山ノ中ニ有リ山行記録一覧2002年山行一覧>奥日光・日光白根山〜皇海山[3/3]

2002年秋 - 奥日光・日光白根山〜皇海山[3/3]


2002年9月21日(土)〜23日(月)
場所
栃木県日光市、上都賀郡足尾町、群馬県利根郡片品村、利根郡利根村/奥日光
ルート
9月21日
東武浅草=東武日光=湯元温泉バス停…五色沼避難小屋(泊)…日光白根山(往復)
9月22日
五色沼避難小屋…錫ガ岳…宿堂坊山…三俣山…国境平(泊)
9月23日
国境平…皇海山…六林班峠…一ノ鳥居…銀山平=わたらせ渓谷鉄道通洞駅
参加者
中山(B3、単独行)

日光白根山〜皇海山の地図

3日目

2002年9月23日

国境平…皇海山…六林班峠…一ノ鳥居…銀山平=わたらせ渓谷鉄道通洞駅

3日目コースタイム
国境平4:10起床
5:12
皇海山北
1990m
6:20
6:29
皇海山6:49
7:12
鋸山8:15
8:24
六林班峠9:08
10:01
引き返す10:12
六林班峠10:26
1680mの枝沢10:40
10:52
1560m付近12:07
12:18
庚申山荘12:52
13:00
一ノ鳥居13:50
14:00
銀山平15:05
15:10
わたらせ渓谷鉄道
通洞駅
15:30
15:42発車

 ツェルトは狭い。じめじめしていて何度か起きた。濁り水でラーメンを食べ、外の様子を見る。ガスがだんだん晴れてきて、松木川のほうが見えた。しかし、皇海山の頂上は見えなかった。5時出発。

 まずは1636m峰を越える。笹原で道がはっきりしない。そこから皇海山の登りに入る。頂上が見えないのでどれだけ高いかわからない。いちおう道があるので、それをたどる。かなりの急登で一本とろうと思っても休めそうなところがない。皇海山北の尾根まで出てしまった。西風が強く岩陰で休む。寒い。ガスが高速で動いているのが見えた。まだ頂上はガスに包まれている。ここから顕著な尾根を登る。尾根に出るまでに比べれば緩やかな登りだ。雨量観測機の先が皇海山山頂だった。

 連休だし誰かいるかなと思ったら誰もいなかった。台風来てるしなあ。ここからは地形図にも道の書いてある区間だ。誰もいないのでタイマーをかけて記念写真を撮った。濁り水を飲む。

 下りにとりかかる。急で下りにくい。地図に道のない皇海山の北側の方が歩きやすいんじゃないかってくらいだ。ササヤブの中で道に迷うし。不動沢のコルを過ぎて鋸山への登りにとりかかる。けっこう急で岩峰をチムニーで登ったりしたが、下りはどうやってくるのだろう。山頂に近づくと風が強く、ザックカバーを飛ばされそうになった。鋸山の山頂は狭く風も強いので、少し六林班峠に下ったところで休んだ。ここで銀山平に下るか、袈裟丸山に行くかは決めてなかった。どちらにしろ、濁った水を六林班峠で交換しておきたかったので、六林班峠に行くことにした。体力的にはけっこうきつかった。なんとかして今日中に下ろうと思った。

 六林班峠までいくつかコブを越えて下る。長く感じた。歩きながら「袈裟丸山まで行こう」と決心し、着いたところで水を汲みに銀山平側に下った。なかなか水場が見えない。6分歩いて右手下に水が流れ出しているところを見つけ、そこまで下りて水を汲んだ。濁っておらずまともな水だ。ゼーハー言いながら登り返し、また峠に戻った。

 水をザックにしまい、袈裟丸山に向かう。いきなり道がわからなくなる。笹ヤブを適当に突破。赤テープを見つけてもそれが続かない。白根山−皇海山よりよっぽど悪い。平らな山を一つ越えて鞍部に出ると胸くらいのササヤブ。これを漕ぐ気が起きなかったので、六林班峠に引き返し、銀山平に下ることにする。来たところを戻ると迷った。北側に急な斜面がある。峠はどこだ。かなりあせる。地図上で見当をつけて西へ向かうと六林班峠に戻れた。たかだか25分くらいだろうが、生まれて初めて「自分がどこにいるのかわからない」恐怖を味わった。あれはかなり怖い。興奮しながら銀山平への道に入った。

 先ほどの水を汲んだところのすぐ先に道と沢が交差しているところがあった。どうやら本当の水場はこれらしい。その先、白い岩のある沢で一本とった。空は晴れてきて台風はどこかへ行ってしまったらしい。だんだんと風も弱くなってきていた。庚申山荘までは長かった。基本的に平坦なのだが、沢のあるところは上下する。そして長い。ゆるいのぼりが続くところで一本とった。足のくるぶしの下が靴擦れを起こして痛い。かなり痛い。夏の合宿でも同じところが擦れた。歩くと痛くて体力が奪われるようだ。実際そこから自分との戦いになった。自分がどこ歩いているのかさっぱりわからない道を歩き、庚申山荘に出た。

皇海山山頂
2日目は皇海山北側のコル、国境平に泊まり、朝の2本で山頂に着いた。誰もいない。
わたらせ渓谷鉄道
わたらせ渓谷鉄道のはり紙。そりゃ、しかたない。

 庚申山荘は大変立派な小屋で入ってみると2人ほど荷物を置いたままで人はいなかった。料金は大人2000円、休憩料300円ととってもお高い。こんな小屋休んでられっかと外で休む。この先は地図を持っておらず不安である。まずは一の鳥居というところへ行くらしい。庚申山は名前からもそんな感じがするように信仰の山らしい。ところどころ鏡岩とか名所ごとに看板が立っていた。沢沿いの道になり、車道の一ノ鳥居に出た。一本。足が痛くてしんどい。銀山平まで4km。それまで持つか。気分はロールプレイングゲームで「体力がほとんどない状態で次の町に着けるかどうか」という感覚である。ゲームの中だと何とも思わないが、実際に行動してみるとかなりヤバイ。「本当に帰れるのか」って気分だ。その点、単独行なのは幸いだった。1分ごとに「痛てぇー」とか言いながら苦痛の表情を浮かべるのはとても他人に見せたものではない。

 砂利道を歩いていくとカップル2組くらいを見た。紅葉の名所らしい。まだ赤くないけど。忍耐の末、銀山平到着。国民宿舎かじか荘の少し先で休む。けっこう車通りがある。ヒッチハイクするか、悩む。とりあえずカロリーメイトをほおばる。ほおばっていたら車が止まった。乗っけてくれるらしい。ボロボロの足には最高の幸せだ。

 何でもかじか荘に勤める奥さんを迎えに来ただんなさんの車だそうだ。35時間ぶりに人と話す。考えてみれば観光客はこんな汚い人間を乗せない。ちなみにそのときの私の格好は上下赤いカッパ。下界の視点で言うとかなり奇抜なカッコだ。だって雨降ってたんだもん。白根山から縦走したというと驚かれた。普通は庚申山、ときどき皇海山のひとがいるらしい。わたらせ渓谷鉄道通洞駅で降ろしてもらう。礼を言って別れる。駅で切符を買うときも「庚申山?」と聞かれた。同じことを説明した。やっぱり白根山から皇海山まで歩く人はほとんどいないらしい。トイレで着替えディーゼルに乗った。

 帰りは相生で東武桐生線に乗り換え、太田で伊勢崎線に乗り換え、春日部で野田線に乗り換えた。駅から自転車に乗ると後輪がパンクしていた。帰ると、ひどい靴擦れになっていた。道に迷うし、風強いしこの日は車に乗っけてもらったこと以外、あまりいいことがなかった。そのあとも国境平で汲んだ泥水のおかげで2日間ほど下痢した。


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