根分岐に張ったツェルト。
朝日
小法師尾根は東を向いているので朝日を正面に受ける。

 小法師尾根ははじめ、道のあるようなないようなところをたどる。いく筋にもわかれるのでおそらく獣道だろう。水たまりがいくつかあった。鹿の水飲み場にでもなっているのだろう。泥が多くて人間には飲めなさそうだ。1784m峰に近づく。南側が広いので南から巻こうと思ったら間違えて南側の尾根に下りそうになる。方向を確認し、ピークに戻ると明らかな尾根が続いていた。1784m峰から針葉樹林が広葉樹林になり、明るくなる。だんだん尾根が広がり、南側により過ぎたと感じる。股下程度のササをトラバースで北側へ。さらに下る。と、正面に次に登る1690m峰が高い。これを登り返すのか、と疑問に思うと右手上方に明瞭な尾根がある。尾根に戻る。途中、沢の源頭を横切ったが、水は流れていなかった。うまくトラバースしてコルに出る。1690m峰へ登り返す。斜面の北側は笹が少なく、割と楽に登れる。1690m峰には小さな看板がある。ここで一本とる。

 地図を広げてみると、下り中心の道のわりに意外と進んでいない。次の一本で小法師岳まで行きたいが、このペースだと難しいかもしれない。2度道を間違えたのが遅い理由だろう。赤テープは2つほどしか見なかった。年に片手で数えるほどしか人の来ない尾根なのだろう。小法師尾根はまだまだその丸い尾根を連ねており、長そうだ。次は笹ノ平の山が大きく見えていた。

 コルへ下って笹ノ平へ登り返す。やはり北側斜面が樹林帯で登りやすい。登りついた笹ノ平はまさに名の通り、背丈を越える笹が密生していて広く、木がほとんど生えていない。視界がなくコンパスで方角を決めて歩く。こんなの久しぶりだ。足元が見えないので、ときどき現れる倒木ですっ転ぶ。かなり広く、下る先の尾根を見つけにくい。運良く一発で目的の尾根を見つけ、下り始めると踏み跡があって安心する。平らな上に笹で視界がないので、この笹ノ平が小法師尾根の核心部だろう。尾根を見つけられるかどうかが焦点である。

 小法師岳へは尾根が狭く、はっきりしていたので迷うことはなかった。しかし、小法師岳の山頂は非常に平坦でどこがピークだかさっぱりわからない。歩いていて10分間くらいすべてピークである。ふと北側の庚申山の方角を見ると「小法師岳」と書かれた看板があったので、それとわかった。その下には三角点のようなものが。一本とる。下草は低く、大変歩きやすく、登り下りもないので楽である。次は巣神山まで。

小法師岳
小法師岳は非常に平坦な山。 気をつけないと看板を見過ごす。
雨降沢ノ頭から
雨降沢ノ頭から。木が切られて防火帯になっている。

 歩き始めるとすぐ雨降沢ノ頭1526mに着いた。ススキが生えていて明るい野原のようになっている。木に「原向駅→」と看板があり、道が直角に曲がっているのを示している。小法師岳からは道があり、だいぶ安心して歩ける。この雨降沢ノ頭からは尾根が防火帯になっており、木が切り開かれて広い道のようだ。あれほどうるさかった笹もなりをひそめ、のんびりと秋の山を楽しむことができる。困難もなく、人気もなく、私の好きな雰囲気だ。おかげでペースも上がり、雨降沢ノ頭の先、私がどこを通ったか厳密にわからないくらい平和に歩いていた。途中、木に「矢先の注意」と書かれた地元の猟友会の看板があり、間違って撃たれたりしないかとちょっとビビる。でも、「矢先」って弓と矢で射るのだろうか。現代の今では鉄砲のような気がするが。

 いくつかコブを登ったり下ったりして越え、小法師岳から1時間くらいだろうか、急に下るところに出る。踏み跡があるのでしたがって歩く。尾根は狭くなり、岩の出た稜線を越えてまた広い笹の広がるところに出た。と、右手に視線を移すと車道が。巣神山はどこへ行ったのだ。地図を見ても車道を見つけられない。わかるのは確かに小法師岳を踏んだということだけ。しかもこの先尾根が2つに分かれており、現在地もわからないのでどっちへ行ったらいいかもわからない。地図を片手に困っていると右手に人が。キノコ狩りに来ているらしい。この人にここがどこか、巣神山はどっちかと聞くと、この人も地元の人でなく知らないらしい。わかるのは餅ガ瀬川からの林道を車で来たということだけ。その人が車に乗っけてくれるというので、お言葉に甘えて乗っけてもらうことにした。

 車の中で袈裟丸山から縦走してきたというと驚かれた。林道から見るとかなり長い距離になる。よく歩いたものだ。この林道は餅ガ瀬川沿いの林道の支線らしく、途中で餅ガ瀬川沿いの道と合流した。わたらせ渓谷鉄道原向(はらむこう)駅で礼を言って降ろしてもらう。

 無人駅で、人がいないので、待合室で着替える。今回あれだけ笹を漕いだが、笹には露が下りておらず、ズボンは濡れていなかった。だいぶ暖かかったのだろう。沢に出ることもほとんどなく、ドライな山であった。

おわりに

全般的に見ると、私好みの静かなヤブ山でなかなかよろしかった。ほどほどのルートファインディング能力が必要であるが、遭難するほどでもない。日光白根山〜皇海山でもそうだが、ルートファインディングの練習にはいいかもしれない。六林班峠〜法師岳でも小法師尾根でも尾根が広いのが特徴である。あとはちゃんと巣神山へ出るように気をつけるということか。「私は巣神山を通り越していて、巣神山で直角に曲がる道を見落としていた」というのが私なりの結論である。


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